O Kadhal Kanmani (OK Darling) | マニラトナム

Indian Movies / インド映画の話

O Kadhal Kanmani

Title:ஓ காதல் கண்மணி O Kadhal Kanmani
原作・監督 マニラトナム
音楽 A.R.ラフマーン
出演 ドゥルカル・サルマーン、ニティヤー・メーネン、プラカーシュ・ラージ、リーラ・サムソン(バラタナティヤムのカラクシェートラの偉い方ではないか!)
インド公開 2015.4.17
東京国際映画祭上映 2015.10.25、27、29 139分

あらすじ (TIFFサイトより)

ゲーム業界で働くアーディティヤ(アーディ)がムンバイの会社に移る。同僚の結婚式に参列したアーディは女性建築家のターラーと意気投合し、とりわけ非結婚主義者という点で意見が一致。みるみる親密になったふたりは一緒にいたいと思うが、結婚を否定しているため、同棲するしかない。アーディは間借りしている家のオーナーに女性との同居を認めてほしいと申し出るが、未婚の男女の同居ということで許可されない。やっと同居できるようになったのも束の間、ターラーは建築の勉強にパリへ、アーディも仕事でアメリカに渡ることになる。残された10日間が刻々と過ぎていく…。


Nithya Menen

ということで、観てきました。マニラトナム監督ものを観るのは、2010年の東京国際映画祭での【ラーヴァン】以来。

3月に神戸のシンポジウムで熱くインド映画界で生き残る方法を語っていた、ニティヤちゃんの映画。
お相手役は昨年のマラヤラム映画会で観た【Bangalore Days】の主役衆の一人、ドゥルカルくん。(マンムーティ様の息子ちゃん♪)
派手さはないけど瑞々しいカップルの映画になりそうじゃないですか☆

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まず、「AP International」の表示。

と、いうことは!!!

【Mudhalvan】のテーマのフレーズが大音量(しかもバルト9は音質がいいようで!)で…
もう、それで、じーんとしてしまった(爆)

(ああ、いつか、日本のスクリーンで、【Mudhalvan】のテーマだけじゃなく、【Mudhalvan】の本編を拝める日が来るといいな!)

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前半が、こっぱずかしくて長ったらしかった。教会の結婚式中に携帯電話で話し込むシーンなんて、完全にひとりよがりの境地というか。
ゲームは(自分はほとんどやらないけど)すごくダサそうだし…。あんなアニメに製作費用をつぎこまなくてもいいのに、とか思ってしまった。

でも後半がぐんぐんよくなってきました。
認知症のリーラ・サムソンが迷子になっちゃうあたりのところから、彼女とプラカーシュラージの独壇場というか。
あの二人がいなかったら、「あ、そう」で終わっちゃいかねないラブストーリーなのでした。

プラカーシュラージ、また主役を喰う勢いの名演☆(【ザ・デュオ】での脂ギッシュな怪演でラル様を半分喰っちゃってから約20年、真逆のしっとりとした演技だー。堅物なんだけども、若い日の妻になる女性への恋心を忘れていなくて、時々それがふっと出てくるところとか、初老の男の色気がぷんぷん!)

ニティヤーもドゥルカルもさわやかで甘くて好演でした。残りの10日間の、二人の心の動きが説教臭くなくストレートに現れてて(最後どうなるのかはほぼ分かりきってるにしても)ドキドキして涙出そうでした。

ニティヤー、3月に会ったときに、つけまつげしたりマスカラ塗ったりするのがキライと言ってましたが、この映画でも見事にナチュラル。
マニラトナム監督は女優を化粧をあまりさせないで演出することが多いから、作風が合っていて、彼女のナチュラルビューティぶりが堪能できました。

この映画で対比して描かれる、若いカップルも初老のカップルも、女性が自立していて強いのね。

初老のカップルの方は、マニラトナム監督とスハーシニー夫婦自身も投影してる部分もあるのかしら。

認知症の妻をかかえた初老の男性。

南田洋子と長門裕之の老々介護のことを漠然と思い出しつつ、観ていました。

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とりあえず、前半はすごかったけど後半で辟易した【ラーヴァン】より、かなり好きだぞ、この映画。

【ラーヴァン】観たときに、マニラトナム監督はいったいどこに行っちゃうんだろ、と思ったけれど、今回、ちょっと彼の原点に近いところに戻ってきたような気がする。

でも、ラブストーリー映画としては、昔東京フィルメックスで上映された【Alaipayuthey..】(ウェイブ)の方が出来がいいような。
【ロージャー】の時のような、ベッドシーンとか直接的には描いてなくて、かわいらしいんだけどかなり実はエロい演出なのでは…?と思うちょっとしたシーンとかも、もっとあってもよかったな。

何よりも、音楽よかったけど、音楽よかったんだから、もっと踊ってくれよ!(結局、話はそこに行き着く。笑)
リーラ・サムソン大先生が出てるんだから、バラタナティヤム的なアプローチの踊りがちょっとぐらいあってもよかったのにぃ。

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ところで、タミル人の話だけど、ムンバイが舞台なんですね。
タミルでもいいじゃん、と思いながら最初観てたんですけど、「婚前交渉」や「同棲」といった話が例えばチェンナイで展開されるのは、まだまだ時期尚早な気がしました。ボリウッドならありがちになってきてるのかもしれないけど。

だから、両親が離婚したりするのを目の当たりにして結婚に夢を持ってないけど恋や性欲は自覚している若い主人公二人は、それぞれに窮屈な地元を離れてムンバイに向かった、ってことなんですかね。

これを演じたニティヤー自身は、南インドを中心に活躍している訳だけど、ここでのヒロイン像をどう感じていたんだろうか。

前日に観た【マルガリータで乾杯を!】も、障がい者でも性欲があってそれを解放したくてデリーを飛び出してニューヨークに行きたかったのかな、と思われる部分があったので、この時期に主題がちょっとかすってる気がする2本を続けて観るとは、何だか不思議な気分でした。

(2015.10.25、東京国際映画祭 バルト9 スクリーン3にて初鑑賞)

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