Santosh Sivan 2007.9.28 in Tokyo (2)

Celebrity / インド映画界の人々の話

サントーシュ・シヴァン監督/撮影監督の「日本インド映画人シンポジウム」東京会場でのその2です。 (1

パネル・ディスカッションの内容 (前編)

質問:【ディル・セ】の「チャイヤ・チャイヤ」の撮影について聞かせてください。とても危険だったと思うのですが。(M)

4日間で撮影した。
マニ・ラトナム監督からはこの曲については列車で、という指示がまずあった。
列車の上でのダンスの撮影は、危険は危険であったが、技術的にはそんなに大変なものではなかった。
この曲では楽しさ、即興的なものを大切にした。

質問:【ナヴァラサ】はドキュメンタリーのようでドラマになっている融合性がすごいと思った。映画の予算(バジェット)が違っても、撮り方は変わりませんか?自分だったら、低予算でも豪華なものでも何でも撮れるという自信があるし、そうありたいが。(H)(S)

かけだしの頃、仕事がなくて自信がない時期もあった。
その頃、撮影について教えたりしていた。しかし、(理論など)自分が一方的に教えているだけで、生徒は学ぶことがなかったかもしれない。

ある日、教え子の一人に森に連れて行かれたんだ。すると足跡が2つある。トラが近くにいたということだ。
私は教え子に「トラが出たらどうやって逃げるんだ?」
教え子「木に登って逃げます」
私「私は登れないぞ」
教え子「大丈夫、今登れなくたってそのときがくれば、(登れないと考える余裕もなく)きっと登って逃げることができるはずです」

この出来事は自分にはとても印象的で、バジェットについても同じことが言えると思っている。
バジェットがどうあれ、映画制作はどうにかなるものだ。

discussion

バジェットの考え方は万国共通なようですね。(アマチュアが作ると)予算が3万円なんて厳しい映画もありますが、「志」があれば、低予算であっても人を感動させられる。(N)
質問:インドでのコマーシャル・フィルム(商業映画)とそれ以外のフィルム(アート系映画)の制作割合はどのくらいですか?(S)

アート系フィルムはとても少ないし、コマーシャル・フィルムとは比較にならない。
コマーシャル・フィルムは今世界にたくさんのインド人が住んでいて、世界でもマーケットがあるしその傾向は今後も大きくなっていくだろうけれども。

質問:インド映画の歌と踊りは、もともとの文化的なもの?それとも映画上のものですか?(N)

歌と踊りはインド(文化)の昔からのスタイルだ。
このスタイルを続けることで、世界のマーケットへのパブリシティ(PR)にもなっているし、とても貢献していると思う。
音楽で物音などを表現する方法など、今でもよく研究されている。

質問:【ナヴァラサ】の録音はアフレコ(後で音入れ)のようですが、日本ではシンクロ録音(同時録音)が多いです。インドではアフレコが多いのですか?(N)

シンクロでも録音するのだが、なにしろ周りの雑音が凄くて(笑)。
イギリス人スタッフと撮影したとき(【Bride & Prejudice】か?)は、シンクロ録音だったが、静かな場所を選んだよ。

質問:(録音の話を受けて)撮影の雰囲気はどんな感じですか?(S)

大勢が騒ぎながら撮影するんだ。
現場にひっきりなしにお客が来るし。ますます大騒ぎになる。
ラジニカーント映画なんかになると、もう、フェスティバル状態だ。紙吹雪は舞うし。

ただ、(見物)客が迷惑だという訳ではなく、現場に来たお客は、完成した映画をシアターに観に行くだろうからいいか、というような考えだよ。

ずいぶん、インド映画の現場はおおらかなんですね(笑)。(S)
質問:インドは機材も古くてアフレコだったのだと思うが、そろそろインドでも機材が進歩してシンクロが進んでいくのでは?(M)

まだまだ、アフレコが好まれている。機材が進歩しているのは事実だが、どの現場でも新しい機材とは限らないし。

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