【人生に乾杯!】(ハンガリー,2007)

にほんブログ村 映画ブログへ (8月7日)

先週金曜の会社帰り、そういえばシネスイッチ銀座は金曜日は女性900円だ〜、と思いついて、前々から劇場前を通りかかるたびに気になっていた、老人夫婦が銀行強盗をする映画【人生に乾杯!】を観てきました。

ハンガリー映画を観たのは初めて。ヨーロッパらしい暗さ(?)があって、ブラックなジョークも効いていて、それでいて壮絶なラストシーン、でも何か明日に光が見えるような...
悲喜こもごもな映画でした。

質素に暮らしているのに、年金だけでは生活できなくなった、老夫婦の反乱。
しかも、50年前に大恋愛で結ばれたのに、日々の生活の中で愛はすっかり色あせていて、お互いに愛想をつかしかけている状態の夫婦が主人公。
ギックリ腰の夫が突然はじめた強盗に、糖尿病の妻はかつてのときめきを思い出し、そして世間はこの夫婦に喝采を送るように。
でも警察の追跡は徐々に... という流れ。

強盗をするさまが実におかしい。
年配者らしく、実にゆっくりゆっくり。でも発砲もしてないのについお金を渡してしまう人たち。
かっこよく運転してたのに、途中でぎっくり腰になってしまう夫を、横から妻がアシストするさま。
旧ソ連時代のチャイカという車が、昔々の車ながら、とんでもない能力を発揮して警察(若い警官でちょっとマヌケなんだけれども...)を煙に巻いてしまう様子も最高。
新しければ、若ければいいってもんじゃない!という痛烈な皮肉が随所でみられました。

日本でも同じような、年配者に対する問題・年金問題があるだけに、ヨーロッパでもこうなんだ〜と感じたり。

そして、北野武の【HANA-BI】が、どことなくオーバーラップするストーリー。

いや〜、やられました。
ものすごくせつなくて、おもしろかったです。

どこが、邦題のような「人生に乾杯!」なんだよ、と一瞬思ってしまうようなラストだったけれども、そのラストを迎える前の、あのふたりの間の空気こそが、「人生に乾杯!」だったんだな。

大満足。