Indian Movies / インド映画の話

Dhanam (ダナム)

2016/11/10

dhanam VCD

Title : தனம் Dhanam (ダナム) (2008年 Tamil)
Director : G.Siva
Music : Illayaraja
Starring : Sangeetha, Prem

【ムトゥ愛の冒険】ミュージカル公演のヒロインでかつて来日した、サンギータ主演の問題作。彼女が演ずるのはなんと、「デーヴァダーシー」(=売春婦の婉曲的表現)。彼女にブラーミンの青年が恋をしたことから始まる、儚い幸せと悲劇。タブー視される主題に、サンギータの熱演が光ってます!

Release date: 2008.Sep.5th

出演者・制作スタッフ

Sangeetha ~ ’Sex worker’ Dhanam ハイデラバードのタミル人売春婦。
Prem ~ Anantharaman オーソドックスなアイヤンガール・ファミリーの出。勉強のためにハイダラバードにいる。ちょっと臆病者。
Girish Karnad ~ アーナンダの父 典型的なブラーミン一家の長。
Kota Sreenivasa Rao ~ Vedagiri アーナンダ一家が信頼を寄せる占い師
Karunas ~ ブラーミンの青年
Ashish Vidyarthi ~ 警察官
Raj Kapoor ~ 警察官
M.S. Bhaskar, Chinni Jayanth and Singamuthu ~ コメディシーンに登場する町の人

提供: Nandimedu Chelliaman Movies
制作:Kousalya Rani
Story, screenplay, dialogues and direction:G.Siva (監督デビュー作)
撮影:Jeeva, Srinivas Devamsam
美術:Thota Tharani
編集:Lenin
作詞:Vaishali Kannadasan, Mu. Mehta, Palanibharathy, Vaalee

挿入歌

Ilamai Kanavugal 歌手:Karthik, Rita  作詞: Vaali  ~ Premのストーカーぶりがかわいい1曲。
Ulagam Kidakkuthu 歌手:Sunitha Sarathy
Dhanam Dhanam 歌手:Karthik
Koothu Onnu Koothu Onnu 歌手:Illayaraja, Peji  ~ Premが初めてサンギータを買ったところをうまいこと表現してます。【ボンベイ】の初夜シーンとかちょっと彷彿?
Unakkullae Irukkiren 歌手:Sriram Parthasarathy, Bilshunday 作詞: MU. Metha 振り付け:Balaji ロケ地:Keezhapazhayarai, near Kumbakonam (The Hinduの記事) 
Kannukku Enna 歌手:Sriram Parthasarathy, Bavatharani, Prasanna  作詞:Vishali Kannadhasan ~ お寺にお参りする曲
Kattilukku Mattumdana 歌手:Illayaraja

あらすじ

ダナム(サンギータ)は、ハイデラバードのガンディー・ナガルで暮らす売春婦。
彼女の美しさに憧れて顧客になる男性がひっきりなしで、町ではある意味ちょっとしたアイドルでさえある。
近所の貧しいタミル人や子供たちを助けずにはいられない、がさつなふるまいだが心優しい性格ときっぷのよさで、町の人たちにも受け入れられていた。

厳格なタミル・ブラーミンの家庭に育ち、勉強のために一人ハイデラバードに移ってきたアーナンダ(Prem)は、いかにも売春婦っぽい態度で町を闊歩するダナムが、気になって仕方がない。

何度もすれちがい、時にはストーカーのように追いかけては彼女のいろいろな表情を知るうちに、自分と違う世界に住む彼女を陰で見つめるだけの立場を脱したいと思う。

ある日、意を決して、アーナンダは500ルピーを握りしめ、ダナムを呼び止めて買いたい旨を告げる。
ダナムは、突然の無垢なボンボン青年の申し入れ(?)に驚くが、ビジネスはビジネスとして受け入れた。

アーナンダはどんどんのめりこんでいく。
ダナムの孤独や苦悩を垣間見ることもある。
やがて、「売春婦なんかやめて、僕と結婚してほしい」と求婚。

売春婦が普通の家庭に嫁いでも幸せになんかなれない、とダナムは乗り気ではなかった。
が、アーナンダは何とかダナムを家族にひき合わせる。

当然、ハイカーストな家族に拒絶反応を示され、やっぱりね、と強がった態度で家を後にするダナム。
それでも、本当はとても心は傷ついていた。

しかし、後になってアーナンダの家族たちが揃って今度は頭を下げに来た。
家族に親しい占い師の男が、良家だが経済的に困窮しかけていたこの家族にとって、ダナムは売春婦であろうと「ラクシュミーになる」(=繁栄を呼ぶ)と予言したからだ。

ダナムは、アーナンダとビジネスを離れて晴れてカップルになり、照れながらも売春婦のときの態度を改めて、新しい人生を生きていこうとする。
しかしあの占い師の下心も知らずに嫁いだダナムは、逆にこの占い師にその後何かといって関係を迫られる。
周囲や近所の男たちも好奇の目でなめまわすように、ダナムを見続けていた。

それでもダナムは、待望のアーナンダとの赤ちゃんを産んだ。
一度は一家に大歓迎で迎え入れられた親子。
しかし、何度お金をみせてちょっかいを出してもなびいてこないダナムに対し、あの占い師は今度はこの赤ん坊を生かしておくと一家は不幸になる、と予言した。。。

感想・見どころ

この映画の見所はなんといっても、サンギータの売春婦役へのチャレンジ、これに尽きます。

サンギータは、【ムトゥ愛の冒険】という、いかにもな邦題のついたタミル語ミュージカル公演でヒロインを演じていて、2001年の東京公演で彼女のダンスを観て以来、結構応援している女優さん。
あのミュージカルで10曲近く踊っていたけど、どれもファンタスティックでステキだったんです。

しかし、あんまり彼女の出演作の情報が入ってこなくて、彼女はまるで売れてないのか?と思いきや、彼女ってば普通のインドの女優さんよりずいぶん骨があるというか、オファーがきても役が気に入らないと断っているというのです。
(ラジニカーントの映画でさえ断ってるんですから。。。)

あんまり断ってるとチャンスが限られちゃうんじゃ、と余計なお世話な心配してたら、2003年に【Pithamagan】で鮮烈な役を演じて大きな話題となり、その後もときどき、他のインド映画女優がおおよそ演じないようなユニークな役を演じている。

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そして今回の映画です。
制作中の時期のニュースで、サンギータが「デーヴァダーシ」を演じると知り、てっきり昔のお寺に仕えていた踊り子さんのことかと思ってました。
(この踊り子さんたちはパトロンを必要としていたので、売春婦のように解釈されることもあったようです。)
彼女、実際バラタナティヤムを子供のときから習っていて、踊りがとにかく上手いんだからこりゃいいや!と思ってました。
映画が完成するのを、かなり楽しみに待ってました。
もしかして、シヴァージ・ガネーシャン×パドミニの【Thillana Mohanambal】に続く、デーヴァダーシに関する傑作が出現するかも?みたいな。
(あの映画でも、パドミニはシヴァージと結ばれたいのに、母がよいパトロンにすぐ売り飛ばそうとするんですよね~。それを乗り越えての恋の成就の話。)

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先日やっとVCDを入手して鑑賞してみたら、思いっきりわたしの勘違いで、実際に演じたのは、現代の売春婦でした。
ありゃー、って感じですが、こりゃまたなんともチャレンジングな役だこと。

現代の売春婦のことも、「devadasi」って呼ぶんですね。踊り子じゃないけれど。劇中なんども「デーヴァダーシ」という単語が会話で聞えてきました。

売春婦が登場するインド映画自体は結構多いと思います。
(例えば、【Panchathanthiram】でラミヤー・クリシュナンが高級コールガールを演じて超魅力的でしたよね。【Boys】とか若者映画にだって時には出てきますしね。)
でも、まさに売春婦が主人公・売春婦の人生がテーマ、なインド・マサラムービーは、わたしは初めて観ました。

サンギータは、映画の中では実際にはそんなに肌の露出度は高くなく、あからさまな濡れ場もありません。
が、本人のインタビューでも語られていたように、仕草や表情で売春婦というのをばっちり表現しています。
こんなにかわいくて魅力的な、でも明らかに売春婦だと分かるインドの下町の売春婦って実際いるんだろうか、と疑ってみたくなります。
本人の身の回りにこの役作りにおいてお手本になる人がいるはずはないし、高尚なチャレンジでもヘタすればただ下品に見えてしまったり、これからのキャリアで演じられる役を制限されかねないリスクを負う役を、よくこれだけ演じあげたなあ、と、素顔はかわいいイマドキな女の子である彼女をナマで見たことがあるだけに、感銘を受けました!
すごいやー!

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もう、サンギータのチャレンジを見るだけで充分に価値のある映画なんですが、残念ながらトータルの出来はイマイチかな。

とはいえ、売春婦を扱って、安っぽく観客の関心をひこうとした、安っぽい企画ではなかったことは確か。
画面を見てればそれは分かります。
海外ロケこそないけれど、サンギータの映しかたとかものすごくキレイだし。
(後でクレジットを見たら、撮影はJeevaじゃないの。生前にこの映画を最後まで撮影できなかったのではないかと想像するので、途中から交代しているのかもしれません。)
美術もThota Tharani、音楽もイライヤラージャーという一流どころ。

そして、監督のSivaは、【ムトゥ踊るマハラジャ】のプロデューサーであり、社会派系タミル映画の名匠中の名匠・K.バーラチャンデル(KB)の下で下積みをしてきた経歴の持ち主で、このサントラのリリース時のファンクションでも、KBがこの映画に対して「かつて私の【Arangetnam】のような、タブー視された題材を取り上げた映画でも成功した例があるように、この映画にも期待している」と激励のスピーチを贈っているのです。

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後半のリベンジのエピソードが、ちょっと現代でそれは許されるのー?って感じで古臭い。
占いが現代でも重要とされるインドとはいえ、こんなに迷信にふりまわされすぎるブラーミンの家庭というのも、日本人の私には理解しにくい。
現代を生きる売春婦が人生に光を見出せるかということに対してのこの映画の回答といえるラストが、なんとも弱い。
サンギータの売春婦演技が時にオーバーアクティングというかくどい。演出でセーブすべきところもあったのでは?
カメラマンがおそらく途中で交代した、という点でも、画面がちょっとちぐはぐに見えることがあった。
(たぶんここはJeevaさんが撮ったのかな~と思うような気迫こもっているシーンと、それに比べて安っぽいなと感じるシーンがあり...。)

主題はよかったけれども、脚本の練り上げが足りなかったとか、制作中の環境の変化で作品を昇華しきれなかった、って感じでしょうか。

それから。
せっかく「デーヴァダーシ」なんて言ってるんだから、ミュージカルシーンでサンギータに本物のデーヴァダーシとして古典系ダンスをバリバリに踊らせるとかやってほしかった!
Premの父は古典音楽を演奏するのが趣味、というふうだったので、父と演奏と舞踊のセッションがあるかなあとも思って観てたけど、そういうリンクもなし。(父の横で歌っているシーンはあったけど。)

本人はバラタナティヤムを踊れるし、本人自身もダンスに対して自信があるのに!
ほんのちょっぴり、バラタナティヤムの手と首の動きとかするシーンはあるのだけれども。
彼女のポテンシャルを生かしきれてない演出。

彼女の相手役のPrem(テレビで主に活躍している俳優さんだそう。)は、臆病者なハンサムな学生を好演。
夫として実に臆病者で役立たずで、サンギータが後半で怒りまくってリベンジに出るのも仕方ない、という説得力がありました。(→「目立たない」、という結論にもなる。)

でも彼も踊りが苦手なんでしょうか?
女優さんが踊れても、男優が踊れないと往々にして男優側のスキルに従う(つまらない)ダンスシーンがタミル映画には多いですが、この映画でもご多分に漏れずというか。

ただ、1曲目とか完全にサンギータを盛り上げるつくりになっていて下町っぽい人々の群舞で元気にサリー姿で彼女が踊っていて楽しかったです。
西洋かぶれなだけのダンスの映画も増えている中、こういうインドインドしたダンスを見るとホッとします。
また、ふたりの(ビジネスとしての)初夜シーンになるミュージカルシーンが直接的な表現を極力抑えつつ、なかなか雰囲気があってとても詩的でよかった。
(その後の、結婚しての初夜シーンでのサンギータたちの照れっぷりシーンとうまいコントラストにもなってます。)

ああ、惜しいですなあ。
もう1回、この映画を弱点を克服して撮り直してほしいくらいです。

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ロケ地は、ハイデラバードのラーモジ・フィルム・シティをかなり使用したようです。
他の映画でほとんど使われたことのないセットも利用したらしいので、ラーモジ・フィルム・シティ関係者には注目を浴びたようです。
ロケ地マニアやフィルムシティファンにもいい研究材料になると思います。
というか、私もラーモジ・フィルム・シティ見学しているので、ああ!ここはっ!みたいな興奮がありましたよ(笑)

万人におススメとはいかないけれど、いろんな映画を観てみたい方、
インドの女優さんの演技に大々的にスポットをあてた映画も観てみたい方にはぜひ。
(特に、後者については、タミル映画で女性が完全に主役になる映画は滅多にありませんから...)

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最後に、この映画の後、サンギータは歌手のクリシュと結婚しました。
今後も女優続行だそうです。
彼女のこれからの挑戦も、期待しています。
(結婚直前にこんな映画に出てるのも、すごいよなあ。)
おめでとうございます♪

映画関係の記事リンク

Sangitha's solid answer Inauguration of 'Dhanam' with heroine Sangeetha
Dhanam and Ramoji Film City managers

(2008.2.14、VCDで鑑賞。)

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