Majunu鑑賞記 チェンナイ

Indian Movies / インド映画の話
Majunu鑑賞記 (2002.5.26発行のメルマガ第6号を加筆修正)

majnuCutout2002

■Majunu ( 2001.12.14 released, Tamil )
majnu dvd
(DVD:Ayngaran)
Hero:(Vasanth)プラシャーント Heroine:(Heena)リンギー・カンナ
KeyRole:(Gajapathy~Vasanthの父)ラグヴァラン
Actor:ヴィヴェーク、ヴァイヤープリ、ラームジ(1曲目のダンス)
Actress:(Heenaの母)RatiAgnihotri
Director:ラヴィチャンドランProducer: Dr.MuraliManohar
Music Director: ハリス・ジャヤラージ Lyrics:ヴァイラムットゥ
Stunt:Super Subbarayan Dance:BrindaArt:Yoga Mahi Camera:Priyan
Songs:
★ GulmoharMalare (Hariharan, Timmy, Anupama)
★ Hari Gori (AnuradhaSriram, Ganga Febimani, Tipu)
★ Mercury Mele (Devan, Unnikrishnan)
★ Pinju Thendrale (M.G.Sreekumar, Sandhya)
★ Mudher Kanave (Harish Raghvendra, Bombay Jayasree, O.S.Arun)
★ Pada Pada Pattamppoochi (Shankar Mahadevan, Krishnaraj, Kavitha Subrahmanyam)
Prashanth Raghuvaran Vaiyapuri Ramji Vairamuthu
参考サイト:公式サイトリンギー・カンナのコメント
Devi Kalaの看板

DeviKala前の映画看板。
SKDとプラちゃん!?


■あらすじ
プラシャーントは「Visual Communications」を学ぶ大学生。 彼の父(ラグヴァラン)はチェンナイで有力な政治家。
プラシャーントは大学でカルカッタから勉強に来ているムスリムのリンギー・カンナに会い、 気になる存在に。

ある日、ラグヴァランが街中で遊説しているとき、彼を狙ったテロ事件が起き、ラグヴァランは間一髪で危機を逃れた。
しかし、この事件の際、たまたま近くを通りかかったリンギーに、 犯人の容疑がかけられ、彼女は怯えて逃げるも、行き場を無くしてしまう。 そんな彼女を、プラシャーントは自分の部屋でこっそりかくまい、数日を過ごす。リンギーは次第に心を開いていく。

プラシャーントは、リンギーを無事にカルカッタに帰そうと、苦労の末、彼女をなんとか発車間際の列車に乗せる。
プラシャーントがリンギーの連絡先を尋ねたが、走り始める列車の音でかき消され、ひとりプラットフォームに残される。
「もう会えないのか」と列車を見つめるしかない彼に、彼女はパンジャビのショールを投げる。 そこには、「あなたを忘れない」と書かれていた。

時が過ぎ、プラシャーントはリンギー恋しさにカルカッタに行く。再会を喜ぶ二人。
しかし、先日ラグヴァランを襲ったテロリスト(ソーヌ・スード)はリンギーの実の兄であり、彼女の兄は、プラシャーントがラグヴァランの息子であることに気づくと、次の標的をプラシャーントに定めた。

リンギーは信頼していた兄がテロリストで、プラシャーントを狙っていることに気付き、愕然。
プラシャーントを無事にチェンナイに帰すため、リンギーは彼につれないそぶりを見せ、ラグヴァランに電話し、息子をつれて帰って欲しい旨を伝える。

ラグヴァランはカルカッタに向かい、リンギーの話を聞き、「ベンガルのムスリムの少女と結婚なんて、私や家の立場を考えろ」とプラシャーントに告げる。
尊敬する父親に、「わかった。一緒に帰るよ」と答えるしかないプラシャーント。
こんなやりとりをしている間にも、テロリストの魔の手は近づいていた…。


■「Majunu」(Majnu)とは?
Majunuとは、人名ですが、この映画の中でMajunuという人物は登場しません。
では誰のことか、というと、インド版「ロミオとジュリエット」である「Laila Majnu」のマジュヌです。

この「レイラ(ライラ)とマジュヌ」はインドで大変有名な悲劇で、サイレント映画でも2回、トーキー以降でも6回以上リメイクされているらしく、インドの各言語版もあるようです。

マジュヌは、レイラしか目に入らず、(他のことには目もくれず)人生をただ愛に捧げた、という男性。

この名前は、今のインドで一般的に名付けられるものではないそうです。
が、こうして話中などでこの名前が出てくる場合は、「マジュヌのように、愛に突っ走る」といったニュアンスがあるようです。

この映画でも、プラシャーントは、愛するリンギーを守るため、なりふり構わず暴漢たちをやっつけたり、親に反対を受けることを承知で、リンギーを追ってカルカッタに行ったり、純愛を貫きます。

この題名が、この映画の中でどのように表現されているのかを考えながら鑑賞すると、おもしろいかもしれませんね。

(「Majunu」について教えてくれたニーラさん、シヴァさん、スディールさん、Thanks!)

 鑑賞日:2002年1月15日(火) 15:30~の回
場 所:Devi Kala (デヴィ・カラー)
チェンナイのエグモア地区
アンナーサライ郵便局周辺の映画館が密集してる地域の映画館
1月のチェンナイ(インド)、クアラルンプール(マレーシア)旅行中の 現地映画館で鑑賞した映画のひとつは、お気に入りのプラシャーントラグヴァランが出演した『Majunu』(マジュヌ)です。  この映画を観に行くことが、今回の旅の最大の目的のひとつでした。●この映画のシューティングを、2001年8月1日に観て、プラシャーントが大変ステキだったし、撮影シーンがどのように映画に使われるのか、またこの作品の仕上がりに大変興味が湧いた。 (詳しくは、見学記で)その上、プラシャーントの映画には、これまた大好きな大好きなラグヴァランもよく出演してるので、要チェックなのです。(笑)
この作品は結構ネット上での評価は上々で、日本にいるときからかなり楽 しみにしていたのですが、現地に着いてラグヴァランと話をしたときに、●「今度の僕はいい人の役だよ」と本人から聞き、今回は、どう「いい人」 なんだか気になった。
(ちなみに、悪役で有名なラグですが、プラシャーントの作品に出演する際 は、いい人の役も割と多いです。)
35days

■’02年1月半ばのチェンナイで、よく見かけた35日突破のポスター

さて、2001年12月に公開されたMajunu、1月半ばのチェンナイでは、公開35日突破を告知するポスターが貼り巡らされていました。が、その時点で、 上映館が案外少なかったので、大ヒット、とまではいえなかったみたいです。
ただし、テレビをつけると、この映画のメイン・ソングはガンガン放送されてました。音楽はかなりヒットしていたんじゃないかな?
音楽は、2001年に『ミナレイ』でデビュー、大ブレイクしたハリス・ジャヤラージです。
イギリスの大学に留学してた方だそうで、インド音楽なんだけどどこか異国情緒が漂う素敵な音楽です。BGMの挿入がこの映画では本当に印象的で、台詞がなくても、音楽で主人公たちの心情が伝わってくるシーンがとても多いです。
メインの『Gulmuhar Malarae』を歌ってるハリハランがまたすごくいい声をしてるんだなあ~。 そして、この曲に合わせて踊るプラシャーントがまた素敵♪
映画のみならず、サントラCDもオススメです!


《どんな映画館?》
デヴィ・シアターは、タミル映画ファンがチェンナイに訪れるなら、絶対に外すことはできない、映画館が密集してる地域にあります。

アンナサライの看板
■アンナーサライ郵便局脇の巨大看板♪

アンナーサライ郵便局脇には、巨大な映画看板がいくつも立ち並び、絶好の写真撮影ポイントです。
デヴィは、4つの映画館があります。私が実際に入ったのは、今回観た『Devi Kala』だけですが、『Devi』と『Devi Paradise』の2つは、大きなスクリーンで音響も他館に比べて素晴らしいらしいです。

チェンナイの映画館は、DTSを導入している所がほとんどですが、前と後ろの スピーカーの音のバランスが悪いところが現状では多いです。(後ろの音がうるさ過ぎたり)
ですが、デヴィはその点では大変聞きやすいバランスで上映されています。
大きなスクリーンの方でお目当ての映画が上映されているときは絶対ココはお勧めです!(チェンナイで、という意味においてですけど…)

ただし、今回の『DeviKala』は、スクリーンが小さい(100数十人のキャパの小さな部屋に、何故か極太の額縁のような枠に収まった小さいスクリーンなので、投影される映画の大きさは、かなり小さい)し、座席が壊れてたりします。
音は悪くないけど途切れました。
そして、極めつけ、蚊に喰われまくりました…。(3時間の映画鑑賞は、蚊との戦いでも あるわけです!)
ということで、Kalaはお勧めはあまりしません。でも、今回の『Majunu』、比較的近場では、ここでしか上映されていなかったので仕方ないんですけどね。

座席は全席指定です。チェンナイでは、前方の安い席が過激に盛り上がることが多いので、(痴漢・盗難等の治安の問題上)初心者は後方の高い席で観た方がよい、とよく言われています。
まだチェンナイの映画館に慣れていない私たちは今回、後ろで観ました。
すると、満席に至らず、前方の大騒ぎの席と後方の席の間で、観客がいない列が何列もできてしまい、後方の席はなんだかさみしげになってしまいました…。分断されて取り残されたような気分? 私も前で騒ぎたあい!と思っても後の祭り。なかなか席の選択は難しい…。
入場料は、高い席が30Rs(100円弱)。(安い席は10Rs程度安かったと思う。) 今回は平日・昼の回ですし、特に並ぶことなくチケットが買えました。


《感想》
観客は決して多いとは言えないけど、前方の席が大騒ぎで、大変楽しそうでした。
ヴィヴェーク驚いたのは、各俳優がその映画に初登場する際、歓声が上がるのですが、一番大きかったのが、現在タミル映画界で、コメディ俳優としてなんばるわんであるヴィヴェーク(写真左)だったことです。何故、主役のプラシャーントより大きいの???
その後もヴィヴェークのコメディ・シーンが一番観客に受けてたりして…。 (思えば昨年プラシャーント+ジョーディカの【Star】を観たときも同様だった かも…)
タミル語がわからないとギャグも分からないので、その盛り上がりについていけないのが、ほんとにぐやじい~。
(後日、何人かのネイティブの人にこの映画でのヴィヴェークについて尋ねたら、後で思い出し笑いをしそうなくらい、大変おもしろい台詞と演技で素晴らしいんだって。分からないのは本当に悔しいぞ。)

うし映画は叙情的な感じで進みますが、ダンスシーンが群舞の女性陣がSKDのような衣装だったり、牛のようなカッコ(写真右)してたり。
町中の映画看板やポスターにもその群舞が描かれてましたが、これぞタミル映画っ!というコテコテさで、もう たまりません~♪
プラシャーント、こんな中でよく真顔で踊れるなあ、と感心しちゃったりして。

ハダカ プラシャーントが上半身裸で、ワイルドな魅力が全開のシーン(写真左)も!
また、演技もどんどん巧くなっていて、さすがプラちゃん
それから、運動神経抜群でカンフー等を修得している彼ならではの、なおかつ、 やっぱりこれぞタミル映画!パチパチ!としたくなるアクションシーンがたくさんあります。
(要するに、そんなのあるわけないじゃ~ん!みたいなアクションね)
私はハリウッド映画などのバイオレンスなアクションシーンは嫌いなクチなんですが、タミルのアクションは、ラジニといい、プラちゃんといい、ほんとに楽しくてスキです。

プラシャーントとリンギー・カンナ リンギー・カンナ(写真右:綴りはRinkieですが、彼女の名前のタミル語の綴りを素直に読むと、「リンギー」であり、撮影現場でも「リンキー」というよりは「リンギー」と実際に聞こえたので、ここではリンギーと表記しています)は、ヒンディー映画界から進出してきた女優さんで、これがタミル映画第1作らしいですが、残念ながらこれといって印象に残りませんでした。
悲しげな表情ばかりする内気な役まわりだったからかな?

ラグヴァラン ラグヴァランは、再会した後に映画を観に行ったので、冷静な感想を持つことはできません(笑)。…スクリーンに現れただけで大喜びですから。
最初、悪い政治家の役なのか?と思ってましたが、そうではなく、市民に信頼を得ている人という設定だったみたい。
落ち着いたトーンのオトナの役で、シブかったです。へへへへへ。(爆)
高名な政治家だからか、上品なクルタ姿ですが、後半で、激シブなスーツ姿も見ることができます。ステキすぎる!

話の筋は、タミル語だけで見ていても比較的分かりやすく、テロリスト役の男性も、 とてもハンサムだし(俳優さんのお名前が分かりません…誰か知ってたら教えてください~!)、映画館で手に汗握って見入る、というにふさわしく、 余韻が残る作品でした。
同時期に鑑賞した【K3G】に比べると、完成度は若干落ちる気がしますが、秀作だと思います。 ぜひ、機会がありましたらご覧になってください!


チェンナイのショッピング・コンプレックスで見学した撮影部分は、カルカッタでのシーンとして映画の中で使われていました。
(タミル語ではなく、英語表記の店ばかりだったので、カルカッタだ、と言われたら、そうかもと思えますね。)
シューティング中、プラちゃんはずっとさみしそうな表情の演技をしていたのですが、それは、リンギーを必死で探しているシーンだったからなんですね。
また、映画の中で、ラグのポスターが町中に貼られているシーンがあるのですが、その劇中のポスターに、後日英語+タミル語でサインをいただきました。
「ろんば・さんどーしゃん!ろんば・さんどーしゃん!」(とてもうれしい!)と連発して飛び跳ねてたら、ラグも「ろんば・さんどーしゃん」とつぶやいて笑っていましたよ。
で、ラミネートして家に飾りなさい、と強烈に勧められました。どうやらラグは、ラミネート加工がお気に入りらしいです。(笑) 個人的な想い出も相まって、この映画はかなりお気に入りです。

20days
■20日突破の際のポスター。Vivekのお顔がちょっとマヌケ?

プラシャーントは、ポスト・ラジニ候補の中では、ヴィジャイとアジットに少々遅れをとっている感はありますが、今後もすくすくと育ってくれたらきっと幅のあるすごい役者になると、私は意気込んで応援しています。
人によっては、「プラシャーント?数年後には名前も見なくなってるさ」と評する向きもありますが、私はプラちゃんの作品を今後も大変楽しみにしています。

(このページの中で鑑賞記の中の写真は、自分で撮影したものを除き、『Majunu』公式サイトから拝借いたしました。) ※2003.4.4up

 

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