【ようこそサッジャンプルへ】 (Hindi,2008)

Indian Movies / インド映画の話
Welcome to Sajjanpur ポスター

Welcome to Sajjanpur ポスター

(9月27日)

アジアフォーカス福岡国際映画祭2009で観た3本目は、インド映画の【ようこそサッジャンプルへ】(Welcome to Sajjanpur)。
今年はインド映画は1本だけなんですねえ。しかもいわゆるなマサラムービーではなく。
でも、アジアフォーカスで紹介してくれる地味なインド映画、いい映画が実に多い。
多いのに、東京まで上陸してくれない映画が多い。
やっぱり福岡まで観に行かなくちゃならん(笑)。
いやー、映画祭にかこつけて楽しい福岡観光もさせていただいてる訳ですが。

この映画は日曜の朝10:20~だったので、寝坊遅刻をしないように、少々緊張。

インドの村サッジャンプルに暮らす小説家志望のマハーデーウは、村人の手紙を代筆する仕事をしていた。文才のある彼に多くの村人が手紙の代筆を頼みにきた。ある日、小学校の同級生で人妻のカムラーが、離れて暮らす夫への手紙の代筆を頼みにくる。彼女に恋してしまったマハーデーウは、夫と別れさせようと一計を案じる。
主人公のロマンスを縦軸に、歌やダンスを盛り込んだ、コミカルな風刺コメディで、インド映画の巨匠シャーム・ベネガル監督による円熟の最新作。(映画祭公式ガイドブックより)

シャーム・ベネガル監督ものは、NFCのインド映画特集上映時に【ミュージカル女優】と【ゴアの恋歌】を観たことがあるけれど、正直いうと、どっちも私には退廃的で超退屈な映画でした。(もちろん、観るべき部分はたくさんあるので、観る価値がないとかそういうことではなく!むしろ映画にしてくれないと知ることのない世界を知らせてくれた、という感じで、インドに興味のある方には両作品とも観てほしいです。)
だから、シャーム・ベネガルの映画だからというだけでは興味はあんまりわかなかったのですが、70代半ばにして監督歴40年以上の彼が「初めて手がけたコメディ」というのには結構気になった。

で、映画。
とてもよくまとまっていて、風刺もきいていて、おもしろかったです!
コメディ映画と言うとおり、たくさん爆笑できました。
起承転結がインド映画には珍しくしっかりしてて、予定調和的だけど爽やかで見事なハッピーエンド。観た後に楽しかったねー!と語り合いたくなります。

わたしが上記の2作でこの監督の作品って苦手かも。。。と思った要素はまったく【ようこそサッジャンプルへ】では感じられなかったです。
マサラムービーとまではっきり言えないにしても、歌い踊るシーンが結構盛り込まれててリズムがありました。かわいらしいお色気シーンもありました。

ヘンに商業的すぎずに、でも芸術映画のような堅苦しさもなく、見やすくてよかった。
70代でこんな軽快な映画が撮れる、というのはむしろ大尊敬に値すると感激でした!
(このごろ、67歳で今年もすごいステージを見せているポール・マッカートニーといい、94歳で先日亡くなる直前までNYで毎週ライブをやってたレス・ポールといい、どうもじいさんパワーに涙もろい傾向のわたし。。。)

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(インドに興味ない人も含めて)誰にでもおすすめできるインド映画を久々に観られた、って感じ。
終わった直後、客席の周りからも、「さすがインド映画!」とか聞こえてきました。

ただし、とっても細かいギャグや皮肉がたくさんちりばめられてて、インドに興味があって、インドに関する経験があればあるほど、お腹をかかえて笑えるシーンが増える映画だと思う。
逆に、経験や知識がないとその皮肉がひろえない可能性があり、映画がただおもしろいだけ、インドって変な人や変なカーストや変な政治家がいるんだね、これっていつの時代の話?とか思われちゃう可能性はあるかも。

何しろ、日本で文盲といわれてもピンと来ないけど、インドではまだまだ多数の文盲の方がいるわけで、そのへんの文化や背景の差異に、(知識がなくとも)観客がどこまで想像を働かせて歩み寄れるかが、この映画がただおもしろいだけで終わるか、おもしろいだけでなく味わい深いと感じられるかの分かれ道かもしれないですね。

このページまで見に来てくれるような方は、インドに何かしら興味があるでしょうから、味わいどころがたくさんあると思いますよ!

「文盲の人ばかり」の村をテーマにして、しかもそれをコメディに仕立てるとは、日本では絶対に生まれることのないタイプの映画だし、アジア映画祭で紹介されるのはとても意義のあることだと思います。実際おもしろかったしね。

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映画がセットで撮影されてる部分が多いなあ(どこだろ?)と思ってたところ、エンドロールをみたら、どうやら大部分がハイデラバードのラーモジ・フィルムシティでの撮影だとか。
(2005年に遠足してきたから、なんか見覚えのあるようなないような風景だなあと思ってこの映画を見てたら、ラーモジだったのか!って感じ。さすが、巨大スタジオ。なんでも撮影できちゃうのね)
余計に親近感わきまくり。

いい映画でした。
東京でも上映されるといいなあ。NFCに収蔵希望!

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