Vijay(ヴィジャイ)が南インド・タミル映画界で熱狂的に愛される10の理由

Celebrity / インド映画界の人々の話

Space Box Theri

タミル映画界の「若大将(Illaya Thalapathy)」ヴィジャイをご存知ですか?

一昔前に較べると、たくさんのインド映画が日本で紹介されるようになってきましたが、未だ一本も日本で公式上映がなく(日本の映画祭や一般公開された作品がない)、日本におけるインド映画の「秘境」のような存在。
(若大将といっても日本で言うなら、加山雄三というよりは、やんちゃな石原裕次郎、のイメージに近いかな!)

今までに【Thuppaki】【Kaththi】【Puli】の3本が、日本で在日インド人のグループの手によって、自主上映されました。【Puli】は、【マダム・イン・ニューヨーク】(English Vinglish)の主演・シュリデヴィがその次の出演作に選んだ映画としても(少し)注目を浴びましたが。

さてさて、来る4月16日(土)、インド本国公開日(4月14日・タミルニューイヤー)からたった2日後に、ヴィジャイ主演59作品目の最新作【Theri】が、川口と海老名でSpace Boxの皆さまの手で自主上映されます!

※4/12追記
4月16日、川口スキップシティは夕方の回も追加になりました!(16:30開映)。
川口は13時(開場12時)、16時半の2回上映です!

Theriの日本上映を控え、今回ヴィジャイがタミルで大スターである理由を、わたくしなりに整理してみたいと思います。

ヴィジャイ;
1974年チェンナイ生まれ、チェンナイ育ち。 父親は、タミル映画界で著名なS.A.チャンドラシェーカル監督。母親はカルナーティク歌手のショーバー。
幼い頃から父親の仕事場についていくうちに自然と映画界を志す。18歳の時、父親の監督作でデビュー。 
今回の【Theri】で主演59作目。 現在、SUPER STAR☆ラジニカーントの後の世代としてタミル映画界で圧倒的な人気を誇る。

最大のライバルはアジットクマール。 親友はヴィクラム。 2児の父親。
プリヤンカー・チョープラーの映画デビュー作は、ヴィジャイとの【Thamizhan】(2002年)。ヴィジャイ、観といて損はないですよw

1.ダンス! クーットゥ!

インド映画といえば、ダンス!  タミル映画といえば、ダンスの中でもクーットゥ(タミルのストリートダンス)!
クーットゥといえば、ヴィジャイ! とにかくダンスが上手い! タミルのビートに合わせて踊るヴィジャイがとにかく情熱的でかっこいいのだー!

とりあえず、近年の作品で一番好きなダンス。 【Thalaivaa】 2012年

ダンスバトルのおススメ!

★あまりにも、有名。ダンスマスター兼俳優だったローレンスとのダンスバトル。 【Thirumalai】 2003年
 ↑ かつて、日本のテレビ番組「世界おもしろ珍メダルバカデミー大賞」のシンクロムービーで取り上げられたこともありました♪
【ムトゥ 踊るマハラジャ】のヒロイン・ミーナとのちょっとコミカルなダンスバトル。 【Shahahaan】 2001年
当時圧倒的な腰のキレだった女優シムランとの、クールなダンスバトル。 【Youth】 2002年

2.アクション

ダンスが上手いインド映画の俳優さんは結構いるけど、アクションも同じく上手いという両方揃った俳優さんは案外多くありません。 ヴィジャイといえばアクション映画! 

ヴィジャイの両親は、当初ヴィジャイを俳優にする気はなかったようです。が、俳優を志したいと10代の息子が両親にある日訴えます。息子の本気を悟った、父親のS.A.チャンドラシェーカル監督は、「タミル映画でやっていくには、アクションができなくてはダメだ!」と、それからは毎朝4時半にマリーナビーチに息子と向かい、乗馬とアクションを特訓していた、とのこと。

妹を守るために鬼となったヴィジャイが 鉈を振り回すアクションが痺れる、【Thirupaachi】(2005年)

妹を守るために鬼となったヴィジャイの
南インド映画名物・鉈を振り回すアクションが痺れる、【Thirupaachi】(2005年)

アクションシーンに関して言えば、この10年位のヴィジャイ映画については、基本的にどの作品を見てもハズレがありません!(そもそもアクションがない【Nanban】は論外ですが…)
仮にストーリーが微妙でも、ヴィジャイの場合はダンスとアクションで楽しめるから、十分モトを取れてお買い得です♪

おススメのアクションシーンは、youtube等でいくらでもヒットしますので、わざわざリンクを貼りませんが、近年では2014年の【Jilla】と【Kaththi】あたりは、ホントに中毒性があります。

3.アクションとダンス

アクションとダンスが両方得意なヴィジャイだからこそ、ケンカしながらダンスも踊れちゃって、しかもそれが最高にクール!なんですねぇ。

【Pokkiri】 のケンカダンス Adungada 2007年 
ポッキリ・ポンガル♪ プラブデーヴァー監督も出てくるよ!

4.目ヂカラ、スタイル

近頃のタミル映画界。 ラジニカーントを筆頭とする「スタイル」(その俳優の、様式美みたいなもの)がハマる主演俳優と、「スタイル」を否定するナチュラル志向な主演俳優で二分化が進んでいる感があります。
私の場合は、【ムトゥ踊るマハラジャ】のラジニのスタイル(タオル回しなど)に痺れてインド映画の世界に入りまして、その後も基本的にその嗜好に変化はなく、スタイルがあるタイプの俳優さんが主演の映画が最も好みです。これぞスター映画!って感じの。これぞ娯楽映画!って感じの。

ヴィジャイも30代を迎えるあたりから、目ヂカラが格段に増して、「スタイル」系を邁進中。

こんな、ヴィジャイだらけの映画看板も作られちゃう! 【Thirumalai】(2003年)

こんな、ヴィジャイだらけの映画看板も作られちゃう!
【Thirumalai】(2003年)

社会派入っててもいいけど、救いのないリアリズム系や辛気くさい映画よりは、どかーんとスターに見入っちゃう娯楽映画を観たい人!  とにかくヴィジャイ映画なら、だいたい安心です。

ただし、【Kaththi】(2014年)は、社会派とマサラムービーが絶妙に融合した、近年稀にみる傑作です! 社会派好きな方もぜひどうぞ☆

5.長台詞

ヴィジャイといえば、「長い台詞回し」がキマる人としても有名。 長い説教、長い演説がしょっちゅう出てきます。 見せ場なんですな。
日本人が日本語字幕なしで見ると退屈極まりないことになる危険性を秘めてはいるけど、逆に何を言ってるか知っててヴィジャイのあの目ヂカラでの長台詞を聞いてると、独特のタミル語の響きとともに段々気持ちよくなってくること請け合い。 

そして、長い説教をされて、ヴィジャイに惚れてしまうヒロイン、という設定がこれまた多いんだな(笑)

近年の説教映画では、【Kaththi】で農村の水問題を演説するヴィジャイも壮絶おススメだけれど、何といっても、アサシン・クリード(のパクリ)なルックスでヴィジャイがスーパーヒーローになる映画【Velayudham】(2011年)が最高におススメ! タミル映画では数少ないブルーレイも発売されてる作品だから、観てみてね♪

6.ファニー

ヘラヘラしてたり軽薄だったりファニーだったり、つかみどころのない魅力も振りまくのがヴィジャイ。 そして、存在がとにかく明るい。 年齢を重ねるごとに大御所になっていく重厚さも増しながらも、何かフットワークの軽い感じのおかげで、ヴィジャイ映画は娯楽映画として基本的なところは裏切らない、一定以上の質は絶対あると信じられる安心感があります、私の場合。

Villu】 2009年

分身の術ダンスの最高傑作(笑)。 ファニーな動き、軽薄な笑顔のヴィジャイが画面いっぱいに広がります。

7.歌

カルナータカ音楽の歌手にして、今でも現役映画のプレイバックシンガーでもある、ショーバーがヴィジャイのお母さん。
お母さん譲りな美声を持つヴィジャイは、近年は毎作品で1曲披露することが多いです。
演じる人ならではな、エモーションがあふれる歌唱をするようになってきました!
今度ヴィジャイはどんな歌を歌うんだろう?という話題でも、現地は毎回盛り上がってますよー。

Jilla】 Kandangi Kandangi 2014年

名プレイバックシンガー、シュレーヤー・ゴーシャルとの共演だったこの曲。
なんと日本ロケで、ヴィジャイが歌い踊ったのです!

プリヤンカー・チョープラーとだって、まっさきにデュエットしてるんですよー!(メルヘン☆)
Thamizhan】 Ullathai Killathe 2002年

8.エイジレス

「若作り」してるんじゃなくて、リアルに、20代のようにお肌つやつや〜♪
もともと童顔なのも相まって、年々若返ってるような錯覚さえする、若大将。

Puli】 Puli 2015年

【Puli】(2015年)では、40代にして「ファンタジー映画」に初挑戦。チャレンジャーだね!

9.何気に、演技力

一昔前は、同世代のライバルたちに較べると「ダンスとアクションは上手いが…」と演技については無視されがちだったヴィジャイ。けれど、【Azhagiya Thamizh Mahan】(2007年)で一人二役に初挑戦。
主役スターの(一粒で二度美味しい!)一人二役は、タミル映画の伝統芸なところがありますが、俳優として演技力が認められてきたことの一つの証明に。
以後、一人二役のヴィジャイ映画が増えてきて(直近の【Puli】【Kaththi】も二役)、こうも増えると、いささか食傷気味(?)。
そこへ…。

【Theri】 最初に公開されたスチール
therifirstlook

おおっ? 今度の【Theri】では一人三役っすか!? 芸達者な親友・ヴィクラムの【Anniyan】に並ぶ三役だ! 初挑戦が続くね〜。
さあこの先どうなるヴィジャイ。最終的な目標は、カマルハーサンの【Dasavatharam】の一人十役越え、か?(笑)

10.美しきタミルの息子、若大将、そしてリーダーへ。

始めこそは、親の七光りで映画界でのキャリアをスタートしたヴィジャイ。
しかし、生粋のタミルっ子の彼は、熱いタミル映画愛とタミル愛を胸に努力を重ね、今や押しも押されぬタミル映画を牽引する大スターに。

Illaya Thalapathy(若きリーダー、若大将)という冠のついた彼も、40代を迎え、ラジニカーントが「タレイヴァル」(リーダー)と呼ばれるように、「タレイヴァー」(同じく、リーダー)と呼ばれるようになってきました。

しかし、歴代のタミル映画界のNo.1スターであるMGRもラジニカーントも実はタミル出身ではありません。生粋のタミルっ子であるヴィジャイが次のなんばるわんに昇りつめるのを、ロマンを持ってタミルの皆が待ち望んでいる、という印象も受けるのです。
(日本人力士が優勝争いに絡んだときの大相撲の盛り上がり、のように…)

そんなヴィジャイに【Azhagiya Thamizh Mahan】(美しいタミルの息子/タミルのハンサムボーイ)なんていう、日本人の私からすると、こっぱずかしいタイトルの映画が作られちゃう位なのであります。

【Azhagiya Thamizh Mahan】 Valayapatti 2007年

でも、こういうミュージカルシーンを見ちゃうと、まさにそれってヴィジャイのことじゃん、って思いますね。ええ。私だけが思ってるってことじゃないですよねえ、こんな映画が作られるんですもの。

番外編:やはりタミルの「男気」は「ヒゲ」と「むなげ」!?

ボリウッドのトレンドに流されない。
やはり、タミルの「男気」は、ヒゲと胸毛が基本である!


1999年に放送されたテレビ番組でも、スターの条件は「ヒゲ」と紹介されてましたね♪

鍛えていてもお腹なんか、ちょっとくらい、まるっとしていた方がナチュラルでステキなのである!(ドーティやルンギといった南インドの伝統的な腰布が似合うかも、重要なポイント。ぽっちゃりお腹の方が、似合う!)
現在のタミルの若手トップ争いを続けるヴィジャイとアジットクマールは、まさにその王道を突っ走ってます!
この伝統は続いてほしいです。これこそがローカル映画の魅力のひとつです。(と私は言い切りたいです。)

【Theri】 トレイラー

Theriのティーザーやトレイラーを見ると、Theriでもタミルの男気は健在そうです。
楽しみです♪♪♪ 

では皆様、4月16日、お会いしましょう。 そして一緒にヴィジャイで萌えましょう。

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