ルチで味わうベンガル家庭料理
2004/11/13


東京都板橋区板橋2-63-1
(TEL)03-3963-8195
営業時間:11:30〜15:00、17:00〜22:00
無休


●Aセット

まずは腹ごなし(笑)。ランチからAセットを2人で一つを分けて食べた。これで580円。カレーは、チキン・カレー、ナンを選択。ムルギ・マサラとは違い、辛さはほとんどなくマイルドなテイスト。しかしながら、ルチの根底に流れている味の片鱗は見える。ナンは、軽やかで弾力があり、ほのかに甘味があって、なかなかイケている。普段ナンを食べないだけに、たまに食べると、より美味さを感じる。とりあえずこの後、たくさん食べることになるので、これぐらいでやめておこう(笑)。
AセットAセットAセットAセット

●ティーブレイク

ランチタイムも終わって、これからパーティの仕込みを本格的におこないます。その前にマイケルさんが淹れてくれたチャを飲みます。味わいがグッときて、大変美味しいチャです。
ティーブレイク

●ルチの名シェフ

数々の素晴らしい料理は、この二人によって生み出されている。左側の方は、このお店のオーナーのモニールさん。ダッカ大学卒業で、本業がどうやら歌手らしい。その歌声に酔いしれる人多数とか。真ん中がマイケルさん。ルチの守護神。彼の料理を食べに、遠方から足しげく通う人多数。お二人とも気心の通った、真心のある料理を提供してくれる。おや、右端にいるこの人はいったい(笑)。巷ではベンガル・サトウと呼ばれているサトウさんだ。今日のパーティのために、お手伝いのため、厨房に入っているのであった。
ルチの名シェフルチの名シェフルチの名シェフ

●いろいろ仕込んでいます

左端は、ピアジュでしょうか。すり潰した豆(マスルダル)他、タマネギ他いろいろはいっています。これを次の写真のように揚げるわけです。その次の写真は、ゆで卵を揚げて、表面にスリットが入ってます。これはディム・ブナ(ディム・ド・ピアザ)という、タマネギたっぷりの汁気の無いマサラになります。一番右端は、焼きなす。サトウさんが一つ一つ丁寧に焼いたものだ。これは皮をとって、バルタにします。この皮むきが結構面倒。
いろいろ仕込んでいますいろいろ仕込んでいますいろいろ仕込んでいますいろいろ仕込んでいます

●ナスのフリッター

ナスにベスン粉等を薄く塗り、それを油で揚げる。ベスン粉の生地は、ゆるやかで軽やか。舐めてみたところ、香りが良い。ベンガル料理では、ベグニと言われる料理だ。今日は主におつまみとして食べる。揚げているそばから、少々拝借して味見をする。くーたまらん。
ナスのフリッターナスのフリッター

●国魚イリシマーチ

今日の目玉とも言える、バングラディシュの国魚、イリシマーチの仕込み中。イリシマーチは、ニシンに似ているとのことで、ニシン科の魚ということになるのだろうか。今日のものは体長が60cmを超える大きさのものが3匹、それをブツ切りにしたものにスパイスをふりかけてから、油で揚げる。
国魚イリシマーチ国魚イリシマーチ国魚イリシマーチ
タマネギを炒めて、普段おなじみのスパイスを投入、それから水を加えてしばらく煮込んでから、揚げたイリシマーチを投入。ここまでの調理は大変シンプルで早い。ものすごくよい香りが立ち込める。はやく食べたいものだ。いったいどういう味がするのだろう。
国魚イリシマーチ国魚イリシマーチ国魚イリシマーチ

●ボッタ

ゆでたジャガイモをボウルに入れ、香菜、油で炒めたホールチリ他、生のマスタードオイルや塩を加えつつ、手でもみこむようにマッシュ。このとき、揚げた唐辛子を直接フライパンから手でつかんで投入するモニールさんは圧巻かつ豪快だ。このようにして作る料理を、ボッタというそうだ。ベンガルの家庭では食卓になにかしらのボッタが登場する。これはジャガイモを使っているのでアル・ボッタ。今日はアル・ボッタを入れて3種類のボッタが用意される。モニールさんが手でもみこんでいるときに、マスタードオイルの香りがプーンと芳しい。食べる直前に作らないと、香りが出ないということで、作り置きはダメとのことだ。早くたべてみたい。
ボッタボッタボッタ



ベンガル家庭料理


17人による貸切パーティです



ジャール・ムリ
子供のころに食べた米のフライ菓子みたいなもので、とてもソフトな食感。香味野菜を和えた単純なものである。作りたてで香りがたっている。ビールで乾杯しつつ、サクサク食べる。
ジャール・ムリジャール・ムリジャール・ムリ
ピアジュ
揚げられたピアジュは、サトウさんいわくシャミカバーブそっくりの味わいに似ているという。食感は固く、たしかにシャミカバーブのような味わいの印象を受ける。これがまた絶品。これはレギュラーメニューに載っているので、是非とも皆に食べてみてもらいたい。
ピアジュピアジュ
ベグニ
うっすらとナスにベスン粉の生地を塗り、揚げるとこのようになる。カリッとして、薄くカットされたナスながらも甘い味わいが口いっぱいに広がる。食べる直前に揚げているので、フレッシュかつ軽やかだ。
ベグニベグニ
バジ
各種野菜を炒め煮したおかず。食事におかずは欠かせない。じっくり炒め煮された野菜には、スパイスの味と香りが充満している。テーブルに載ったバジの皿から、ものすごく良い香りが立ち込める。一口ほうばると、野菜の甘みとうまみ、香りなどが交じり合い素晴らしい。サトウさんによれば、バジのスタータースパイスを黒く焦がして、香りを引き出し全体に香り高く包み込んでいるという。昔ベンガル調理人が賄いを作るのを何度も目撃し、不思議に思っていたそうだ。メティなどは確かに黒い。サンサールでもメティを黒く焦がして風味をつけたりしているが、それに通ずるものがある。調理の世界は、大変奥深いものである。
バジ
バングラ・サラダ
定番のタマネギとキュウリ、トマトのサラダ。全体はキュウリとタマネギが大部分を占めている。タマネギは辛みが抜けて、香りがたちこめ、全体的に爽快感あふれる。タマネギの辛み抜きは、水にさらすのではなく、カットしてから暫く放置しておくのだという。水にさらすと、栄養分が流れ出してしまうと思うので、これならば栄養を損うことがないので、なるほどと思った。そうしておいて、ボウルの中でマイケルさんが、手でもみこむように混ぜる。やはり最終的な味付けは手だ。
バングラ・サラダ
コチュ・ボッタ
コチュはバングラディシュでは、日本の里芋にうりふたつの野菜だそうだが、手に入るはずもなく、里芋を使って作った。里芋を手でマッシュすると、粘り気がでてくる。タマネギや香菜等と一緒に捏ねられて、次第に香り立ってくる。これをシャダバットゥ(プレーン・ライス)と一緒に、よく混ぜ合わせていただくのだ。香りよく、味わいはとっても軽やかでマイルド。これが実にライスに合う。和を感じさせてくれるような食べ物だ。
ゴルベンダ・コ・アツァールゴルベンダ・コ・アツァール
アル・ボッタ
こちらはジャガイモを使ったボッタ。里芋よりは粘り気もなく、サモサの中のマッシュポテトのようだ。やはりライスと混ぜて食べると最高である。
アル・ボッタアル・ボッタ
ベグン・ボッタ
ナスのボッタ。ナスは、焼きなすにしたものだ。焼いたナスの香りと味わいがグッとたちこめ、味が濃縮されてとても美味い。マスタードオイルを加えているものの、油っぽさもまったく感じられず、軽やかで、これまたライスと混ぜ込んで食べると格別の味わいだ。
ベグン・ボッタベグン・ボッタ
カクラカリー
最初のメインディッシュ、カニを使った料理だ。カニは渡りカニを使用した。カニの甘く甘みたっぷりのエキスがグレービーに溶け合い、格別の味わい。カニは殻ごとたべられるほどに柔らかくなっている。カニ本体よりも、そのエキスが染み出たグレービーこそがもっとも旨みあふれるところで、これをライスにかけて混ぜて食べるとバツグン。悪魔のカレーと言ったのはうなずける。
カクラカリーカクラカリー
キチュリ
本当は今回はキチュリは無しにしようと思っていた。いろいろなオカズやカレー類もあることだし、キチュリを入れなくても十分なぐらいだったのだ。しかしながら、このように皆が一同に集まる機会というのも、特別なことがない限りないわけで、サトウさんも、皆に是非とも紹介したいということで、組み入れることにした。バスマティライスとマスルダルを香味野菜と一緒に、軽く炒めてから水を加えて煮る。今回はポテッとしたタイプのキチュリを作っていただいた。豆のまろやかな味わいに、香り高いバスマティとスパイスが交じり合い、見事な出来。味わいはかろやかでやさしい。ちなみに、我々がパーティを終えて帰宅した後、店の営業はそのまま続けられたが、どこでかぎつけたのか、在日のバングラディシュの方がキチュリを求めてお店に殺到したらしい。
キチュリ
ダール
モスル・ダル(マスル・ダル)と、ホウレン草のダール。シャバシャバで香り豊かでまろやかな味わい。やはりダールはライスにバッチリ合う。滋味豊かな味わいだ。
ダールダール
ディム・ブナ
タマネギたっぷりの汁無しのタマゴのマサラ。濃厚な味わいのタマネギたっぷりのマサラが、タマゴに絡みつき、しっかりした味わいだ。タマゴをグシャグシャに潰して、ライスによく混ぜて食べるのが最高。
ディム・ブナディム・ブナ
ムルギー・アル
鶏肉とジャガイモのカレー。汁気たっぷりのカレーだ。グレービーから立ち込める香りと味わいは、まさにルチの真骨頂と言わしめるだけの説得力があり、食事もいよいよ佳境に入ってきたという感じだ。
ムルギー・アルムルギー・アル
マーチ・ジョール
最大の目玉とも言える、イリシマーチのカレー。イリシマーチはたいへん高価な魚だそうで、川魚だが、冬の数ヶ月はベンガル湾で過ごすという。吊り上げると、一回跳ねて死んでしまうらしい。新鮮なものは地元でしか食べられないとの事で、日本には冷凍したものが輸入されているそうだ。小骨が多いから、食べづらいということでオススメしにくいそうだが、同じ魚を食べる民族としては何の心配も要らない。調理されて出てきたイリシマーチは、甘味がありおいしい。身の部分がとろけそうである。まさにメインディッシュというのにふさわしい料理だ。具には他にナスとオクラが入っている。
マーチ・ジョール
ドイとマライ
食事の締めは、ミスティが待ち構えている。まだまだ楽しみは続くのだ。今回、ミスティは3種類用意された。まず、ドイとマライ。ドイは甘いヨーグルトで、その中に今回はマライという茶色い揚げた菓子が入っている。このドイの味わいがまた絶品。以前も2度ばかし食べたことがあるが、是非とも今日参加される人には食べて欲しくてリクエストしたのだ。モニールさんが作ったものだが、皆も感激しているようすがよくわかる。是非ともレギュラーメニューに入れて欲しいところ。
ドイとマライ
パエシ
最後のミスティは、カリジラというとても高価なバングラディシュのお米を使ったライスプディングだ。キールに似ているけれども違うという。キールはミルク、砂糖、ココナッツを刻煮詰めて作られる。パエシはミルク、砂糖、米、レーズン、ガラム・マサラで煮て作られるそうだ。パエシは甘く上品な味わいで、さっぱりしている。満腹になったおなかを軽やかに...してはくれないが(笑)。
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●パーティを終えて

誰もがそうだが、ものすごく食べてお腹がはちきれんばかりである。料理が出てくると誰もが勢いよく食べ始め、各テーブルからは驚嘆の声が上がる。いたってシンプルな調理ながら、出来たての料理をいただく幸せ、ルチに最大限の感謝をしたい。ひょんなことから、ルチと縁が出来、サトウさんやまちださん達と、是非とも盛大にパーティをやりたいということで、有志を募って今回の催しとなった。ルチで出している家庭料理を、そして現地の家庭の人が食べている、まだ見ぬ料理が食べたいということで、様々な料理を作っていただいた。当然初めて食べる味のものが多く、あらためて食の奥深さというものに感動を覚えられずにはいられない。快く今回のパーティを引き受けてくれた、モニールさん、マイケルさん、シャヒーンさんに感謝したい。そして、またこのような素晴らしいパーティが開催できることを願って、アバール・デカ・ホベ!


●全撮影データ

全撮影データ(1024*768)は*ここ(108枚)*にあります。



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