上映の発表が一週間前、という直前だった、【デリー6】。
NHKアジアフィルムフェスティバル、土曜日の初日(10月23日)に観てまいりました。
直前の告知にもかかわらず、よい感じのお客さんの入りでした。
NHKアジアフィルムフェスティバルは、いつも映画の前に司会者が何かしら解説してから本編が始まりますが、司会者さんは例年と同じ方のようです。
以前、同映画祭で観た【ナヴァラサ】や【タハーン】のときは、ゲストが来ていたのでその方たちの紹介が大半だったのですけど、今回はゲストがいらっしゃらないということで、司会者さんがご自身のインド映画体験を踏まえてインド映画やこの映画のことを割りとじっくりお話されていて、非常に興味深かったです!
(サタジット・レイの【大地のうた】こそがインド映画だ!と思っていた世代なので、歌と踊りありのインド映画を観て面食らった、というくだりとか…。年季の入った、ご自身所有の【大地のうた】の劇場プログラムや【ムトゥ踊るマハラジャ】のプログラムの実物を持参で説明していて、上っ面じゃない、いい解説の仕方をしているなあ~!と感心することしきり。)
日本語字幕は、完成したのが2日前だったそうで、本日が本邦初公開!とのこと。
おお、光栄ですね、それはそれは。
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で、映画本編。
私はアビシェーク・バッチャンが主演している、A.R.ラフマーンが音楽を担当している、でも歌と踊りは少ない短めのインド映画であるらしい、ということぐらいしか知らない状態で観ました。
NY育ちの主人公が、死期を故郷で過ごしたいと願う祖母に付き添ってデリーにやってきて、アメリカのインド人としてギャップを感じつつも、祖国に次第に愛着を感じていく…というような話。
活気あるインドが落ち着いて描かれてて、その辺は実に好感をもって見られました。
よい映画でした。
でも、これが例えば日本の映画だとしたら、(アメリカ生まれの日本人が、東京に来て母国愛に目覚める…とか?)なんかこっぱずかしい話だなあ、とも思ってしまった(笑)
アビシェーク・バッチャンも、実にボンボンとしてて、君はたぶんアメリカで暮らすほうが似合ってるんじゃ…デリーに残って本当に生きていけるのか?とつっこみたくなったり!
というか、そもそもニューヨークでアビシェークがどんな地区で暮らしてて、どんな職業(学校?)で、どれほどアメリカナイズされて生きてるのか、という経緯が全く描かれてないので、デリーに惹かれていく主人公の背景が、よく分からない。そういう意味で、映画にイマイチ深みが足りない。
ミュージカルシーンを少なめにして、アート系やハリウッド系を多少意識してるんだろうけど、それはそれで構わないけど、アビシェークだけぽんぽんぽんぽん、デリーの町の屋根の上を飛び回ってるのが、何かリアリティがない。
(それで猿男と疑われるのではあるけど…)
おまえのアメリカでの職業は、ニンジャか何かか!?
っと、これまた心の中でツッコミを入れてる私。
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アビシェーク・バッチャン自体は、そんなに演技がうまくないのかな。
でも、脇を固めている方々が凄かったので、みなさんの演技トータルはトーンが落ち着いてて、実にいい感じだった。
ヒンディー映画をあんまり観てないから、観てる間は分かってなかったのだけど、エンドロールを見ていて、あ、あの俳優があれを演じてたんだ!と終わってから気がついた何人か、これが、私好みの方たち♪
まず、おばあさま役のワヒーダー・ラフマーン(サウス的な読み方でね)!
グル・ダット映画の常連のあの美しかったヒロインが、今でもこんな美しくて、品のあるおばあさまになったのね。実に感慨ぶかい。
そして、イヤ~な警官役のヴィジャイ・ラーズ!
昨年は彼が主演したスイス発のインド映画【タンドリー・ラブ】で大笑いさせていただいたけど、今回もクセがあって、実にいやらしくて演技達者なところをみせてました。
この警官、ヴィジャイ・ラーズ?…とずっと気になって観てましたが、クレジットでそれを確かめて、
ああやっぱりヴィジャイ・ラーズ!とうれしくなった(爆)
それから、ゴーバル役のアトゥル・クルカルニ!
彼の主演映画は、日本では【マンゴー・スフレ】や【マナサロワールの愛】で観てるけど、タミル映画にもたま~に出演していて、結構大好きな俳優さん。
こんなところでも出てたとは!うぉー!
少し地味な役回りのようだけど、いい味出してたね。
久しぶりに彼を見られて、超ラッキー!
うれしいぃ!
…って感じで、共演者に萌え萌えしてました。
ということで、トータルして見応えがあり、見終わった後満足して会場を後にしました(笑)
それから、翌日の【ラーヴァン】でアビシェークがぼんぼんじゃない演技をするとどうなるのか、興味が湧きましたよ(笑)
2日続けて同じ役者が主演の映画を観られるって、ゼイタクな週末ですよ、うん!
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