Annaatthe (アンナーテ)

Indian Movies / インド映画の話

    அண்ணாத்த
    2021.11.4 release
    Cast: Rajinikanth, Kushbu, Meena, Nayanthara, Keerthi Suresh, Soori, Prakash Raj, Jagapathi Babu, Abimanyu Singh
    Director: Siva
    Director Of Photography: Vetri Palanisamy
    Music: D.Imman
    Editor: Ruben
    Art: Milan
    Stunts: Dhilip Subbarayan
    Choreography: Brinda, Prem Rakshith
    Lyrics: Thamarai, Viveka, Yugabharathi, Arun Bharathi, Arivu, Mani Amuthavan

    シヴァ監督といえば、【Veeram】【Vivegam】【Vedalam】【Viswasam】で、4作続けてアジットクマール主演作を監督した人。
    全部大好きな私としては、シヴァがラジニを監督したらどうなるか、シンプルに楽しみでしかなかったよね。

    特に2018年のポンガル祭り公開だった【Viswasam】(IMW:永遠の絆)は、ラジニの【Petta】と同時公開でラジニxアジットで激突したわけだ。
    自主上映にこの2作を川口スキップシティに同じ日に観に行った私は、2作続けて観ての感想は、「ラジニもViswasamみたいなのに出たらいいのに!」と思ったくらいViswasamの方がお祭りシーズンに観る映画として気に入っていたところ。
    ベタだろうと娘を守る!と超絶破壊力を持ったパパ役ね。アジットよかったよね。

    そしたらさあ、なんとシヴァ監督がラジニと組むことになって。
    キールティ・スレーシュが妹役で、ラジニが兄貴役で、「妹を守る兄貴」映画ができちゃったよ。
    【Viswasam】どころか、もう【Vedalam】そのまんまじゃない。
    シヴァ監督は、ラジニでもこういうのやりたかったのか。小難しいテーマとかバッサリと捨て、家族の愛情をガンガンに暑苦しくどストレートに表現してくれた。やるなあ。

    ナヤンターラーは若干、添え物になってしまっている感があったけど、【ダルバール】から2作連続でラジニの意中の人の役。(ラジニ映画に5度目の出演。多いね! )
    今回のファッションは、サリーのブラウスが上品な襟がついてたり、ブラウスの下の丈が長めであったり、露出度がさらに下がって、麗しいこと! ステキ。 タミル映画の中での女性の地位向上みたいなものが彼女を観ているといつも感じるね。今後もレディ・スーパースターの道を爆走してほしい。
    ただし、本人のせいじゃないけど、今回も声は他のダビングアーティスト(Deepa Venkat,低めで素敵な声なんだけどね)に吹き替えられちゃってるのが残念。本人がタミル語を十分話せていて長くタミル映画界にいるのに、女優は今でも吹き替えられがちなのは何とかならないのかしら。

    ミーナとクシュブーは前半の添え物として際たる存在という感じがあった(率直なところ、いてもいなくてもいい役で特別出演している感じ)けど、1990年代のラジニとの共演女優が2人同時に登場、っていうのは華やかでいいね。2人とも過去の人に終わってないし。
    オープニングのクレジットでも、ラジニの次にクシュブー、その次にミーナが表示されたところに2人へのリスペクトを感じて、じーんとした。
    特にクシュブーの、【Annamalai】の頃とは似て異なる位に貫禄が付いちゃってながら、往年のおきゃんな感じと現在のゴッドかあちゃん的なところが共存して物凄い存在感があった。さすが、クシュブー寺がファンによって建てられちゃったこともある位のお方。また共演してほしいな。クシュブーかあちゃんにたじたじになるダンナのラジニ様とか、想像すると可愛くて楽しい。
    (周りのタミル人観客もクシュブーの登場での歓声が大きかったな。)
    この2人のどちらかをラジニの伴侶役にした方が、年齢的によっぽどフィットしていたと思うのだけども;
    この2人でさえ、ラジニより二回り位年下だけどね!

    そして、キールティ・スレーシュ!
    堂々、ラジニの妹役。
    前半は、もうルックスも仕草も完璧に可愛い妹。完璧すぎて、お人形さんみたいで、兄貴に従順すぎてつまんないというか、(彼女の今までのキャリアからしても)食い足りない気がしていた。
    しかし、実はそれが伏線、だったとは。
    後半の化粧薄めでの表情の演技とか、実に印象的。後半のこざっぱりしたサリースタイルもナヤンターラーとまた違ってステキ。
    いつもの、「ヒロイン」ヒロインしてなくて、妹としての甘えん坊な雰囲気だとか、だからこそお兄ちゃんには今頼れないと揺れながら頑張る姿がとてもよかった。

    プラカーシュラージはメインの悪役なのかと思ってたら違ってた。潔く前半しか出てこない。
    (重鎮の俳優なのに)この感じ、(当時も結構有名な悪役だったのに)【パダヤッパ】でのチョイ役出演だったことを思い出したり。

    ジャガパティ・バーブは【Viswasam】からシヴァ監督作品で2作連続のメイン悪役。ラジニが強すぎて、ちょっと悪役のインパクトが弱かった気もするが、【バーシャ!踊る夕陽のビッグボス】でのボロボロになったマーク・アントニー(byラグヴァラン)を彷彿するようなルックスで登場して、胸がときめきました。

    ●●●

    コロナ情勢の中で本作を撮影中、ラジニが病に倒れる事態もあった。
    体調不安の中生半可に政治に関わることはできないと、自身が政治家になるのは断念したという声明を2020年12月29日に発表。

    政治の応援活動はするにしても、自分は俳優で生きていくスタンスを改めて示した後に公開された本作が、ベタベタに愛情に溢れる映画でよかった。
    20年位前の、俳優引退願望をよくコメントしていたラジニが、こんな映画にしっかり出てイキイキしているのは、ご本人に吹っ切れた何かがあるんだろうな。
    これからもタレイヴァル(リーダー)でありながらも、人々を喜ばせる映画に生涯現役で出てほしいと心から。

    最後に、S.P.バーラスブラマニアムの歌では恐らく遺作となる、本作の1曲目。
    亡くなったなんて信じられない。
    こんなに生命力溢れて力強い歌声だったのに。

    それも含めて、この映画がちゃんと公開に行き着いたこと、ラジニがまだまだお元気でいることに、感謝せずにはいられない。

    2021.11.5 イオンシネマ市川妙典Screen 2 にて英語字幕自主上映で初鑑賞

コメント

タイトルとURLをコピーしました