【ゴーン・ショッピング!】 (Singapore,2007)

ゴーン・ショッピング
今年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で観た映画1本目は、シンガポール映画。
シンガポール映画を観るのって、【フォーエバー・フィーバー】を2000年のロードショー時に観て以来。
あの映画の公開時、シンガポールで映画が製作されるのは近年少ないという解説を読んだものだけど、今でもそうなんだろうか?
なんにしても、【フォーエバー・フィーバー】が傑作だったので、同じ国の他の作品も観てみたいとは思ってたところ。

人生の折り返し点40歳を迎えたクララは、夫との満たされない日々をショッピングセンター通いに逃避する。そこは、両親に置き去りにされたインド系の少女やアニメおたくの若者など、ワケありな人々が集まる迷路。短編で腕を磨いたウィー・リーリン監督の才気あふれる長編第1作は、シンガポールそのもののような巨大ショッピング・センターを舞台に、心の空洞を埋めたくてさまよう人々の姿を通して、愛の喪失と再生への願いが、愛情あふれるアイロニーで描かれる。(公式ガイドブックより)

上のあらすじだけ読んでも、「インド系の少女」以外ピンとくるものはあまりなかったのだけど、はじまってみたら、心わしづかみされっぱなし!

まず、クララがさまようショッピングセンターのひとつが、リトルインディアの安売りデパート、「ムスタファセンター」!
(わたしもシンガポールでは、ムスタファセンターに入り浸りっすよ!)
そしてムスタファセンターで出会う、不仲の両親(父親がプー太郎)に置き去りにされた少女がタミル人!
そのインド人家族がぶらついてたのは、インド映画のDVD&CD売り場!(うおー!)
当然少女とムスタファセンター従業員との会話は全部タミル語!
アニメ、ゲームおたくの若者が憧れているのは日本のサブカルチャー。
(メイド服にはまっている女の子が何人も出てきてびっくり。そして、えっちするときのあの台詞は…何なのだ???)

シンガポールはショッピング天国だけれども、ショッピング天国の国で生きている人々のアイデンティティの迷いや喪失感といったものが時にコミカルに、時にシュールに、時に切なく、絶妙に表現されていました。

40歳のクララ役の女優さんが、とんでもなくかわいい。特に目が魅力的。
有閑マダムだけど、伴侶は妻子が台湾にいて、自分は普段はひとりぼっちで。。。という設定。
このままでいいの?と思いつつ自分に自信を持てなくて、自分で環境を変える何かを起こすことができなくて。

その気持ちは、すごく共感できる。
とはいえ、ただ流されてる人とは、気持ちは分かるけどあんまり関わりたくなかったりするもんです。
でも、このクララは、なんか目が離せません。

クララの愛人が「ムスタファセンターなんかにまで買い物に行ってるのか!?」と怒る台詞がでてきた。
そうか、インド系じゃないセレブな人たちにとって、ムスタファセンターってそういうふうに捉えられてるんだなあ。

クララが「でもいいものが売っていて、24時間営業だから便利なのよ!」と反論する。
その通り。
でも、愛人にとっては、普段から買い物三昧なのに、なぜ深夜にまで出歩いてまだ買い物してるんだ?と夢遊病者のようなクララの行状にいらだつ。(クララという名前は「アルプスの少女ハイジ」をひっかけてるのかな?)
日本で例えるなら、よなよなドン・●ホーテあたりに入り浸るマダム?
確かに心配するわね。

そのムスタファセンター内のカウンターのファーストフード店「ムスタファ・カフェ」で、ムスタファで朝を迎えてしまったクララとタミル人少女がハンバーガーにかじりついて会話するシーンが、妙にリアルだった。
わたしも、そこでジュースは飲んだことあるけど、今度行ったらハンバーガー食べたい。

ムスタファセンターやタミル語がばりばり出てくる時点でかなりツボだったけど、ワケありの人々がたくさん登場して、でも訳分からなくなるほどエピソードがごちゃごちゃしてたりせず軽快。

はっきりとした結論のラストではなかったけど、それだけに余韻が残って考えさせられる、でも最後には「クララ、40歳なのにかわいいな。(わたしもあやかりたい)」と思ったりもする(笑)味わい深い、いい映画でした!

PS:
日記書いてる途中にこの映画について検索してみたら、
やだあ~!【フォーエバー・フィーバー】の主役だったあの彼(エイドリアン・パン)が、【ゴーン・ショッピング!】でも重要な役をやってるじゃない!
(観てる間、全然気がつかなかった~。アジアフォーカスの解説に、【フォーエバー・フィーバー】の彼だと書いておいてくれたら、もっとちゃんと観たのにー!)

それから、【フォーエバー・フィーバー】の監督の最新作が、今年のTIFFで上映らしい!(【青い館】)
うわー、観たいな!

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旧MTブログ時代のコメント

とみクマ 2009年9月30日 16:45

ムスタファセンターが大々的にスクリーンに展開。何度も足を運んだ場所でもあるので、うれしくてたまらなかった。カメラを通してみると、こういう感じになるのかと、しばしみとれてしまった。

むんむんからとみクマへの返信 2009年10月 6日 12:56

▼とみクマさん

ムスタファセンターって、映画にするとあんなに絵になる所だったんだね(笑)
シンガポール行きたーい!

コメント

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