インディアン・ムービー・ウィーク(IMW)というインド映画祭が今年開催されるそうです。(9月6日~26日 東京はキネカ大森で開催)
11作品やるらしいですが、ちょっとずつ上映作品が告知されているので、告知された順番に観てるものはコメントしたいと思いまーす。(タミル映画以外はほとんど見ていないラインナップでていたらくですけど、その分未知の楽しみがあるってもんです!)
- 上映作品
- Sarkar (サルカール 1票の革命) [Tamil]
- Viswasam (永遠の絆) [Tamil]
- Bell Bottom (ベルボトム) [Kannada]
- Bareilly Ki Barfi (バレーリーのバルフィ) [Hindi]
- A Flying Jatt (フライング・ジャット) [Hindi]
- A Gentleman (ジェントルマン) [Hindi]
- ’96 [Tamil]
- Ustad Hotel (ウスタード・ホテル) [Malayalam]
- Jolly LLB 2 (弁護士ジョリー2~真実を白日のもとに) [Hindi]
- Petta (ペーッタ)[Tamil]
- Kaala (カーラ 黒い砦の闘い)
上映作品
Sarkar (サルカール 1票の革命) [Tamil]
2018年秋に、日本でも自主上映がなんと11回も行われ、(ICWで【Mersal】日本語字幕つき上映で突如湧いた日本ヴィジャイフィーバーの直後ということもあり)満員の回続出となった(私も3回観に行ったよー!)ヴィジャイの「選挙に行け」アクションスリラー。
かわいいお顔してるのに、雨の中でずぶ濡れになって民衆をひきいたりする、こんなに骨太な映画に出るようになったのね、ヴィジャイ。もう、どのシーンも絵画のように切り取ってかっこいいのばっかり。さりげなくオトナな魅力ぷんぷんのダンスも踊ってたり、見所だらけ。
映画祭の一番最初に、上映を発表されるだなんて、それだけで感涙。
(思えば、ヴィジャイ日本語字幕で初公式上映だった、南インド映画祭のTheriの時は、扱いが酷かったからなあ…)
いいから選挙行け、Sarkar観に行け!
サントラCDは、なんどりで販売中です♪ ★IMW観た上でのSarkar感想
Viswasam (永遠の絆) [Tamil]
いやー、やっと、アジットの映画も日本で日本語字幕ついて上映されるよ!よかった! 2019年のポンガルに、ラジニカーントの【Petta】と同時公開で激突した映画。日本でも、Pettaと共に自主上映されました。(日本では1月はPettaばかりが話題になっていたけれど、実はタミルナードゥ州での興収はこのViswasamの方が断然上の大ヒット。)
ポンガル祭り週間に、アジットに「ドーティを着ろ!」とストレートに歌って踊られちゃあ、はい、そのとおりです、とひれ伏すしかないでしょ! 内容も目新しさはないけれど、これぞ、アジットにしかできないスター映画の王道!な安定のマサラでハッピーエンドな、お祭りの時期には家族でこーいう映画が観たいでしょ、のお手本をいく傑作。
ヴィジャイの一番のライバルで、ヴィジャイの3つ程年上なだけなのに、このルックス。ドーティが誰より似合う、元祖タミルのフェロモン男。(Viswasamのドーティがお気に召したら、もっとドーティだらけで萌え~な【Veeram】もどうぞ!)
ラジニカーントとカマルハーサンの下の世代で、最もタミル映画界で勢いに乗るツートップ、ヴィジャイとアジットは両作品とも、ぜひ見逃さないでね☆
Bell Bottom (ベルボトム) [Kannada]
未見ですが、カンナダ映画が紹介されるというだけで、マスト・ウォッチですね! スチールもレトロ感があって、ワクワクする~。
Bareilly Ki Barfi (バレーリーのバルフィ) [Hindi]
未見につき、とりあえず、コメントは後で。
A Flying Jatt (フライング・ジャット) [Hindi]
英語字幕付きで日本でも自主上映があり、観た日本人の評判は上々だったのに、本国インドでは子供だまし映画扱いであまり話題にならなかったらしい。(ヴィジャイの【Puli】も、日本の自主上映時は日本人には大興奮をもって迎えられたのに、本国ではお子様映画のできそこないのように扱われたっけ。。。)
【Puli】のことを考えると、このフライング・ジャットもきっと、面白いんだろうと思う! 【ボヘミアン・ラプソディ】のクイーンも、本国やアメリカよりもまず日本で評価されて大ブレイクして、世界でブレイクしたように。【ムトゥ踊るマハラジャ】も本国タミルではラジニとしては普通のヒットだったところ3年後に日本で特大ヒットして、後から「Dancing Maharaja」としてヒンディー吹き替え版まで公開されて本国の評価も上がったように。 さあ、フライング・ジャットを日本発で応援しよう! 神様パワーのスーパーヒーロー、インドならではのワクワクですね♪
A Gentleman (ジェントルマン) [Hindi]
3月に、elzaさんになんどりのトークイベントで熱く紹介していただいた映画じゃないですか! それだけで楽しみです! まだ見てません!
シッダールトは、そういえば【スチューデント・オブ・ザ・イヤー】以来、私は観ていないので、どれだけ成長してるのか見るのも楽しみです♪
’96 [Tamil]
日本語字幕ついていない段階で、海外の配信で観てよかった!と言う感想がSNSで続出、ウチの店・なんどりでも、ヴィジャイ以外で日本語字幕ついていないのにこんなに売れるとは!と驚いた位の注目作。ノーバイオレンスでしっとりした、中年の純情を描いた映画。瑞々しい日本でもあるある!な青春時代の回想シーンも心があったかくなります。ヴィジャイ・セードゥパティに関心がある方は、ぜひPettaも併せてご鑑賞を。彼の役の幅のすごさと愛くるしさに狂うこと、間違いなし。
野生なる熊!なルックスで登場したかと思えば、実は超純情で繊細な、高校生時代の意中のクラスメイトのことをずっとひきずったままアラフォーを迎えてしまったカメラマンの、同窓会で再会のお話。もちろん、相手は既に結婚して愛娘もいて。でもずっと彼女も引きずっていて。 道ならぬ恋に突き進むことだってできるかもしれないけれど、でも、という葛藤がいじらしい。
高校生時代の純愛回想シーンも秀逸。バイオレンスもなければ、タミル映画にありがちな女性がレイプやそれに近い侮辱を受けるシーンもなく、実に見やすい。それでいてサラッと進むのではなく、ひたすら余韻が続く。ヴィジャイ・セードゥパティの、純情を堪能しましょう。その純情を受け止め、あの日に帰りたい、だけど、とふみとどまるトリシヤーの泣き顔も。
あ、DVD、なんどりでまだ販売中なので、どうぞよろしくです☆
Ustad Hotel (ウスタード・ホテル) [Malayalam]
マラヤ―ラム映画はあるのかな?と思ってたら、うわー、ドゥルカルだ。【チャーリー】の日本ロードショーを含め、日本の映画祭などでマラヤ―ラム映画界では露出が大きい方。(今じゃ、マンムーティの息子だというのを知らずにファンになっている方も多いかも!?) ならば、もっとドゥルカルの映画が上映されて、そのうちドゥルカルの父として、マンムーティの映画も日本語字幕付きでもっと見られるようになるのを期待してます☆
Jolly LLB 2 (弁護士ジョリー2~真実を白日のもとに) [Hindi]
アクシャイ・クマール! 【パッドマン】【ケサリ】【ロボット2.0】…と日本ロードショー作が続々公開で、映画祭にも登場。突然日本で、アッキー・バブル?のような。今度は弁護士さん役なのね。
私がインド映画を観始めたりした頃から10年ほど(’00年代)って、アクシャイがインド映画界の「マネー・メイキング・スター」と言われていて一番の売れっ子だった印象があるわりに、日本にはあんまり紹介されてなかったので、今いろいろ日本語字幕付きで見せていただけるのは、ありがたいことです。
(【チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ】も流れにのってリバイバル上映とかならないかなー☆ あと、【Rowdy Rathore】みたく南インド映画スタイルでコテコテなアクシャイもいつか日本に紹介してください♪ ←ヴィジャイもちょこっと出てるし。笑)
Petta (ペーッタ)[Tamil]
アジットの【永遠の絆】と同時公開だったポンガル祭り週間封切映画。【’96】のヴィジャイ・セードゥパティや、【バジュランギおじさん】のナワーズッディン・シーディッキーが共演しているのも大きな話題を呼び、2019年前半のタミル映画での1番ヒット(世界的興収の場合。タミルナードゥ州限定では、【永遠の絆】の方が上。)
ラジニのクレイジーなファンである若手監督が、往年のラジニ映画を次々とオマージュしながら、近年のラジニ映画には見られない、ラジニの狂気を引き出した必見作。 この1年弱で3本映画出ているのと、2017年末に政党旗揚げを宣言したこともあり、Pettaがラジニの引退作になるのでは…と公開前に噂もありましたね。
1998年に日本で【ムトゥ踊るマハラジャ】が公開される頃に日本向けインタビューでラジニは「(悪役出身で、いろいろ演じていた昔より、スーパースターとして定着した今は)ヒーローとして求められる役柄がマンネリ化してきて、興味が薄れてきている。徐々に映画界を引退していきたい」という主旨のことを語っていたのです。実際、その後何年も映画に出ないこともあったこの20年なんです。ラジニの引退願望を知っているファンの間では、いつラジニが引退してしまうんだろう?これが引退作となってしまうのか?…と新作が出るたびに思われていたのでは。(それ、私!)
それが、1月に、スペースボックスさんの自主上映でこの【Petta】を初めて観たとき、今のラジニに求められていなかった悪どさと狂気、そしてそれを演じるラジニのギラギラした瞳に、「あ、ラジニの役者魂に(激しい)火がついたな。ラジニはきっと、この映画で引退はしない。絶対次作がある」と確信しました!
その確信のとおり、今ラジニは次回作【Darbar】を、【サルカール】を監督したA.R.ムルガダースと制作中です! ウレシイです。 もうすぐ日本公開の【ロボット2.0】、昨年6月封切の【Kaala】も、この20年の中でも今までのラジニからは考えられないほどのタブーに切り込んだり、いじられることを楽しんだりの意欲作が続いていて、ますます目が離せない、Super☆Starです!
サントラCDは、なんどりで発売中☆
Kaala (カーラ 黒い砦の闘い)
なんか、共謀しているんじゃないか!?って位、タイムリーじゃ、ありません?
「再開発に揺れるアジア最大のスラム街 インド・ムンバイ」…記事に書いてあること、まんま、カーラーたちが闘っていることですよ!
公開1年が経過して、改めて思うことは、よくこんなめちゃくちゃタブーな映画を作れたなあ、ということ。監督がアンベードカル博士を敬愛するPa.ランジットだから、というのはあっても、それだけじゃ完成できなかったと思う。プロデューサーが、娘婿で主演作【クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅】が日本でも6月に公開されたダヌシュ。ということは、ホーム・プロダクション。インド映画におけるホーム・プロダクションって、意欲作だがタブーにふれるからとスポンサーが及び腰になっている場合とか、このスターじゃ売れないと出資してもらえない場合が多いと思われます。ラジニだと「このスターじゃ売れない」ってことはないだろうから、映画のテーマに対して、外部のスポンサーを付けられなかったか敢えてつけないで徹底的に(ほぼ)自腹で突き進んだ、ってことだと。
そうすると、ホーム・プロダクションは意欲作である反面、資金面や横やり等で途中撮影・制作がペンディングになったりして、完成するころには疲弊して当初の志の勢いはどこへやら、という結果になることも多い気がしています。
(2002年の【BABA】も、ほぼホームプロダクションでラジニの原作で作られたけど、公開直前に横やりが入りまくり、カットされまくりで尻切れトンボのようになってしまった部分もありましたっけ。)
なのに、カーラは、ものすごいパワー。よくここまで横やりをはねのけて公開できたなあと思うのと同時に、60代後半を迎えてラジニの気合・気力が充実しているんだなあと涙が出そう。(ダヌシュもがんばった!)
どんなタブーに挑んでいるかは、スクリーンでお確かめください♪
10月に日本公開される【ガリ―ボーイ】と舞台は同じ。カーラでもダラヴィのヒップホップとラップが現地の本物のダラヴィのグループにより展開されます。そこも見どころですね!
なんどりでは昨年末に日本語補助字幕をつけて、本作【Kaala】DVDを発売中です。
日本語字幕って、訳してみて実感としてよく分かりますが、字数的にタミル語の台詞の半分も字幕に反映できないんです。だから訳者によって、台詞の訳出するポイントとか変わり、当然字幕も変わります。今回、新訳がつくようですね。楽しみです。(昔、【ムトゥ踊るマハラジャ】が劇場やビデオの字幕と、NHKでテレビ放送された時の字幕が違っていて、両方合わせるとそういうことかー!と興奮したことを思い出します!)
DVDをお買い求めいただいた方も、ぜひ、劇場へ♪ それから、劇場で初めてご覧になって気に入った方も、ぜひ後日なんどりでDVDをご購入ください☆
最後に。個人的には、ラジニカーントの映画は、本当は劇場公開作になってほしいです。それだけのポテンシャルのあるPettaとKaalaだし、既に何本もラジニの映画は日本公開されているのに、映画祭で紹介して終わり、の流れになってしまうのは本望じゃありません。こういう映画祭は、本数が限られているのだから、(既に知名度がそれなりにあるラジニものを2作品も持ってくるのではなく)もっと映画祭で紹介しがいのある日本未紹介なスターものとか名作をもってきてほしいなという気もいたします。(今回は、そういう意味ではアジットが初紹介なので大きな意義があるか、と。) もう発表になってしまったから応援しますが、 映画祭で紹介して終わりではなく劇場公開までつながる展開になることを願うばかりです! あと、(4Kスクリーンの音質最高な、インド映画の聖地こと)川口SkipCityでも後日でいいから上映してほしいです☆
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