Indian Movies / インド映画の話

Vettaikaran (ヴェーテカーラン) ※2009年 ヴィジャイ版

2016/01/02

Vettaikaran Poster

Title : வேட்டைக்காரன் Vettaikaran / Vettaikaaran (ヴェーッタイカーラン/ヴェッタイカーラン/ヴェテカラン)  (2009年 Tamil)
Director : Babu Shivan (バーブ・シヴァン)
Music : Vijay Antony (ヴィジャイ・アントニー)
Starring : Vijay (ヴィジャイ), Anushuka (アヌシュカー)

1964年のMGR主演映画【Vettaikaran】の題名を拝借した、2009年のヴィジャイ版「The Hunter」。
日本人には字幕がないとちょっと厳しいかもしれませんが、この数年のヴィジャイが演じてきた役だとかを考えていくと実にタミルらしい、ヴィジャイらしい勧善懲悪な映画になってます。
ヴィジャイがリキシャーワーラーに初挑戦したことや、彼の実の息子・サンジャイとダンスで初共演したことも話題。
2009年のクリスマス時期公開で、大ヒット中。

Released: 2009/12/18

Cast / Staff

Vettaikaran
Vijay (ヴィジャイ) :Ravi
Anushka Shetty:Susheela
Srihari:Devaraj IPS
Sayaji Shinde:Kattabomman
Salim Ghouse:Vedanayagam
Sanchita Padukone:Uma
Sathyan:Suku
Ravishankar:Chella Vedanayagam
Srinath:Valayapathi
Jason Sanjay (サンジャイ) 1曲目「Naan Aditcha」で父・ヴィジャイと親子共演ダンス
Cochin Haneefa

●●●

Directed:B. Babusivan
Produced:M. Balasubramanian
B. Gurunath Meiyappan
Music:Vijay Antony
Choreograph:Shobi,
Stunt:Kanal Kannan
Cinematograph:Gopinath
Editing:V. T. Vijayan
Distributed:Sun Pictures

あらすじ

ラヴィ(ヴィジャイ)はTuticorinの町に住む、陽気な青年。銃さばきが抜群で勇敢なデーヴァラージ警部にアイドルのように憧れ、自身も警官になる夢を持っていた。

やっとなんとか警官になるための大学に入学できることになり、ラヴィは喜び勇んでチェンナイ行きの列車に乗る。
そこで出会ったのがスシー(アヌシュカー)。ラヴィは一目惚れし、スシーとの結婚生活を即座に妄想する脳天気ぶり。

大学に入ったラヴィは、最初の授業で正義感と機転を利かせたふるまいをし、クラスメイトのウマ(サンチタ・パドゥコーネ)と親しくなった。
ラヴィは学費を稼ぐため、ウマの父親からリキシャーを借り受け、放課後はリキシャーワーラーとしてチェンナイを走り回った。

リキシャーの運転中にスシーを発見したラヴィは、果敢にアプローチをはじめるが、リキシャーワーラーのいでたちのラヴィに、階級が違うのよと云わんばかりの態度を取った。
一方でスシーの祖母は、ラヴィのキャラクターをすっかり気に入り、逆に家に招き入れるのだった。

チェンナイには田舎町のラヴィが想像できないようなヤクザ者がたくさんいたり、田舎のコミュニティでのような絆がこの都会では薄いことに、ラヴィは驚いていた。
ある日、町のヤクザ・チェッラ(ラヴィシャンカル)にレイプされそうになったウマを、ラヴィは持ち前の正義感と勇気で果敢に救う。

チェッラの父ヴェーダ・ナーヤガン(サリーム・ゴーシュ)は警察も操作してしまうほどの悪徳の実業家で、ラヴィは指名手配犯書類の写真をすり返られ、冤罪で投獄されてしまう。
スシーは、デーヴァラージ警部の家に出向き、ラヴィの解放を必死に乞うが、彼は耳を貸そうとしなかった。

それでもラヴィは自力で命からがら脱走し、憧れのデーヴァラージ警部の家に向かった。
しかし、そこにいたのは、ラヴィの憧れていた面影はなく、酒に酔いつぶれていたデーヴァラージ。
デーヴァラージは、タミルのヒーローになったのはいいが、ヴェーダ・ナーヤガンの手下を射殺したことにより恨みを買い、目をつぶされ、愛妻や子供を皆殺しにされて自暴自棄の日を送っていたのだった。

ラヴィは学籍を剥奪され、大学を去った。
もう警官にはなれない、でも警官も買収されたり、警官の誇りを失っていたり、警官も何も頼りにできない世の中。
自分たちの身は自分たちで守るしかない。

ラヴィは故郷の友人たちを呼び寄せ、チェンナイの町に「Detective Agency」を立ち上げた。
町の人々に自衛すべく呼びかけ、時にはラヴィ自身もヤクザな手段でヴェーダ・ナーヤガンの勢力をひとつひとつ消していく。
そして、ついにヴェーダ・ナーヤガンの最愛の息子チェッラを水死に追い込んだ。

町の人々は私立の世直しエージェント・ラヴィに信頼を寄せるようになったが、ヴェーダ・ナーヤガンも反撃に出る。
町は荒らされ、ラヴィの親友も惨殺された。
人々は限界を感じ、ラヴィのやり方に疑問を感じ始めた。
ラヴィもこれ以上、周りを巻き込みたくない気持ちが強まった。

ラヴィはそれまで「Detective Agency」でリーダーとして着ていた皮ジャケットを脱いだ。
一個人のリキシャーワーラー姿に戻り、敵との最後の闘いに、ひとりで飛び込んでいった。

ヴェーダ・ナーヤガンが選挙演説していた現場には、銃を隠し持ったデーヴァラージもたたずんでいた。。。

サウンドトラック

Puli Urumudhu Ananthu, Mahesh Vinayakram (4:18) lyrics:Kabilan
ウルミやタミルの打楽器が存分にフィーチャーされた、この映画の題名が連呼される曲。
映画では、後半、ヴィジャイが警官になる夢を捨てて別のやり方で悪に挑んでいこうとするくだりを、マドゥライなどの聖地やサドゥの映像を交えながらこの曲で展開していました。実にタミルっぽい、土着なサウンドにマントラが入った詩、現代っぽさも入り混じったかっこいい曲です。私はこれが映画の1曲目になると思い込んでいたので意外でした。
Oru Chinna Thamarai Krish, Suchithra (4:36) lyrics:Vivega
このサントラの中で一番若者に受けそうな、ラップが入ったファンクな曲。
ヴィジャイが茶髪のロン毛スタイルで踊っている。
茶髪自体は、そんなに悪くないと思うけど、ダンスシーンのときだけつけ毛をしていると、ヴィジャイに馴染んでないというか。髪の生え際は真っ黒だったし(苦笑)
【Annniyan】をヴィクラムが演じたとき、似合わないのに長い期間髪を伸ばしていたけど、映画が完成したときには見事にヴィクラムに馴染んでた。
ヴィジャイも、もう少し、これは努力が必要?
ダンスはかっこよかったです。でも髪の毛が笑えた、ってことですわ。
Nan Aadicha Shankar Mahadevan, Ashwath Ajith (4:37) lyrics:Kabilan
shooted: Rajamundhry in Andhra (Ayyanar temple set) choreographed: Shobhi
映画の1曲目。ものすごい縦ノリな曲。
45人ずつの少年少女ダンサーも登場。
そしてハイライト、息子のサンジャイくんとの親子ダンスは、超可愛い♪
息子なりの父親の物真似具合、それを父親の目で見て照れ笑いするヴィジャイの表情がたまらんですっ。
Karigalan Surchith, Sangeetha Rajeshvaran (4:17) lyrics:Kabilan
shooted : Mayiladuthurai near Pollachi choreographed : Dinesh
タミルの田園風景の中でヴィジャイとアヌシュカーが踊る楽しい曲。
ウルミもぶおんぶおんなってるし、実に私好み~。
ほんの一瞬ですが、ヴィジャイの左右で違うルックスのシーンがあります。
ヴィジャイのインタビューによると、とても勇気がいることだったようです(笑)
もうちょっと長く見せてほしかったね!
Oru Chinna Thamarai (Remix) Krish, Suchithra (4:36) lyrics:Vivega
En Uchimandai Krishna Iyer, Shoba Chandrasekar, Charulatha Mani, Sakthi Sree (4:12) lyrics:Annamalai

むんむん's コメント

マレーシア、シンガポールで1回ずつ(もちろん字幕なし)観て、実は1回目観た後は「かなりつまんないかも。。。」と率直なところ思いました。

が、二日後にもう一度観たときに、1回目のときのようなつまらなさはあまり感じられず、むしろおもしろかったです。

どうしてこういうことになったかというと、今回の映画はヴィジャイの周りを固める脇役・悪役がいわゆるヴィジャイファミリーではなく、私が全く見慣れてない俳優さんばかりでなかなか顔が覚えられず、映画の伏線とかに全く1回目では気づけなかったこと。
それから、おそらくは台詞がかなり重要で、タミルネイティブでない人間が事前にあらすじを全く知らずに観るにはかなり難しかったんじゃないか、と。

また、マレーシア版で後半でカットされているシーンがあって、その前後の話の流れがさっぱり分からなかったのがシンガポール版ではカットされていないのでスムーズに分かった、ってのも。

2回目のときは目が慣れて伏線も割と拾えたことと、観てる途中で「これはある意味、アナザー・サイド・オブ【Thirupaachi】なんだ」と合点がいったら、どんどん観ててのめりこみましたよ~。

【Thirupaachi】も、チェンナイに嫁いだ妹の安否を気遣うヴィジャイが、警察も何もかもが信用できないと、ひとりでチェンナイの悪人をバッサバッサと倒していく話でした。
【Thirupaachi】もありふれたつまらない話だと批評されてたもんでしたが、結局はタミル人の琴線にふれまくって、特大ヒットを記録。
【Thirupaachi】の世界観に共鳴した人なら、この映画でもかなり楽しめると思います。

これって、ヴィジャイにありがちな路線でもあるけど、ラジニカーントだって、【バーシャ!】や【Sivaji the boss】などで同じような様式。

世の中が荒れている→警察や役所や政治家に訴えても何も変わらない→それなら俺が自ら手を汚してでも立ち上がってやる→ダーティヒーローとなる→身近な人が襲われて自分のやり方に行き詰る→シンプルな立ち位置に戻って、敵に最後のリベンジに向かう…

目新しいテーマは何もないし、警察が基本的には信頼できる日本においてはありえないストーリー。
たぶん南インド映画が好きな人でも、この様式の映画については、好みが結構分かれるんじゃないかな。

私も暴力だリベンジだの映画は基本的に大嫌い。
でも、ときどきそれを超越してバイオレンスの中にもハートが感じられる映画ってのがタミルで登場するから、ウォッチするのはやめられないわ~。
私は、ええ、【Vettaikaran】、好きです。
この映画も、ハートが感じられました。
この「タミルを救う男」路線で似合ってしまう若手の役者も、あんまりいないでしょう。
タミルの人が目新しくないと言いながらも劇場に詰め掛けるのは、納得できます。

●●●

ただし、この路線が結構好きとはいっても、その路線の中での出来ってのはあるわけです。

パフォーマンス面的には、ヴィジャイは相変わらずよい!すばらしい!
アクション監督のカナル・カンナンとの久々のタッグ、結構土臭くてタミルらしい雰囲気をよく出していると思います。

でも、撮り方、シーンの繋ぎとか、荒っぽいというか、ちょっと洗練してないというか。
ヴィジャイのパフォーマンスはよくても、最高のヴィジャイの瞬間を最高にかっこよくカメラが捕らえる、という意味ではあまり成功していないんじゃないかな。
だから、画面だけ見ていても台詞がわからないと魅力が分からない、というシーンが多くなる可能性が。
悪役も、私が見慣れてなかったという点を差し引いても、憎たらしいくらい魅力的でワルじゃないと、盛り上がりがどうも欠けるなあ。今回の悪役の方たちはただ悪いだけって感じ。
【Thirupaachi】だと、ワルのひとりでさえ、パシュパティが演じてた、「パッタース・バル」みたいに、個性があっておもしろかったもんでしたよ。

撮り方、繋ぎ、の面では、前作の【Villu】が最高に絶妙なタイミングでかっこいい編集でゴキゲンな疾走感のある映画だったので、本作のもたつき方は気になりました。

日本人が観るなら、絵的には断然、【Villu】をお勧めしたいと思います。

それから、アヌシュカーとのロマンスの結論はどうなっちゃったんだー!
(せっかく【Arundhati】でかっこいいヒロインを演じていた、アヌシュカーの持ち味や見せ場もほとんど不発だったゾ。)
ヴィジャイのヒロイズムの表現に監督たちは頭が飛んじゃってて、ロマンス面が起承転結になってません、相変わらず(苦笑)
これは、ヴィジャイ陣営は、今後なんとかしてほしいです。
【Sachin】とか【Azhagiya Thamizh Mahan】みたいな路線の恋愛映画、またやろうよ、ヴィジャイ、ねえ(笑)。

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最後に、この映画での「Vettaikaran」(=hunter)とは、何のことだったのか。
映画の中で語ってたのかもしれませんが、早口のタミル語の台詞にお手上げだった私には結局分からなかったのですが、鑑賞してひと月が経った今、私なりにはこう解釈しています。

前半は、スシーをハンティングしようとするラヴィ。
後半は、自分の理想と正義をハンティングしようとするラヴィ。

で、クライマックスで、ラヴィの憧れだったデーヴァラージが自分の警官としての誇りを取り戻せるか…というシーンがあるわけですよ。ぐっときますよ。

…あとでDVDが発売されて、英語字幕を観てみたら、全然違ってたりして。
でも、こんなのもありでしょ。
いずれにせよ、この映画の世界観に酔えて楽しかったですから、もうそれでいいです(笑)

ついでに

▼ページ下方の、関連記事リンクも、ぜひ見てください!
 ・【Vettaikaran】リリース直後のヴィジャイのインタビュー(翻訳)

・MGRの【Vettaikaran】を併せて観ると、もっと楽しめます。
・ラジニカーントの【バーシャ!踊る夕陽のビッグボス】が好きな方なら、ヴィジャイのリキシャーワーラー姿、ぐっとくること請け合い。
・でも、そのリキシャーワーラーも、MGRの【Rikshawkaran】でのサイクルリキシャー運転手を踏襲してるので、【Riskshawkaran】も観ましょう。
ヒロインが「リキシャー運転手なんて…」と見下すくだりとか、MGRの時代と今でも何ら変わってないんだなあと、法的には廃止でもインドに依然と存在する階級差別について考えるところがあります。
・インドのバンガロールで公開直後に鑑賞された、カーヴェリ川長治さんのレビューも納得する部分が多々あり。

(2009年12月27日、マレーシアのマラッカにて初鑑賞。29日、シンガポールでも鑑賞。)

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