インド/マラヤラム語映画として日本で初ロードショーとなった【チャーリー】を観てきました。

Indian Movies / インド映画の話

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魔法を信じます?

中学生の頃、夢中だった杉真理が【シンフォニー#10】を発表したときの雑誌インタビューで、
「ポップスの魔法を信じるかい?」ってキャプションがついてたなあ。

魔法って言葉、面と向かって語られたらこっぱずかしいし、時には「新興宗教?」って疑ってヒイちゃうこともある。
あまのじゃくで魔法なんて言われても「ケっ」と思いがちな、ちっともかわいげのない中学生だった私だけども、杉さんのお言葉に関しては例外で、杉さんの歌には確かに魔法を感じてた。

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その後受験だったり何やら、ますますかわいげのない性格で人生の壁にぶつかりまくって、完全にやさぐれてた時期にふっと思う所があって映画館に観に行ったのが【ムトゥ踊るマハラジャ】。 この映画体験が自分には人生観が180度変わる位の出来事で、それをきっかけに立ち直ってきたというか、映画の「魔法」で立ち直れたと思うことがある。

そこから10年以上が過ぎて、アラヴィンダン監督のマラヤラム映画の傑作【魔法使いのおじいさん】を観た。
子供騙しのようなおとぎばなしだけれども、「インドだから、本当に魔法を信じてこんな映画まで作れちゃうのかも…」と心底驚いた。  
インド映画ってすごい、と改めて思った!

さらに5年ほどたった2016年10月、オトナのおとぎばなしのような2015年マラヤラム映画【チャーリー】が日本公開。
マラヤラム語映画で初の日本ロードショーなんですって。
(折しもちょうど同じ時期に、川崎市民ミュージアムでアラヴィンダン監督特集上映中。それならば、便乗してアラヴィンダン監督大全集DVDセットをそのうち発売してほしいと半ば本気で願っている。)

これまた、「出会いの魔法」を信じちゃってる映画で、今時の日本じゃ絶対作れない映画だなあと思った。
この映画に限らず、マラヤラム映画はキレイな映像、キレイな南インドの田舎の風景が楽しめるのは割と当然じゃないかなと思うけれども、とてもきれいにまとまった、佳作だと思う。

この映画は、個人の方の熱意で日本公開まで辿り着いたものだそうです。

江戸木純さんがシンガポールのビデオ屋で何気なく紹介してもらった【ムトゥ踊るマハラジャ】に魅せられて、日本で何としても公開しなければと奔走し、ついには日本でインド映画ブームまで引き起こしてしまったときのようなことが、【チャーリー】を配給した方にも【チャーリー】を初めて観たときに何か魔法のように起こったんだろうな。

(【ムトゥ】を公開する際、メインビジュアルはインドだったら絶対ラジニのはずだけれど、日本で無名のヒゲおやじをメインに持ってくるよりヒロインのミーナを前面に出してプッシュしようという流れがあったとのこと。
今回の【チャーリー】も、同じように主役のドゥルカル・サルマーンが引っ込められちゃってヒロインを前面に押し出した日本版ビジュアルで、日本での公開は知恵を絞らなければならないんだなあとしみじみ思います。。。)

私はやっぱりそれでも未だにそれなりにあまのじゃくなので(笑)、この映画のキャッチコピーの言うような「自分らしく生きる」ことの答えは分からなかったです。
んー、自由に生きられたらいいね、何ヶ月か田舎に引っ込んで深呼吸して好きなことをするのもいいね、でも会社なり生きる糧なりはどうしていくのかな、という感じ?
正義を振りかざして、売春を阻止するのもカッコいいけど、タミルやテルグ映画だったら、その後報復されちゃうぜー、みたいな。
ヒッチハイクって女子旅で大丈夫なのー?とか。
(でも、映画と一緒に、つられて深呼吸はしました。笑)

それにしても、なぜドーティ(腰布)を巻いた南インドの「おじいちゃん」たちって、あんなにキュートなんでしょう。
おじいちゃんとドーティに萌える映画として、実に見事でございました。
(ヴィジャイの【Kaththi】とかだって、キュートなドーティおじいちゃんたちがわらわらわらわら出てきて、おじいちゃんに囲まれたヴィジャイがまたキュートで、たまらなかったですけどね!)

チャーリーが船の上で調理してた、カリミーンのフィッシュフライがおいしそうだった。

チャーリーを演じたドゥルカル・サルマーンも、観たのは【Bangalore Days】【OK Darling】に続いて3作目だけど、いままでより振り切れた演技でよかった。ヒゲ面いいね、マンムーティ譲りの風格がちょっと出てきたみたいで、うっとりする瞬間は結構あった☆

ラストに向かってのお祭りシーン、人・人・人の海の中でこれから本当に魔法は起きるのか、みたいなドキドキ・高揚感がありました。
ナーサルさん、ちょっとだけの登場だけどステキー!

キネカ大森、2週間の上映予定が3週間に伸びたそうです。10月21日(金)まで。
未見の方は、ぜひスクリーンで、ケーララ州発の映画の魔法を体験してきてくださいな。

監督:マーティン・プラーカット
音楽:ゴーピー・スンデル
主演:ドゥルカル・サルマーン、パールワティ

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