Pizza (ピザ)| ホラー ヴィジャイ・セードゥパティ

Indian Movies / インド映画の話

Pizza-tamil-film

Pizza (பீட்சா) ピザ (Tamil/2012年/127分)

ピザの配達員が、配達先で遭遇する恐怖とミステリー。
2010年代のタミル映画界はホラー映画が密かなブーム。そのブームの先陣を切った作品がこの映画。
カールティク・スッバラージ監督の長編デビュー作。 予算がなかった新人監督が、アイディア勝負で作った低予算映画ながら大ヒットに。
インドのホラー映画ブームといっても、「ホラー・コメディ」ものが多い中、この【ピザ】はコメディ要素は控えめなホラー・サスペンスもの。
主演のヴィジャイ・セードゥパティはこの映画でブレイクし、その後続々と主演映画公開中!

出演者・スタッフ

Vijay Sethupathi(マイケル)、Remya Nambeesan(アヌ)、Aadukalam Naren(シャンムガム)、Karunakaran(ラーガヴァン)、Jayakumar(シュリーナート)、Bobby Simha(ボビー)、Pooja Ramachandran(シュミター)、Veera Santhanam(祈祷のおじさん)

監督・原作・脚本:Karthik Subbaraj、制作:C. V. Kumar Prasath Ramar、音楽:Santhosh Narayanan、撮影:Gopi Amarnath、編集:Leo John Paul

公開日(タミル):2012.10.19

あらすじ

ピザ店で働くマイケル(ヴィジャイ・セードゥパティ)は、小説家になることを夢見る大学生・アヌ(ラミヤー・ナンビーサン)と暮らしていた。 ホラーものの小説執筆のためにリサーチに忙しいアヌは、毎日のようにホラー映画などをマイケルを巻き込んで見続ける。 少々うんざりしながらもマイケルはそれに付き合い、時にはアヌの実際の恐怖体験を聞いて怯える。 そんなマイケルに「あなただって、そういう(体験をする)時が来るわ」とアヌは言うのだった。

あるとき、予期せずアヌが妊娠した。 低収入で家庭を持つ自信のないマイケルは及び腰になるが、結局はアヌへの愛を自覚し、結婚を決意した。
ピザ店の同僚たちの励ましもあり、仕事に力を入れようとするマイケルだったが、ピザ店のオーナー・シャンムガム(アードゥカーラム・ナレーン)の自宅で、彼の娘が何者かの霊にとりつかれているのを目撃、しかも娘に激しい憎悪の目で睨まれた。 娘は2年ほど前からそんな状態で、シャンムガムは祈祷師を呼んだりしているのだった。

オーナーの娘の睨みを忘れられずにピザの配達に向かったマイケル。
その家の婦人・シュミター(プージャー・ラーマチャンドラン)が、代金の小銭を探しに2階に上がった後戻ってこない。
屋敷が停電の中、呼びかけても返事もない婦人を探しに、マイケルが2階にあがると…。

むんむん’s コメント

もともとホラー苦手だし、現在、さらに輪をかけてホラーや残虐なシーンを怖がる小さな息子を子育て中のため、ホラー映画を観たい意欲がほとんどないんですけど、それでもホラー・コメディで面白かった映画もいくつもあるので、(【インド・オブ・ザ・デッド】とか【チャンドラムキ】とか、さかのぼって【ストーミー・ナイト】とかね〜。それからローレンスの【Muni】シリーズとか…)今回、観てみることにしました。

ホラー苦手だけど、普通に観られる映画でした。血がドバーッと出てくるようなホラー描写はほぼなく、ゆるいインドの生活の中で心理的な恐怖を煽られる、というか。

低予算で、短期間で一気に撮影した映画だそうです。マサラムービーにする予算がないから(もちろん音楽シーン自体はアリ☆)、あえて低予算でリアリティのようなものを追求しているのかな。 そのために、いろいろとディティールを工夫している様子も伺える。

まず、南インド映画で、南インドに住んでて結婚前に同棲してるカップルの映画って、たぶん私は初めて観たんですよ。それだけで衝撃だった(笑)。
ちょっとありえねー!って思ったけど、
主人公の二人はヒンドゥー教徒ではなくて、孤児院育ちという設定なので、誰にも反対されないし、むしろ一人一人で住むより生活費が浮いてイイ感じ、なのかも。

ピザ屋の仕事はあるけれど、高給取りでもなくて、後ろ盾もないし漠然と将来に不安を抱えてる青年マイケルは、イライラしてるのかしょっちゅうタバコを吸っている。
ちょうどこの映画の公開された2012年は、それまで7〜8年インド映画界で喫煙の描写を禁止されていた期間を経て、再び喫煙シーンがOKになった時期。(詳しくは、前エントリーで。)それで嬉々として喫煙シーンを大量に取り入れているのかもしれない。けれどもタバコってインドの日常ではリアルですわね。
そんななかでリアルな日常(しがないピザ配達の日常)から、配達先で怪奇現象に巻き込まれていくマイケルの心理的に追いつめられる様がとても見応えがありました。主演のヴィジャイ・セードゥパティはかなりの好演。

デリバリー先の邸宅の婦人も旦那も怪しさと狂気と色気で、(顔をなかなか覚えられない私でも)一発で記憶に残りました。
とはいえご婦人役のプージャーは、初見かと思いきや、出演リストを見ると私は過去に少なくとも【Love Failure】と【Nanban】で観ているらしい。全然記憶になかったー。でもこの映画で覚えました、はい。

しょっちゅう停電が起こるインドで、電気がふっと消えるだけでも怖い。
ピザが一枚食べかけになるだけで、これだけ恐怖を煽れるのもすごい。
ぽかーんとしちゃうどんでん返しなクライマックスと、でもそれだけじゃすまないラストも面白い。

やるなあ。
この映画の大ヒットのおかげで、本来撮りたい映画の予算が取れて次の作品を制作できたんだそうです。(【Jigarthanda】)
なるほどねえ、と感心しました。

Veera Santhanam in Pizza Tamil Movie Wallpapers

Veera Santhanam moviegalleri.netより

ところで、↑の祈祷師のおじちゃんが強烈だったんだけども、インドの話だとこうこなくっちゃね!と最後まで筋に絡んでくるのかとワクワクして期待してたのにこれは肩透かしで、少々ガッカリした。

pizza-telugu-movie

それから、ヒロインは妊婦だけど、マイケルが妊婦として奥さんの体調とか気遣うような場面がほとんどなく、その辺はリアリティ薄かったです。
あと、マイケルがピザの保温バッグを水平ではなく縦に持つシーンが何か所もあって、そんなピザは食べたくないなあと思いました(笑)

やるなあ、と唸らされる反面、こうしていろいろマヌケなシーンも多いので、
ピザ食べながらだらだらツッコミ入れながら観てみるのも、楽しいかもと思います。
今度やってみます☆

(2016年 テルグ版で初鑑賞)

コメント

タイトルとURLをコピーしました