Indian Movies / インド映画の話

Mr. And Mrs. Iyer (ミスター&ミセス・アイヤル)

2016/12/07

mr and mrs iyer

Mr. And Mrs. Iyer (ミスター&ミセス・アイヤル)

2000年代に、インド国内で「英語」でインド映画が制作されることが増え、「ヒングリッシュ映画」として注目される作品が何作も出てきましたが、その中でももっとも注目を浴びた、社会的メッセージ性強め/でも叙情的なロマンス大全開な作品。2002年のナショナル・アワード受賞作。

公開日)2002/11/
言語)English(いわゆる、「ヒングリッシュ」)ベンガル語、タミル語も少し。
原作・脚本・監督) Aparna Sen
音楽) Zakir Hussain
主演) Rahul Bose (ラーフル・ボース), Konkona Sensharma (コーンコーナー・セーンシャルマー)
制作 / 提供) Nekta Gill
編集) Rabiranjan Moitra
撮影) Goutam Ghose

あらすじ

里帰りしていたタミル人のミーナークシ(略称:ミーヌ)・アイヤル(コーンコーナー・セーンシャルマー)は、生後9カ月の息子サンタナムを連れて、カルカッタの夫の元に向かおうとしていた。
ミーヌの父親は、たまたま同じバスに乗り合わせた野生動物写真家でベンガル人のラージャー(ラーフル・ボース)に、道中の娘と孫のケアを頼んだ。
 バスには、グループ旅行をしている学生たち、新婚夫婦、お祈りを欠かさないイスラム教徒(ムスリム)の老夫婦、シーク教徒、ユダヤ教徒...様々な年齢、地方、宗教、カーストの人が乗り合わせていた。
 ラージャーは親切にサンタナムの面倒をみたりするが、厳格なタミルのブラーミン家庭で育ったミーヌは、何かと自分のカーストと違うタイプの行動をとるラージャーに怪訝そうな表情を見せる。

 バスは、思いもかけない所で渋滞に巻き込まれ、全く動かなくなった。警察のジープが現れ、近くの部落で個人間の争いでムスリムがヒンドゥー教徒を殺し、それがもとでヒンドゥー対ムスリムの報復合戦になり、道路が封鎖された、と告げる。
 ラージャーは、ミーヌに実は自分はムスリムなので、一緒に行動しない方がいい、と打ち明ける。
 立ち往生したままのバスに、ヒンドゥーの暴徒がなだれこんだ。乗客のひとりひとりに名乗らせ、ムスリムを見つけて殺そうとする。そしてムスリムの老夫婦が連れ去られた。恐怖のさなかミーヌは、暴徒の前でとっさにラージャーは自分の夫で、自分たちはヒンドゥー教徒の「Mr. & Mrs. アイヤル」だと告げ、ラージャーを守った。

 このことをきっかけに、この緊急事態を脱するまで、二人は夫婦と偽って一緒に旅を続けることになった。違う宗教、違う文化を背景とする二人だったが、次第に打ち解けていく。
 同乗していた学生たちに馴れ初めや新婚旅行先を聞かれ、話をでっちあげて語ったりするうちに、もし本当に夫婦だったなら、とほのかな恋心に気付くミーヌとラージャーだったが...。

Songs

♪ Kithe Meher Ali (Remix) Ustad Zakir Hussain and Ustad Sultan Khan 05:19
♪ Don't Look Away Samantha featuring Ustad Sultan Khan (on Alap) 03:54
♪ Don't Look Away (Remix)) Samantha featuring Ustad Sultan Khan (on Alap) 05:21
♪ Kithe Meher Ali Ustad Zakir Hussain and Ustad Sultan Khan 05:01
♪ If I'd Known... Ustad Zakir Hussain and Samantha 05:45

Note

アジアフォーカス福岡映画祭ゲストたちのサインボードにサインする、 ヒロインのコーンコーナー・セーンシャルマー

アジアフォーカス福岡映画祭ゲストたちのサインボードにサインする、
ヒロインのコーンコーナー・セーンシャルマー

●日本では、2003年アジア・フォーカス福岡映画祭(→ゲスト来日した、コーンコーナー・セーンシャルマーのティーチインでのコメント)で初上映。 その後、東京国際女性映画祭で上映。
公式サイト(英語)
●レビュー
Planet Bollywood
 WorldfilmAbout.com
MouthShut.com

●この映画を見る際に、ちょっと意識しておくといい知識:
■インドでは、名前を聞いただけで、宗教やカーストがほとんど分かってしまう。※ラージャーは、イスラム的な本名があるのに、ヒンドゥー教徒が多い地域等では気を使って、ヒンドゥー的な名前のラージャーを名乗っている。ラージャーは写真家として各地を旅行しているからか、ブラーミンの慣習にがちがちに捕われているミーヌより、柔軟に人に対応する術を心得ているんですね。
■瓶入りの飲料を飲む際、瓶に口をつけずに飲む、いわゆる「インド飲み」(例えば【アルナーチャラム】でラジニが口から瓶を離してソーダ水を飲んでいましたよね)は、ヒンドゥー教、特に高位のカーストの習慣。(まわし飲みをする際、他のカーストの人間が口をつけたものを口にしないようにするため)
■ベジタリアンも、ヒンドゥーの高位のカースト、しかも南インドの人がなることが多い。そして、低カーストの者が作った食事を極力とりたくないので、町の食堂で外食するのも躊躇したりする。

コーンコーナー・セーンシャルマー来日語録2003

むんむん's コメント

この1~2年でリリースされたインド映画の中では、私にとってダントツNo.1の出来映えの、なんとも叙情的でひとつひとつの台詞や仕草が心に残る映画。【ボンベイ】と【マディソン郡の橋】を足して2で割ったような映画、とでもいいますか。

 基本的に英語で進行しますが、タミル人とベンガル人、というように違う州の者同士の会話の共通語として英語が使われているので違和感がないです。
 他のカーストや宗教の人と徹底的に距離を置く、昔ながらの厳格なタミルの典型的ブラーミンのヒロイン(「アイヤル」はタミルブラーミンに多い名前のようです。「ミーナークシ」もタミルの土着の女神様の名前。)が、異教徒同士の対立・暴動という緊急事態の中で、違う背景を持つ人間に少しずつ心を開いていく過程が、女性監督アパルナー・セーンの手で丁寧に描かれています。(デリー等で、ダンスのないインド映画としては、異例の4ヶ月のロングランを記録。)
 この映画は、インドに多少でも滞在したことのある人なら、つい頷いてしまうような、インド人特有の文化がにじみ出たちょっとした仕草や台詞が続く。そういった背景を知らない外国人には、ちょっと理解しにくいかもしれない。

 でも、テロや異教徒間の争いが絶えないインドの深刻な問題に、(ほとんどのマサラ映画が題材として避けているのに)正面から向き合っていて、リアルでナチュラルなインドをこの映画から垣間見ることができます。それでいて、重々しくなりすぎず、一級のメロドラマに仕上がっている。
 また、北部のインド人がタミルや南インドに抱く印象はこういうもんなんだなあ、とタミル好きの私には大変興味深かった。ダンスはないけど、とにかくオススメ!

konkona1.jpg
 福岡で見て感動で号泣しましたが、先日11月2日の東京国際女性映画祭でも上映され、再び目を真っ赤にしてきました(笑)。 

 (ここから、更にネタばれですが) 
すごく印象に残ったシーン
1 前半で、自分が瓶に口をつけずに飲んだミネラルウォーターを、ラージャーがそのままラッパ飲みするのを見て嫌悪感をありありと示していたミーヌが、ラストシーン近くでラージャーがラッパ飲みしたボトルをそのまま受け取って何気なく飲むところ。台詞なしで、ここまでミーヌの心の変化を端的に表現するとは!グッときたよー!

2 ラストシーン近くで、ラージャーがコーヒーを買いに停車駅で列車から降りている間、息子のサンタナムにミーヌが「あの人は行ってしまうの...もうお別れよ」とつぶやくところ。字幕の岡口良子先生、あっぱれです。シビレました。

3 ベンガル人のラージャーが、ミーナークシという名前をずっと正確に発音できていなかったのを、もうすぐカルカッタに到着、ってところでミーヌが指摘するところ。今直しても、もうすぐお別れなのに...。

4 バスの中で大騒ぎしていた学生たちを、厳格なムスリムの老夫婦は「はしたない...」と軽蔑の目を向ける。しかし、暴徒にこの老婦が連れ去られる際、真っ先に暴徒に「連れて行かないでー!」と(勇敢に)たてついたのは、彼らが軽蔑していたへそ出しルックスの女学生だったところ。チャラチャラしているように見えても、優しさを失っていないんですよ。これが日本人だったら、どうだろう...?

5 ラストシーンで、カルカッタの駅で二人が別れる際、ミーヌがラージャーに最後につぶやいた台詞「グッバイ、Mr.アイヤル」。ラージャーと言わずに、「Mr.アイヤル」と言ったところに、ミーヌの全ての想いが込められているのがじわじわ伝わってきて、もう大泣き~!

(2003年9月14日、アジアフォーカス・福岡映画祭で初鑑賞。2003.11.7記)

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