Kaavalan / The Bodyguard (カーヴァラン) | ヴィジャイ アシン

Indian Movies / インド映画の話

Kaavalan

Title : காவலன் Kavalan / Kaavalan (The Bodyguard)(カーヴァラン/ボディガード) (2011年 Tamil 152分)
Director : Siddique (シッディク)
Music : Vidyasagar (ヴィディヤーサーガル)
Starring : Vijay (ヴィジャイ), Asin (アシン)

マラヤーラム映画で2010年にヒットした【Bodyguard】の、タミル版リメイク。
シッディク監督(2001年のヒット作【Friends】以来のヴィジャイとのタッグ)により、ヴィジャイの新しい一面が見られる、と前評判の高かったロマンティック・コメディ。
さてさて?

2011年1月15日公開(ポンガル)

出演者

Vijay (ブーミナーダン)
Asin (ミーラー)
Rajkiran (ムットゥラーマリンガム)ミーラーの父
Vadivelu (アンマーヴァサイ)
Mithra Kurian (マードゥ)ミーラーとレディース・ホステルで同室の友人
Roja (デーヴィカー) ミーラーの母

M. S. Bhaskar (チャクラパニ)ムットゥラーマリンガム家の使用人で、マードゥの父
Nizhalgal Ravi (パールタ・サラティ)ブーミナーダンの父で軍人
Delhi Ganesh (モーハンラージ)ブーミナーダンの叔父で警察官
Livingston カレッジの校長
Madhan Bob カレッジの先生

Vaiyapuri ブーミナーダンの友人
Pithamagan Mahadevan (デーヴァーラージャン)
Guinnes Pakru ミーラーのカレッジの友人
Kishor
Yuvashree (カンディマティ)ブーミナーダンの母
Neepa (プーンゴディ) アンマーヴァサイの相方 ←2010年タミルニューイヤー東京で来日、ダンスを披露していた女優さん
Sharmilee ホステルの管理人
Madurai Janaki

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K.K
Paiju
Master Aswin

Krishna Kumar (カールティク)ミーラーの兄

スタッフ

監督・原作・脚本: Siddique
プロデュース:C. Romesh Babu
音楽監督:Vidyasagar
撮影監督:N. K. Ekambaram
台詞:Guruvaran
ダンスマスター:Raju Sundaram, Dinesh, Vishnu Deva
アクション監督:Stun Siva
美術:Mani Suchithra
編集:K.R.Gowri Shankar
スタジオ:Ekaveera Creations

Songs


Pattambuchi (Pattamboochi) Lyrics: Kabilan, Singer: K. K, Rita, 3:48
 本編では最後のソングシーン(右の画像)。【Pokkiri】(2007年)の共演時に較べて、ずいぶんふたりとも大人っぽくなったなあと、ちょっと感慨深い。かわいいダンス。でもヴィジャイの髪型はちょっと。。。(インドではこれが今カッコいいのかしら?)
Sada Sada Lyrics: Yugabharathy, Singer: T.K.Karthik, 4:13
 茶髪のヴィジャイ、脳天気なヴィジャイがかわいい。
Step it Up (Step Step) Lyrics: Vivega, Singer: Benny, Megha, 4:34
Vinnai kappan Lyrics: Pa. Vijay, Singer: Tippu, Swetha, 4:28
Yaradu Lyrics: Yugabharathy, Singer: T.K.Karthik, Suchitra, 4:25

久々のヴィディヤーサーガル作曲による、ヴィジャイ映画!
Thirumalai】や【Ghilli】でのノリノリの音楽で、ヴィジャイとの相性のよさをすごく感じる音楽監督ですが、マラヤーラム映画のリメイクだからか、ちょっと地味目...?

あらすじ

ムットゥラーマリンガム(ラージキラン)は有力者で、裏切り者は殺すこともいとわない。
しかし、彼がある日、一人殺したことで、メートゥパティ村で助かった命が二つあった。
臨月で苦しんでいた母と、その後生まれてきた子供だ。

助かった子供であるブーミナーダン(ヴィジャイ)は、生まれたとき父親に、「穏やかな人間に育つように」と願いを込めて名づけられた。
しかし、ムットゥラーマリンガムを子供の頃から熱狂的に敬愛し、両親からみると名前と正反対に落ち着きのない青年に育った。

その頃、ムットゥラーマリンガムの息子が原因で自殺を図った娘の父親が、ムットゥラーマリンガムや家族に復讐しようと狙っていた。

その情報を知ったブーミの父親は、息子をムットゥラーマリンガムのボディガードにしようと企てる。
ブーミは命の恩人を警護することに意気揚々としてムットゥラーマリンガムが住む、隣町のセンマヌール村に入った。

ブーミは程なくして、ムットゥラーマリンガムの娘で大学生のミーラー(アシン)の通学時の警護を任された。

うざったいぐらいに生真面目についてくるブーミを、ミーラーは疎ましく感じ、あの手この手でブーミの監視から逃げ出そうとする。
そして、「ブーミに恋する」赤の他人・「アンムクッティ」になりすまして ブーミに電話を何度もかけた。
ブーミは、見ず知らずの女性のアタックに、最初はいぶかしげだったが、自分が幼い頃に初めてアタックされた女の子が同名のアンムクッティだったこともあり、だんだん携帯電話を握り締めて待つようになる。

いたずらやからかい半分の気持ちで電話をかけ続けたミーラーだったが、ある時の会話で、ブーミが如何にムットゥラーマリンガムやミーラーのことを大切に思っているかを知る。

ミーラーはその時から、ブーミを本気で意識しはじめ、思わず電話口で告白してしまう。友達のマードゥは忠告したが、ミーラーも電話を止めることはできなくなってしまった。
しかし、ブーミが恋しているのは、ミーラーが演じている、「アンムクッティ」。
「逢ったことがなくたって、僕が愛してるのは彼女の心だから」と語るブーミに、本当のことを言えず苦しみはじめるミーラー。

そして、ミーラーには婚約者がいた。婚約を破棄してブーミのもとに走ったりしたら、ムットゥラーマリンガムは、裏切り者のブーミをきっと許さない。

ついにミーラーは、その「他人」のまま、ブーミに駆け落ちをもちかける。
マードゥも忠告を続けていたが、ミーラーの本気に折れ、支援することを約束した。

しかし、ミーラーがブーミへの電話する様子とブーミーが家を出て行くところが目撃されてしまった。
その内容はすぐにムットゥラーマリンガムに知られ、ミーラーは拘束され、ブーミに刺客が差し向けられる。

自分が駆け落ちする相手がミーラーだと知らず、何故自分が襲われているのか理解できないブーミだったが、ミーラーを助け、好きな娘と待ち合わせているからこの場を去ることを許してほしいとムットゥラーマリンガムに懇願。そして待ち合わせの駅になんとかたどりついた。

ミーラーは父に見つかった以上、駅に行けない。
しかしまだ疑っている父は、ブーミが待っている女性が現れなかったらブーミを殺せ、と部下に指示していた…。

むんむん’s コメント

2005年頃からのヴィジャイ映画は、「タミルを救う男」系のストーリーに偏りがちで、2007年の【Pokkiri】の特大ヒットでピークを迎えると、新作が出るたびに、批評家やアンチ・ヴィジャイファンに攻撃されるように。

でも、2005年の【Thirupaachi】は、本当に、ヤバイくらいに「タミルを救う男」が似合っちゃってて、路線がワンパターンであっても、いいスクリプトの映画だったら、私としてはそれなりに歓迎だったんですけど。

で、昨年の【Sura】も、わたし的にはOKでした。
「タミルの漁村を救う」漁師の役を演じたヴィジャイが、地方の庶民のファンを増やしたことは想像に難くない(実際、この映画の後、スリランカ側がタミルの漁師達を迫害?するような事件が起き、ヴィジャイは抗議運動を何度も行って、タミルの民衆の喝采を受けたりしていたわけで。)けど、いいかげん、新境地に取り組んだらどうだ!という声がますます大きくなっていたのも事実。

そこで制作が発表されたのが、本作【Kavalan】。
2001年の【Friends】を大ヒットに導いたシッディク監督による、「新しいヴィジャイが見られるよ」という映画。
そして、共演は、【Sivakasi】(2005年)【Pokkiri】(2007年)という2大ヒット作の共演以来のアシン。しかもアシンは2008年のカマルハーサンとの【Dasavatharam】(2008年)以来、ヒンディー映画界での活躍等でタミル映画出演がご無沙汰だったのでタミルへの復帰作だと話題に。

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実は、その2001年の【Friends】(これも、マラヤーラム映画でシッディック監督が大ヒットさせたものをタミル版にリメイクしたもの。)が、私のヴィジャイ初体験映画。(シンガポールの映画館で観ました)

なので、この映画の前評判には、へー、って感じ。
おもしろかったといえばおもしろかったんだけど、2003年の【Thirumalai】を観るまで、ヴィジャイのファンにならなかった私なので、【Friends】の監督だといっても、正直、ピンと来ないのでありました。
でも、マラヤーラム映画界の作風を取り入れると、確かにヴィジャイの新境地が見られるのかもね?
とはいっても、事前に流れてくるスチール写真が、近年のヴィジャイ写真の中で、ダサさが際立ってるような気がするんだけど、それも含めて新境地なのか?みたいな(笑)

そもそも、ヴィジャイにはリメイクよりもオリジナル作品に出てくれた方が、私には好みなので!!!

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そして、マラヤーラム版を観ていないので原作とどっちがいいとかいう話はおいといての感想。

確かに新境地かもしれないけど、地味だなー。
いつものヴィジャイ映画で、私が期待する高揚感が感じられるようなシーンがほとんどないです!
シッディック監督が、「リメイクだけどヴィジャイに似合うように作り直した」と語っていたけど、マラヤーラム映画界で主に活躍する監督がタミル映画のヴィジャイに似合う、と考えるのはこういう映画だったのかなあ、とちょっぴり疑問。

ダンスもアクションも地味。
(ヴィジャイ自身は、踊りまくってますけどネ、これぞタミルのクーットゥソング!!!って感じのバリバリなタミルフォークダンス系の振り付けが影をひそめているのだ。
ラージュー・スンダラムとかがダンスマスターにクレジットされているのに、意外!)

でも、ダンスやアクションをちょいと封印したらヴィジャイが魅力的じゃない、という訳じゃなくって。
前作の【Sura】の方が、もっともっと、ヴィジャイならではの魅力的な表情とかがたくさん観られたんだけどなー。
今回はコメディシーンは多いけれど、とってつけたようなおバカな演出が多くて、ヴィジャイが20代の頃ならそれでもよかったかもしれないけどねえ、って感じかな。
(この映画でのヴィジャイのルックスが、従来のヴィジャイ映画よりもだいぶ、地味というか大人っぽくなってるんで、余計にそう感じた。)

あっと驚くラストシーンでの、父親役のヴィジャイは、こんなしっとりした演技もできるようになってたのねー、と感動しました。

アシンも、鼻っ柱の強い役が多いけれど、今回は自分で撒いた種とはいえ、許されない恋に落ちちゃうというヒロインで、泣きの演技がたくさん。
【Sivakasi】【Pokkiri】でのヴィジャイとのコンビとは、また違ったいい味をだしてました。

あと、【Sivakasi】でヴィジャイの友人弁護士役を演じていたM.S.バースカルが、久々にヴィジャイ映画に出ていたのはツボでした!
今回は居眠りばかりするオヤジ役でしたが、いいですねえ。
もっとヴィジャイ映画に出てほしいです。
ヴァディヴェールばかりが出演してると、ちょっと騒々しすぎるし!

それから、アシンの母親役のロージャー!
母親役演じてても、ヒロイン時代のきらめきがまだ残ってて、オーラがバリバリでいいです。

ついでに、昨年タミルニューイヤーで来日したニーパーが出てたのも驚いたです。
ダンサーでテレビ女優もしていると紹介されていたけど、映画も出てたのね☆
ヴァディヴェールの相方役で、結構出番が多くって。
結構、ぽっちゃりめの肉感的な彼女、この記事書くために本当にあの彼女かな?と検索してみたら、「彼女はホットだ!」というご意見がいくつも見られました。
まだまだ、タミル映画界、ぽっちゃりめの女の子も需要(?)があるようで。うれしく思いました(笑)。

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悪くない、むしろ安心して見られる、いい映画の部類に入ります。
現地の評判も上々の様子。

ヴィジャイは以前、新境地に挑戦しないのか?との問いに、監督やプロデューサー、観客がそれを望んでいるなら勿論するけど(逆にいえば、ヴィジャイに持ち込まれる企画がそもそもワンパターンってことか?)、というような答えをしていたので、こういう映画に出られたのは、この先きっとプラスになるんでしょう。

今後、マラヤーラムちっくな映画に出るのだったら、もっと徹底的に地味にやってもらってもいいなと思います。
ラストのヴィジャイを見てたら、そういうのも見てみたいと思います。

アート系映画も、結構イケるんじゃないかしら!

これから、シャンカル監督作品、マニラトナム監督作品の出演も続くようだし、ますます今後のヴィジャイが楽しみです♪

新境地でもタミルを救う男でも、わたしはどっちでもいいです(笑)

キーワード

地味
ラストのヴィジャイは確かに新境地
泣くアシンがたくさん
マラヤーラム映画界の人が考えるタミルナイズなリメイクとは

【2018.10.7 追記】

Kaavalanは、当初ヴィジャイを想定して書かれたものを、ヴィジャイがまずマラヤラム映画で撮ったら?と提案してマラヤラム版がまず制作された、という経緯があったらしい。「若大将」を封印させたストーリーって、この10年の中でもこれと【Nanban】くらいではないかしら。

【Mersal】を観た後で、この映画を見返してみると、ラストの父親の演技が、既にMersalのパパヴィジャイの片鱗を見せているというか。ラストはヴィジャイが手紙を読んでいたり手のアップだったりの、台詞なしのシーンが続き、ヴィジャイも目ヂカラを使うわけでもない演技してるんだけども、ものすごくエモーショナル。
初見のときは、私も子供を出産する直前だったんで、子育てしている今再鑑賞すると、だいぶ印象が変わりました。

だけど、アシン側、イタ電をかけ続ける根性の悪さは、わたし的には今でも共感できないわ、自業自得ぅ〜。
ずっとからかわれ続けるヴィジャイを見ていても、すわりが悪いというか。
でも、あんなかわいいボディガード相手だと、いたずらしたくなっちゃうこと自体は分かるかな。いやいや、贅沢だ(笑)。

2011年5月1日、Ayngaran DVD(英語字幕)にて初鑑賞。

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