2014年夏公開のインド映画6本

Indian Movies / インド映画の話
2014年夏 日本公開インド映画

今年の夏は、6本ものインド映画新作が日本公開。

2014年夏 日本公開インド映画

私のインド映画人生(…15年程度ですが!)でも、こんなことは初めてなので、せっかくなのでまとめておきます。
観てない映画も多いので、自分の想像する見所とかも書いちゃいますw

いろんな媒体でインド映画が取り上げられていますが、6本ともフラットに紹介している媒体さんはあんまりないですね。
「ボリウッド」に肩入れして、南インド映画を無視、とか、
「従来のように踊らずに洗練されたインド映画…」とかいって、まるで歌って踊る映画を格下のように語ったり、とか。

インド映画、ってことでいいじゃないですか。わたしゃ、面白ければ歌ってても歌わなくても、どこの地域発でも構わないですもん。

6月28日から、この6本の先陣を切って公開された、【マダム・イン・ニューヨーク】。
「ジャッジメンタル」(judgemental)という言葉がひとつの重要なキーワードになってました。

2年前にシンガポールで観たときは「ジャッジメンタル」に気づいてなかったのですけど、先日観て、なんかすごーく胸にしみました。

ジャッジメンタル;人を、「見た目で判断したり、偏見を持って接したりする」こと。

シュリデヴィ扮するシャシが、英語ができない親なんて、と娘に小馬鹿にされたり、ラドゥを作らせたら右に出るものはいない(でもそれしか取り柄がない)、と夫に言われたりして、自尊心を保てずにいるなかで一念発起して英語を学んでいき、その半ばでジャッジメンタルという言葉を知り、それを実感し、自分の中で折り合いをつけていき、クライマックスのお祝いスピーチでも、ジャッジメンタルという単語を登場させていました。

感動しましたよー。家帰って、ジャッジメンタルって言葉を調べちゃいましたよ~。

ノン・ジャッジメンタルで、みなさんそれぞれに、お気に入りのインド映画をみつけていきましょうよ、と思いました!
映画を宣伝される方々にも、ノン・ジャッジメンタルで、その映画の魅力を紹介していただきたいです。


【マダム・イン・ニューヨーク】 English Vinglish

6月28日公開
2012年、結婚引退状態だったシュリーデーヴィが15年ぶりに銀幕復帰!の超話題作。
踊りやコメディを超得意としていた彼女ですが、それをほとんど封印して復帰映画に選んだというこの作品は…、というだけでインド映画ファンにはもう好奇心Maxで堪らないですね。

英語ができなくて(といっても、会話が苦手だ、という程度で日本人からみたら相当できてると思う)反抗期を迎えつつある娘に馬鹿にされ、夫は主婦は家にいろといわんばかりで自尊心を失いかけていた主婦が、ニューヨークでたまたま目にした「4週間で英語を話せるようになる!」という広告に、(姪っこが「4週間でできるようになるわけないじゃない」とつぶやいているのにもかかわらず)反応して語学学校に飛び込み、さまざまなお国柄や恋愛嗜好や信条のクラスメイトともに学んでいくうちに自分を取り戻し、家族との愛情・友情を再確認していくお話。

自分も、20歳のときに、イギリスの海辺の町に4週間ホームステイして語学学校に通ったことがあり、その経験において正直なところ、4週間であんなふうに話せるようになるのはまず無理だと思います(笑)
でも、当時国がクーデター中で今、国が誰が治めているか分からない、と話していたタイから来た男の子、
ベルリンの壁の崩壊のおかげで、国外に出られるようになって、バスに2日揺られてイギリスまで来たんだよ、というチェコの青年とか、
世界のかたがたと片言でも話していくうちに自分の持ち場について考えた、というのはあって、4週間で英語、にリアリティは感じないけど彼女の心の成長(自分に対してのジャッジメンタルも破っていくという…)の部分についてはとても共感します。

そして、私も初めてこの映画を観たのは息子が1歳で産休明けで会社復帰して半年ぐらいのころでしたが、主婦で家族を第一に考えて日々めまぐるしくすごしている中で、自分って何!って苛立っていたこの映画のヒロインの心情も痛いほど分かります。

細かなエピソードがいちいち、ああ、あるある、こういうのありがちー、で共感できるものばかりで、監督の眼差しの鋭さにおおお~ってなるとともに、派手な展開無しにこうも普遍的にありがちなエピソードを重ねた先に、感動的な(でも、泣けよ泣けよー!って感じのあざとさがちっともない)ヒロインの成長とクライマックス。

英語を学ぶ舞台はニューヨークだし、銀座で映画鑑賞するのが好きな層にも、後から考えれば、実に大受けしそうな内容。
(事実、インド映画を見るのは、銀座テアトルシネマでの【ボンベイ】以来だ、という方も多いのではなかろうか。)
早々とこの映画の上映を引き受けていた、シネスイッチ銀座さんに乾杯。
そして、この映画を一般の一サラリーマンが日本に持ってきてくださった、というのも映画のようなエピソードでステキです。ありがとうございます。感謝・感謝でございます。
しかも、今までとは型破りな展開で、シュリデヴィの来日まで実現させちゃうなんて☆

(でもね、映画業界の方々が、色眼鏡なしにインド映画を日本に持ってきてくれるのが、やはり正常な姿だと思います。この映画のヒットで、フラットな目でインド映画を発掘してくださる業界の方が増えますように!)

ということで、どんな層にもおススメな、普遍的にヨイ映画です。

PS:シュリデヴィや姪っ子役のプリヤ・アーナンドが南インド映画出身ということもありますけど、クラスメイトの一人・ラーマムールティくんがタミル出身の設定。
このラームくんは、ラジニカーント(もちろん、昔、何本もラジニとシュリデヴィは共演している!)を神として敬愛している、親近感あふれる青年♪
そして、(南インドの代表的な軽食の)イドゥリとチャトニを恋しがるスピーチをした彼に、さりげなく次の登校日にシャシ(シュリデヴィ)がイドゥリを作って差し入れするところなんか、心ニクすぎましたっ。
私も今度、ダーリンにイドゥリを作ってもらおう☆

【ダバング 大胆不敵】 Dabangg

7月26日公開
ヒンディー映画は、洗練された方向へ…というのがつきすすんでソフィスティケイテッドな映画が増えてきたなか、インド映画の原点的なものに立ち返って、(南インド映画テイストを取り入れて)コテコテ路線、でも現代のテイストも盛り込んで、インドのみなさんに熱狂的に迎え入れられた、というヒンディー映画。
この映画のインド公開時に現地で観た、という駐在員だった方が心酔して(【マダム・イン・ニューヨーク】とともに)この映画を買ってきた、というエピソードだけでも期待が高まりますね。

日本で【ミモラ 心のままに】が公開されたときには、アイシュワリヤー・ラーイを強調するあまり、パブリシティではサルマーンの顔が塗りつぶされたり、昨年のボリウッド4では主演作品【タイガー 伝説のスパイ】が公開されたものの、やはり【きっと、うまくいく】の宣伝に隠れがちになってしまっていた、ちょっと日本では不運だったサルマーン。
しかし、彼の魅力全開とされる映画で、ついに日本でどっかーんと紹介される日がやってきました。

以前、『映画秘宝』にも、もっと(スタローンに憧れて、インド映画界でムキムキ俳優の草分けとなった)サルマーンを推そう!みたいな記事もありましたが、ほんとにやっと、ですね。
単純に楽しみにしています。(まだ観てません。スクリーンで初鑑賞したいから、お預けにしてきましたよ~)

ちょっと気がかりなのは、この作品での日本での宣伝が「ボリウッド、ボリウッド」…とボリウッド連呼状態なのに対し、サルマーン自身は「ボリウッド」って言葉が大嫌いなこと。
(本人は、”I hate the term “Bollywood” . It looks a chepaer version of Hollywood. HIFI (Hindi Film Industry) must be used instead.”と発言している)

10数年前の、彼が運転したとされる自動車のひき逃げ事件も未解決だしね。
…でもまずは、こういったジャッジメンタルも抜きにして、映画を観るのを楽しみにしています☆

【あなたがいてこそ】 Maryada Ramanna

7月26日公開
原題は「ラーム兄貴へのおもてなし」といった意味だそうです。

故郷の村へ帰る列車の中で愛らしい娘と出会った主人公が、たまたまその娘の家に訪ねることになったものの、実は亡き父の宿敵の家で…。
家の中では殺傷は無縁にするのが宿敵の家のしきたりだけど、敷居をまたいで外に出たときには容赦しない!という…(鉈などを持った使用人たちが、今か今かと待ち構えている)
主人公が受ける、とんでもない「おもてなし」の数々を楽しんで(?)、応援しましょう!

昨年日本公開された、ハエの復讐映画【マッキー】の監督・ラージャマウリがマッキーの2年前に監督した、(大作つづきの合間に制作した)小作品とのことです。
ビッグバジェットじゃなかったそうなので、テルグ映画の主演第一級の人たちが主人公ではないですが、大スター俳優の熱狂的なファンから求められる(スターのイメージに沿った)ガチガチな映画つくりに囚われずに、小品ならではな、自由なつくりが楽しめそうですよ。

事実、チランジーヴィに憧れて、ダンスコンテストでも優勝経験を持ってテルグ映画界に入ってきたスニール。チル様のような主演級での役を手に入れることはできなかったけれど、チル様やその他テルグ映画界の大スターとの共演を次々にこなし、コメディスターとしての地位を確立したところに、今回の主役の座。
チランジーヴィに憧れて、ダンスもチル様スタイルにそっくりというスニールが、脇じゃなくセンターでバリバリに踊る機会を得た、というだけでも、おそらくすごいテンションで彼が踊ったんだろうなということは想像に難くありません。こういう場合は相当期待できると思っています♪

これも映画館で見たいので、まだ数シーンをチラ見しただけです。
が、その数シーンで、3歳児のむすこが、ゲラゲラゲラゲラ笑っていました。(もちろん、テルグ語分からない、日本人です)
むすこの様子を見ただけで、めちゃくちゃ期待が高まっています(笑)

試写会に行ったダーリンも大絶賛してました。ますます期待♪♪♪

【バードシャー テルグの皇帝】 Baadshah

8月9日公開
先日の日記でも書きましたが、試写会で観ることができました。
試写会では音が小さかったので、ロードショーで大音響のスクリーンでスケール感を楽しめるのを楽しみにしています。

【あなたがいてこそ】のスニールとは、テルグ映画界での立ち位置が全然違う、将来のテルグ映画界の「皇帝」を期待されている、大スターのNTRジュニアが主演。昨年のテルグ映画界で話題沸騰だったという作品。

「バードシャー」は、かつて、同じ題名で、「キング・オブ・ボリウッド」のシャー・ルク・カーンやタミルの「スーパースター」ラジニカーントも演じました。
ということは、それだけNTRへの期待が大きいということですね。
それで世界各地でロケの超ビッグバジェット。
ということで、写真見ただけでは彼のどこがスターなんだ!?という感がアリアリですが、この映画を観てそんなジャッジメンタルもぶっとばして、テルグの皇帝候補はどんなお方か、堪能しましょう☆

※私自身は、シンクロムービーだの、合成動画に全然興味がないので、

あのニコニコ動画等で人気沸騰なNTRの映画が日本上陸!

…と人にいうには、言葉にリアリティが全くこもらない気がする(笑)ので、あまり強調するつもりはございません。

が、この映画を買ってこられた方は、もともとフジテレビのバカデミービデオ大賞という番組等でそのNTRのシンクロムービーを見たのがキッカケだったとか!
→ヴィジャイが取り上げられたときの、バカデミー大賞の日記(もちろんNTRジュニアも出てる)

やっぱり侮れないなあ。どんな事柄が日本公開のチャンスに繋がるか分からないもんですネ。

また、ナーサルファン、(南の)シッダールタファンは、絶対に見逃せない映画です!!!

【めぐり逢わせのお弁当】 The Lunchbox

8月9日公開
自宅で奥さんたちが作ったお弁当を回収し、だんな様の勤務先等へ届けるという、「お弁当配達システム」がインドではあるそうです。間違えて別の人に届けてしまうということは、ほとんどないとか。
ところがそのお弁当のまさかの誤配から、会ったこともないお弁当を作った女性と食べた初老のやもめの男性の心の交流が始まり…というお話らしい。
踊らない映画でヨーロッパを中心に大ヒットした、ということです。

まだ観てません!早く観たい!
予告編だけで、相当期待できるような気がします。

主演のひとりがイルファーン・カーンというだけでもう、マスト・ウォッチですけど。
(隠れイルファンファンです。w)

弁当や料理のシーンが多そうですね。登場人物の背景が映画に出てくるインド料理を見ると分かることが多いので、料理がキーワードの映画は、ものすごく気になります。

【バルフィ! 人生に唄えば】 Barfi!

8月22日公開
耳が聞こえなくて口もきけない、主人公のバルフィと、美しい人妻、自閉症の少女の三角関係なお話、だそうです。
映像が美しい!という前評判。

これも未見。【アメリ】に似ている、という意見もありますが、【アメリ】はあんまり好きなテイストの映画じゃないので、実はそういう意味ではこの映画にあんまり興味がない(爆)
過去の世界の名作映画をオマージュ、というのも、それ自体あんまり興味がない。

でも、オマージュするほど映画が大好きだという人が作った映画、というのならたぶん見ごたえがあるでしょうから、楽しみです。

主演の女性二人。
自閉症の少女役という、プリヤーンカ・チョープラーは、ヴィジャイとの共演映画【Thamizhan】がデビュー作なので、ヴィジャイとの共演者として地味にずっと注目していますw

それから美しい人妻役という、イリアナ。彼女もヴィジャイと2012年の【Nanban】(タミル版「きっと、うまくいく」)で共演。なので、やっぱり注目していますw

●●●

【ムトゥ踊るマハラジャ】と【恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム】もリバイバル上映されるそうですし、【スチューデント・オブ・ザ・イヤー狙え!No.1!!】もまだ全国巡業中。

いやー、いっぱい観るインド映画があって、忙しい夏になりますね。
ノン・ジャッジメンタルで、いろいろなインド映画の、奥深い多様性を楽しんでいきましょう。

どこかの映画館でお会いしたときには、どうぞよろしゅう♪

コメント

タイトルとURLをコピーしました