Indian Movies / インド映画の話

映画にみるインド古典舞踊

2017/01/14

わなっかん!
インド映画のフィルミーダンスは、古典もの現代もの、インドのフォークダンスに世界のいろいろなダンスをそのときどきのトレンドを踏まえながらミックスして振り付けられています。
西洋化が進むインドとはいえ、インド古典舞踊のモチーフが使われているダンスシーンがある映画は今でもたくさん作られています。

例えば、ラップ調のフレーズのあとに、ヴィーナなんかの音が聞こえてきて、首を左右に動かしたり、古典舞踊のハスタ(手のポーズ)を一瞬キメてみたりするような振り付けがでてくると、ついニンマリしてしまいます。
ああ、インドだなあ!って。

このページでは、七大インド古典舞踊の簡単な紹介と、その古典舞踊そのものが重要な主題になっている映画について、特にご紹介いたします。
(ただし、映画ではその古典舞踊のスタイルに完全に忠実に踊られているものは少ないです。)

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私は特にタミル映画のファンで、それが昂じてタミル映画ダンスマスターのバラ先生からインドムービーダンスを習いました。
バラ先生も古典舞踊でバラタナティヤムを習得していたこと、彼の振り付けの中にときどきそれが現れること(先生はよく、「これはクラシカルの動きだよ」「これはタミルのフォークダンスの動き」「これは昔のインド映画で流行っていた踊り方で今はあまりやらない」とかコメントしながら教えてくれました)、そしてそういう振り付けがタミルや南インド映画の中でよく見受けられることに、どんどん興味が湧きました。
それで、バラ先生が帰国された後、バラタナティヤムを少しばかり習いました。

近頃は、インド映画のダンスの古典っぽい振り付けを見ると、バラタナティヤムのスタイルなのか、そうではないか、という位は、漠然とながらだんだん分かるようになってきました。

インド映画は、古典舞踊のことを知らなくても、存分に楽しめるつくりにはなっていますが、少しでも知ると別の切り口からおもしろさを発見できたり、物語に深みを増して鑑賞できたりしますよ~!

南インド系の古典舞踊

■バラタナティヤム(バラタナティアム/バラタナーティヤム) (Bharatanatyam)

現在、私たちが舞台で観ることができる「インド古典舞踊」というものは、60~70年前に再構築されて舞台芸術として確立されたものですが、そのルーツは2000年前からとも4000年前に遡るともいわれています。

なかでも、南インド・タミルナードゥ州のタンジョール(現・タンジャーヴール)が発祥という「バラタナティヤム」はその歴史がインド舞踊の中でも最古といわれ、時には世界に「世界最古の舞踊」と紹介される場合もあります。

SANY0614
お寺で「Devadasi」(デーヴァダーシー)と呼ばれる巫女さんが神様に捧げる舞をした、というのがルーツのようですが、後にお寺だけではなく、王様たちを喜ばせるために舞う「Rajanartika」と呼ばれる舞踊家たちも現れ、男性も踊るようになったようです。
特に19世紀にタンジョールの王様に気に入られていたという「タンジョール・カルテット」と呼ばれる4人組の兄弟は、伝説的な存在として語られています。(詳しくはこのページが参考になります。)

← 写真左は、タンジョール・カルテットのスタイルを継承する「タンジョール流」の舞踊家、ギャネンドラ・バジパイ。(2007年、品川のお寺で。)

現在では、タンジョール・スタイルの他にもたくさんの有名な流派があるそうです。

既存の流派を超えて、更に独自のスタイルを編み出していく舞踊家もいらっしゃいます。

例えば、インド映画女優として、インド古典舞踊家として、ボーダーレスな活躍をしている現役の方ではトップ中のトップ、ショーバナー(Shobana)。

2006年末のチェンナイ・ミュージックシーズン時の舞台

ショーバナーは、日本でも【ダラパティ 踊るゴッドファーザー】のヒロインとして紹介されましたが、現代モノから古典舞踊まで、バリバリに踊りこなす方です。
チャンドラムキ 踊る!アメリカ帰りのゴーストバスター】の原作である、【Manichitrathazhu】(マラヤーラム、1993年)の最後の曲は彼女のバラタナティヤム系なフィルミーダンスの中では最高傑作のひとつでしょう。機会があればぜひ、ご覧になってみてください。

バラタナティヤムの特徴といえば、他のインド舞踊と比べてスピード感があり直線的な振り付けが多いこと、そして、腰をできる限り大地に近づけて落とした「アラマンディ」という立ち方が基本で、踊っている最中も常に腰が低い位置にあり、ステップが大変力強い、ということでしょうか。

バラタナティヤムを扱った名作と呼ばれる南インド映画は何本もあります。
Thillana Mohanambal】(タミル、1967年)
Sagara Sangamam】(テルグ、1985年) ※タミル版は【Salangai Oli】
なんかは日本人が見ても分かりやすく、傑作中の傑作ではないかと。

上の2本はやや古い映画ですが、今時な映画でも、バラタナティヤムを観ることはできます。
(バラタナティヤムそのものを扱った映画ではないですが、)たとえば【Kadhalan】(タミル、1994年)では主人公がバラタナティヤム教室に通っていて、途中、プラブデーヴァーのとっても躍動的なバラタナティヤムのシーンがあります。

■クチプディ (Kuchipudi)

クチプディは、タミルナードゥ州のお隣・アーンドラ・プラデーシュ州にあるクチプディ村を発祥地とするインド古典舞踊です。
もともとは、ヒンドゥー教の司祭カースト(ブラーミン)の男性のみが踊っていたダンスドラマ形式のもので、日本の歌舞伎に例えられて説明されることもあります。

現在では、ソロダンスとして整えられ、女性も踊るようになりました。
バラタナティヤムと似ていますが、バラタナティヤムに比べると腰の位置は高いです。大きなステップで舞台をところ狭しと動いて舞うようなイメージがあります。
そして、ダンスドラマ形式だったというだけあって、ドラマチックというか、映画の世界に相通ずるものが多い感じがあります。

実際、かつてのダンスマスターはクチプディダンサー出身が多かったそうで、タミルの映画を観ていても、フィルミーダンスはクチプディ的アプローチが多いらしいです。特に足の使い方は、「バラタナティヤムの映画」であっても、クチプディっぽい?と思うものが多いですね。
それから、西洋などの現代的なダンスは腰を低くして踊るものはあまり見かけませんから、映画でさまざまなスタイルのダンスをミックスして踊るなら、クチプディ的なほうがうまくいきやすいのかもしれません。

※実は、バラタナティヤム映画のおススメで挙げた、【Thillana Mohanambal】も、バラタナティヤムの踊り子さんの話ですが、ダンスシーンを見たギャネンドラ・バジパイ先生に言わせると、かなりクチプディの動きが入ってる、とのことです。

クチプディを観られる映画では、
【シャンカラーバラナム】(テルグ、1979年)
ヴァナジャ】(テルグ、2005年)
以上は、日本でも上映された映画で、おススメしたいです。

■カタカリ (Kathakali)

SANY0166カタカリは、ケーララ州発祥で、これも歌舞伎に例えられるのですが、現在でも男性だけで演じられる舞踊劇です。

特徴はなんといってもその独特の化粧。そして、ダイナミックに踊るというよりも、表情で魅せる要素が大きい気がします。

ケーララ州・コーチンで一度観ただけなので、また今後理解が進んだら、追記します。

カタカリの映画、というのは私は観たことがないのですが、タミル映画でもケーララがロケ地だったり話の内容がケーララ州も関わっていると、フィルミーダンスの中でカタカリの方々がバックで踊っていたりしますよ。
【ムトゥ 踊るマハラジャ】でも、「クルヴァーリ村で」のフィルミーダンスの中で、ラジニカーントの後ろでカタカリダンサーズが登場しますね。


■モヒニアッタム (Mohiniaattam)


カタカリと同じく、ケーララ州発祥です。
白いサリーを着て踊ります。バラタナティヤムやクチプディよりも全体的に優美な踊りのようです。

【ムトゥ 踊るマハラジャ】でも、「クルヴァーリ村で」のフィルミーダンスの中で、ミーナの後ろで白い衣装で踊る女性たちが、モヒニアッタムを模倣しています。

北・東インド系の古典舞踊

※北・東インド系はヒンディー映画を観た本数が少ないのと踊り自体をあまり観たことがないので、これからおいおい追記します。。。

■オリッシイ (Odissi)

リプサ・ダーシュ
東インドの古典舞踊です。
バラタナティヤムと衣裳は似てるのですが、髪飾りがだいぶ違うので、そこで見分けはつくかしら。
(オリッシーは、真ん中が少しとがった、看護婦さんのような白い帽子をのせたように、見えます。)
基本の姿勢も、バラタナティヤムと同様に腰をかなり低く落とすのですが、「動く彫刻」と例えられるように、優美でかなり艶やかな動作です。

写真は、リプサ・ダーシュ。(2008年、東京で)

■カタック (Kathak)

北インド発祥でラクナウを中心に発展した宮廷舞踊です。最初はヒンドゥー寺院で神に捧げる踊りであったのが、ムガール王朝の時代に宮廷で庇護を受け、ペルシャ文化の影響も受けて華やかに発展したといわれています。
インドのロマ(ジプシー)がこれに近いダンスを踊り、スペインのフラメンコのルーツになったともいわれています。
(ロマの踊りやフラメンコの因果関係は、【ジプシー・キャラバン】を観ると雰囲気がつかめると思います。)

直立姿勢で、ロングスカートのような衣裳でくるくる旋回する動きが印象的です。
この動作は、ヒンディー映画のフィルミーダンスにもよく見られます。

※タミル映画でも、たまに...。
1950年代のMGR映画で、MGRもスカートみたいな服でくるくる回っているのがありましたよ!
(→ 【Mannadi Mannan】)

【踊り子】(レーカー主演)

カタックが主題になっている名作はたくさんあるようですが、日本でも上映された以下の3作品はどれを取っても必見かと。

【踊り子】(ヒンディー、1981年)
音楽サロン(音楽ホール)】(ベンガル、1958年)
パーキーザ】(ウルドゥー、1971年)

■マニプリ (Manipuri)

インド北東部マニプール州発祥の民族舞踊で、ミャンマーに国境を接する地域であることから、インドでもまた独自の文化を持って発展した踊りだそうです。

円筒形のスカート(小さな鏡や宝石がちりばめられている)の衣裳が印象的です。が、
マニプリもマニプリっぽいフィルミーダンスもまだ観たことがないので、また後日...。

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ここでは紹介していませんが、古典舞踊そのものが主題になっていなくても、古典舞踊をモチーフにした素敵なダンスが観られるインド映画は、もう、それはそれはたくさんあります。

そういう映画も、何かの機会においおいご紹介していきたいと思います!

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