【未来を写した子どもたち】(BORN INTO BROTHELS: English & Bengali, 2004)

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(原題:BORN INTO BROTHELS: CALCUTTA'S RED LIGHT KIDS 〜”売春窟に生まれついて”)
日本公式サイト

インドを描いた映画だというのに昨日まで知らず、だけどたまたまこの映画を知り、調べたら東京では今週金曜までだったので、思い立ったら吉日!で観てきました。(飯田橋・ギンレイホール

2005年アカデミー賞・最優秀ドキュメンタリー賞受賞作品。
(アカデミー賞はそんなに興味はないんだけど、なんで最優秀賞を受賞した評判の映画の日本上映が今頃なの???)

未来を写した子どもたち オリジナル・サウンドトラック

コルカタの赤線地区で暮らす、売春婦やそれに関する違法な仕事に就く親を持つ子どもたちに、イギリス人女性フォトジャーナリストがコンパクトカメラを買い与えて写真を教え、子どもたちが自分を表現することを覚え、未来に夢を抱く様子を記録したドキュメンタリー映画です。

インディペンデントな低予算映画だしドラマチックな展開はないから、場合によっては退屈するかもしれない。
でも、全編がリアルなエネルギーで充満してました。
安いコンパクトカメラだけど、子どもたちが切り取ってきた長方形の世界は、とても見事。
(写真はカメラの機種じゃなく、撮る人間のハートですね、当たり前だけど。)
写真を教えるザナ・ブリスキーさんの姿勢もとても熱いものを感じました。

先月感想を書いた【Dhanam】という映画は、売春婦を描いたマサラムービーでした。
以前書いた【Kanne Madanguka】も、騙されて売春宿に売られてしまった少女が主人公。
漠然とこの問題に関してはずっと気になってはいたので、今まで観たことのあるインド映画の売春に関する描写をいろいろ思い出しつつ、いろいろ考えさせられながら拝見しました。

本当のところ売春街ってどういうものなのか、想像がつかなかったけれど、【未来を写した子どもたち】で映る街頭に立つ女性たちが、芋洗い状態にあふれている様子はかなりショッキング。
母がお客を連れて家に入ってきたら、母の仕事が終わるまで屋上で遊んでいる子どもたち。そしてこのままでは自分たちもそのまま同じ運命をたどることも、理解している子どもたち。ひどい言葉で罵倒されても、虐待を受けても、それでも親のことが大好きだと答える子どもたち。
カメラで自己表現することを覚え、瞳の輝きが増しているけれど、このままここに住み続ければ夢は押しつぶされてしまう、とかわいい生徒たちの将来を案ずるザナ。

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この映像が撮られたのは2001年で、映画の完成が2004年。
映画の最後に、この子どもたちの今が淡々と映し出されます。
プログラムを買うと、更に彼らの2008年秋時点の今についてコメントがあります。

悲喜こもごも。売春窟に戻った子もいれば家族ともども消息不明になってしまった子も。だけど、将来がひらけつつある子どももいます。
どんな境遇にいたって、まずは夢を持つこと、信念を持つこと、心が折れないこと。

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原題をそのまま訳すのではなく、【未来を写した子どもたち】とつけた邦題もとてもいいですね。
ただ暗い現実を描いて、観る者も暗くなって無力感に陥るのではなく、自分たちも何かができるかも、と未来が感じられる映画。

とにかくいい映画を観られました。
さすがの、最優秀ドキュメンタリー賞受賞作。

また、サントラがとてもよかった。
ジョン・マクダウェルって方のインド音楽。ゴーパーラー♪とか神様な名前が聴こえます。
売春窟の中で実際に宗教音楽が流れているのが聴こえてくるので、売春窟だろうと神様はいるのかもしれない。心の持ち方次第。

(名画座:飯田橋・ギンレイホールは2本立て。同時上映が昨年の邦画【闇の子どもたち】。
こっちの映画もタイの幼児売春や臓器売買についてのヘビーな社会派ドラマ。
リアルな映画を観てしまった後では、こっちの映画は数段見劣りがし、音楽自体は悪くないけどまるで映画に合っていなかった。キャストはみな熱演だったけど、ドキュメンタリーのようなフィクションで、なんか稚拙で結局何が言いたいのか分からなくて、ひたすら後味が悪かった。
でも、まずこういうことが世界で起こっている可能性がある、ということを知るのが大事で、この映画も観られてとてもよかったと思う。2度と観たくないけど...。)

【未来を写した子どもたち】、2008年11月の日本公開なので、大半の場所で上映が終了してしまっていますが、飯田橋では今週金曜(4/17)まで上映しています!

東京 飯田橋ギンレイホール 〜4/17(金)迄  9:45/2:00/6:10
新潟 シネ・ウインド 025-243-5530 2009.4.18〜

また、【スラムドッグ$ミリオネア】の話題もあり、今後全国各地で追加上映がされる可能性はあります。
機会があればぜひ!