Jilla (ジラ) |ヴィジャイ モーハンラール インド映画 日本ロケ

Indian Movies / インド映画の話

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Title : ஜில்லா Jilla (IMW2020リターンズ時邦題:ジッラ 修羅のシマ) (2014年 Tamil 165分←私が観たマレーシアでの時間)
Director : R. T. Neason (R.T.ニーサン)
Music : D. Imman (D. イマーン)
Starring : Vijay (ヴィジャイ), Mohanlal (モーハンラール)、Kajal Aggarwal(カージャル・アガルワール)

2013年のインド映画・日本ロケブームに乗って、ソングシーンが京都・淡路島で撮影された話題作。
祝☆ヴィジャイ初来日!

タミルの若大将(イライヤダラパティ)・ヴィジャイ、マラヤーラム映画界のコンプリートアクター・モーハンラール、二人のスーパースターが共演したパワフルで骨太な、マサラ・エンターテイメント。
そしてヴィジャイファンのみんなが待っていた、久々の、「タミルの」「ヴィジャイ映画」!
いわゆる「スター映画」が大好きな方々には、強烈におススメ!

トレイラー

スタッフ、キャスト

written and directed:R. T. Neason
produced:R. B. Choudary
music:D. Imman(ヴィジャイ映画は、2002年【Thamizhan】以来)
cinematography:Ganesh Rajavelu
choreography:Raju Sundaram(日本ロケ曲), Shidhar
Singers:A.V Pooja, Anand, D. Imman, Deepak, K.G. Ranjith, S.P.Balasubramaniam, Santhosh Hariharan, Shankar Mahadevan, Shenbagaraj, Shreya Ghoshal, Snigdha Chandra, Sunidhi Chauhan, Vijay

Mohanlal (シヴァン), Vijay (シャクティ), Kajal Aggarwal (シャーンティ), Mahat(シヴァンの息子ヴィグニーシュ/シャクティの弟分), Soori(ゴーパール/シャクティの同級生で警官),Poornima Bhagyaraj (シヴァンの妻), Sampath Raj (アーディ), Niveda Thomas (マハーラクシュミ/シヴァンの娘),

あらすじ

 舞台はタミルナードゥ州の古都・マドゥライ。シヴァン(モーハンラール)はこの一帯を取り仕切るドン。
 シヴァンの妻(プールニマ・バーギヤラージ)が産気づいた夜、シヴァンの命を狙う一味にシヴァンたちを乗せた車が襲われ、乱闘のうちに彼の運転手が警官に殺されてしまった。
 火葬時にひとり佇む運転手のひとり残された息子・シャクティ。シヴァンはシャクティを自分の家に引き取った。

 時は流れ、石投げの名人だった少年・シャクティは、怖いもの知らずで腕っぷしの強い青年(ヴィジャイ)に成長し、シヴァンの右腕となっていた。そしてシヴァンとシャクティは実の親子以上の強い絆で結ばれている。

 父親を警官に殺されたシャクティは、警官や警官の制服の「カーキ色」を嫌悪していた。

 ある日、路上で理不尽な振る舞いをする女性警官を平手打ちする女性を見かけたシャクティ。「警官を殴るなんて、なんてかっこいい女性だ!」瞬時に恋に落ちたシャクティは恋したことをシヴァン家で吹聴しまくる。

 シヴァン家の家族たちは、シャクティのお相手を見に勢いドカドカと彼女の家に乗り込んだ。
 しかし、仕事からちょうど帰ってきたという意中の女性・シャーンティ(カージャル・アガルワール)は、よりによって、女性警官の制服姿であった。。。

 大の大人になっても警官とカーキ色に過激な拒絶反応を示すシャクティであったが、さらにはシヴァン家の都合で、自らも警官になることになってしまう。

 いやいや警察の試験を受けたのに合格してしまったシャクティ。しかし、それがシヴァンの望みであることを実感したシャクティは、警官のトレーニングを受ける。

 ある日、シヴァン一味が仕掛けた騒動がきっかけで、マドゥライの町が火の海になってしまう。
 シヴァンは正義感が強く民衆からも厚い信頼を得ていたが、法で解決しないものは力で解決する人間であった。
 シヴァンの側で見れば正義であっても、警察や社会の側から見ればそうではないこともあるということに気がつき、途方に暮れるシャクティ。

 シャクティは決心する。シヴァンを逮捕するのではなく、シヴァンの心ややり方を変えると。
 当然、今までのやり方を否定されたシヴァンは激怒。二人は決裂し、これまでの信頼関係は日に日に悪化していった。
 シャクティと実の兄弟のように育ったシヴァンの娘・マハーラクシュミの結婚式には招待されず、息子・ヴィグニーシュともギクシャクしていく。

 しかし、この決裂は、実は仕組まれたものであり。。。

公開までのあれこれ

 2011年秋公開の【Velayudham】は、久々にヴィジャイのはじけっぷりが見られてヴィジャイファンには心躍りまくりの映画でした!

 そして2012年はヴィジャイ映画がタミル映画の年間チャートの1位・2位を独占するヒットぶり。そう、【Thuppaki】と【Nanban】(3 idiots のタミルリメイク)。

 いやー、どちらもヴィジャイは原点回帰だったり新境地を見せてくれて大躍進でしたね!
 
 でも、ちょっと物足りない。【Nanban】は学校内の話で、「タミルの町で」「やんちゃに」暴れまくるヴィジャイをほとんど見られないし、ましてや【Thuppaki】は西インド・ムンバイが舞台のお話。

 わかったよ、ヴィジャイ。タミルを離れてもカッコいいよ。
 だからそろそろ、「タミル」の舞台に戻ってこようよ。

 【Thuppaki】さあ、超おもしろかったけど、こういうのはこれからはスーリヤとかにまかせておいていいよ、ヴィジャイ、タミルに戻っておいで~。(【Thuppaki】は、スーリヤやアーミルの【Ghajini】の監督。タミルのファンが一度はあの監督とヴィジャイで組んでほしがったのはよく分かる。でも【Thuppaki】撮ったから、気が済んだでしょ、戻っておいで~)。。。なーんて思ってたわけですよ。

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 しかし2013年の【Thalaivaa】では、タミルに戻ってくるどころか、オーストラリアのシドニーに、ヴィジャイは行ってしまいました。(シドニーでタミルのアイデンティティーを大切に暮らしてる青年役。)
 話の後半でインドに戻ってくるけど、やっぱりムンバイ。

 わかったよ、ヴィジャイ。どこにいてもあなたはタミルが大好きなタミル人なのは痛いほどわかった。

 だから、いいかげん、次こそは、タミルナードゥ州の舞台に戻っておいでよ!ねえ!(笑)

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 そして、ついに2014年1月公開の【Jilla】、タミルが似合う生粋のタミルっ子、そして「Azhagiya Thamizh Mahan(タミルのハンサムボーイ)」ヴィジャイはタミル(マドゥライが舞台)に、やっとやっと戻って来ました。
おかえりぃ!待ってたよ!

 なわけで、もう私はそれだけでこの映画への期待はMAX、臨界点突破☆

 それから、今回もうひとつの期待は、マラヤーラム映画界のコンプリート・アクター、モーハンラールの出演。
 出演が決まったときに、ラル様は「(タミルでも)マラヤーラム映画を観る人が増えてほしいから、このタミル映画出演のオファーを受けることにした」とコメント。
 ということは、ラル様は超絶本気で自分の魅力大全開にして銀幕に現れるであろうことは確実。

 さらにダメだしだ!
何と予想外にヴィジャイが急転直下でソングロケで来日決定
 (ブルガリアでお花畑をバックに撮影予定だったのが、現地が寒いか何かで10月初めにキャンセル。で何故か変更先が日本となり、しかも台風で当初の来日スケジュールも変更、台風直後の10月28日頃来日)

 インド映画初・鳥取県ロケを含む、【ジラ】(Jilla)撮影でヴィジャイ&カージャル・アガルワール来日

jilla-toei.JPG 途中、ヴィジャイが腰痛ダウンで一部撮影キャンセルなどアクシデントに見舞われながらも、京都(10/28 伏見稲荷大社、10/29 化野念仏寺、嵯峨野の竹林、10/30 東映太秦映画村)、淡路島 (10/31 あわじ花さじき)で怒濤のようなスケジュールで撮影をこなし、翌週のディーパーヴァリのお祭りの前に疾風のように日本を去った【Jilla】チーム。

 映画村にインド映画の撮影がやってきた! 東映太秦映画村サイトより

 2013年に突如発生したインド映画・日本ロケブーム、【Jilla】はこの年のタミル映画では4本目の日本ロケとなりました。
 (1.Theeya Velai Seyyanum Kumaru(富山) 2.Idharkuthane Aasaipattai Balakumara(大阪・神戸) 3.Aaah(東京))

https://munmun.moo.jp/india/movie/shooting-in-jpn-2013
 
 その後はチェンナイで順調に撮影が続けられ、2014年1月10日、タミルの収穫祭・ポンガル時のリリースが確定。
 ヴィジャイの最大のライバル、アジットクマールの新作【Veeram】と公開が重なり、【Jilla】公開に向かってのタミルの盛り上がりは最高潮に!

むんむん’s コメント

 はい、上記の「あれこれ」に記載しましたとおり、私の期待度も最高潮でしたが、観ても「サイコー!!!!」でした。

 ヴィジャイが出てくるだけで、もうどうでもいいぐらいの映画でした。いや、内容がないということじゃなく、本拠地・タミルで、ヴィジャイパワーがどっかーんと出てて、観た後の清々しい爽快感。

 しかも、ヴィジャイパワーがどっかーん!でありながら、モーハンラールパワーもどどどどどっかーん!
 ラル様の、葉巻をくゆらせる、ドーティを巻き直すだけの仕草で、感情やこの映画すべてを物語ってしまう、「静」の存在感。そしてヴィジャイのやんちゃな躍動感のある「動」の存在感。
 二大南インドスターのオーラをこれだけ拝めて、もうそれだけで充分です。
 タミル人もラル様ファンになったね、確実に。

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 前半はとてもコミカルで、ラル様の重厚感が映画を引き締めていて、完璧。
 ヴィジャイがちょっぴり甘えん坊でヘラヘラしまくっていて、ちっともエリートエリートしてなくて、でもある瞬間にギラっとしてがんがん敵をぶっ倒していく様子が、まさしく待ち望んでいたヴィジャイ。

 今回の一目惚れシーンも、実におバカ感いっぱいでハッピーでかわいかった☆

 「オレがどれくらい彼女を好きかって? 恋心をうたうからマイクよこせ♪♪♪」ってな具合でシャボン玉がフワフワ飛ぶ中で突入する2曲目「Verasa Pogayile」。
 歌い出すヴィジャイを盛り上げて後ろで踊る、ドーティおじさまバックダンサーズがこれまたカワイイ。
 タミルの伝統的なフォークスタイルのおウマさんダンスでの夢見る青年・ヴィジャイ。
 変わって、ルンギにいちゃんバックダンサーズと踊るヴィジャイ。
 虎男バックダンサーズと踊るヴィジャイ。
 ヴィジャイの恋心の高揚に合わせて、ヴィジャイの弟分たちが奏でる(無理矢理奏でさせられる?w)バイオリンでの変調。
 スローテンポながら躍動するハッピー感が全開。
 おなかのぽっこり感を含めて(笑)、ヴィジャイ、キュートすぎるぅ♪♪♪
 あまりに能天気なヴィジャイを怪訝そうに見つめる弟分マハトくんもかわいい。
 タミルっ子・ヴィジャイを存分に楽しめるこの曲が、たぶんこの映画のイチオシでしょう。
 (そして、シャボン玉がこんなに似合う、39歳は他にいるだろうか? 笑)

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 マハトくんといえば、マハトくんとヴィジャイの、後半クライマックスに向かうドライブシーンもすごくエモーショナルでよかった!
 ヴィジャイって、兄弟(兄妹)との絆みたいなものを描いた映画でもすごくテンション高くていいやつ多いんだよね~。(【Velayudham】とか、【Thirupaachi】みたいな。)

 ラル様という大御所とのダブル主演のおかげで、ヴィジャイは今までの「みんなのヒーロー」「タミルを救う男」路線の行き過ぎにストップをうまくかけられてて、柔らかいヴィジャイの魅力を取り戻せてる感じもします。
ラル様の胸を借りながらも、「シヴァンのやり方を変えられるのはオレしかいない」という力強さも持ち合わせていて、いやースバラシイ。
モーハンラール×ヴィジャイ、いいコンビ。ラル様のヴィジャイへの愛憎を表すちょっとした目線だとかも、いちいちクラクラするくらい、かっこよかったあ。
演技派と言われるラル様だけど、さすがマラヤーラム映画界をずっと引っ張りつづけている大スターだね。

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 後半は、決裂していくラル様とヴィジャイが描かれているので、深刻になっていき、さらにラル様に恨みを持つ敵も混じっててんやわんや。でも、ただのリベンジ合戦に終わらない、爽快なラストが待ってます。まあ、もうちょっと短くてもよかったかもしれないけど、深刻な場面にこそ、ひょうひょうと、ヘラヘラと姿を現すヴィジャイ!
 いよー、待ってました!って感じ。この感じですよ、【Thalaivaa】にも【Thuppaki】にも【Nanban】にもなかったもの。
 


 そして後半の深刻な状況の中で、ヒロインとの微かな心の触れ合いから日本に妄想がふっとぶ、「Kandaangi Kandaangi」!
 ヴィジャイ自らがボーカルを取る、ちょっとセンチメンタルな雰囲気の曲。
 
 (※音楽監督D.イマーンが、日本用に日本の楽器風の音を入れた、と語っていたけど、それがどの音のことなのか、映画を観てても分からなかったのはナイショ(笑))

 あわじ花さじき(コスモス畑、サルビア畑)のあたりでは、腰痛のせいか(?)腰の動きがいつもよりも若干ぎこちないヴィジャイだけれども、スバラシイ!!!!!
 
 私が特に気に入ってるのは、嵯峨野の竹林。それから念仏寺でのズームから引きの撮影で石仏たちの真ん中で踊るところ。伏見稲荷の鳥居も凛とした空気が感じられ、雰囲気抜群。
 もちろん、映画村の時代劇風セットもステキ。映画村は日本側でセッティングしてるだけあって、「なんちゃって日本人」的な人も出てこないし、かわいい日本の着物姿の女のコがたくさんいる中、ちょっぴり恥ずかしげに、でもやんちゃに踊るヴィジャイが最高ですね☆ (映画村での撮影は、事前に一度ロケハンに来日していたニーサン監督が、熱望して実現したそうです。)カージャルも映画では男まさりな感じだけど、この曲の中ではしっとりとした大人の女性、って感じでよかったですねえ。
 
 2013年の日本ロケラッシュは、地方都市がインド人の観光客誘致の思惑でインド映画撮影を迎え入れたことがきっかけでしたけど、京都は観光客誘致には困ってないだろうし、他の地区に較べればあまりインド映画撮影隊側に便宜を計っていないと想像します。 そう考えると、よくぞ短期間でこれだけのものを撮影したなあ、というか。。。(特にセットではない、京都の本物の神社やお寺などで、平日とはいえ、まわりの観光客の足を止めさせて撮影したっていうのは、特筆すべきじゃないでしょうか?)

 あああああ、いいモノを観ました。ありがとうございました。どうして日本に来てくれたのか分かりませんが、ヴィジャイたち、日本を選んでやって来てくれてありがとう。心のそこからありがとうっ!

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 こういう骨太で力強くて、建設的なハッピーエンドで、いっぱい笑えて、カラフルな映画を、お祭りのときにみんなで観られたら、ほんと、サイコーですね。

 ポンガル祭りにこんな映画を観られて、今年は最初からツイテます。いい年になりそうです(笑)

 ヴィジャイが、ラル様出演の御礼に、いつかマラヤーラム映画でラル様と共演するのも楽しみです♪

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(2014年1月11日、マレーシア・クアラルンプールのColiseum Theatre、1月12日、Sentul Cinemaで鑑賞。英語字幕付き。休憩なし。)
 

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