Koozhangal (小石 / Pebbles)

Koozhangal (小石 / Pebbles)

東京フィルメックスで上映。アカデミー賞のインド代表にも選出されたというタミル映画。

映画祭によるあらすじ;
気が短く暴力的な父親とその寡黙な息子。バスに乗り損ねた二人は、灼熱の中、広大な荒野を家に向かって歩き始めるが……

インド / 2021 / 74分
監督:P.S.ヴィノートラージ ( P.S. VINOTHRAJ )
父親Ganapathy役:Karuththadaiyaan
息子Velu役:Chellapandi

救いがあるんだかないんだか分からない。
厳しいながら日常を生き抜く、タミルの片田舎の人たちのある日の一コマを、ともすれば退屈極まりなく終わりそうなところ、大胆な長回しで見せる見せる。
長回しは長回しでも、最後の水汲みシーンはそうくるかー? エンドクレジットまでそれでいっちゃうかー?

めちゃくちゃ衝撃。

上映後のQ&Aによると、監督の子ども時代の経験がベースになっているが、世界で共通してありうる普遍的なことで、それを描ききりたかった、とのこと。
普遍的。
灼熱の中、広大な荒野を何時間も歩くのが普遍的、というのはちょっと違うかもだけど、そうやって、理不尽に怒られながらも親について帰るしかない子どものようなシチュエーションなら確かに普遍的にありうる気がする。
息子の父親へのささやかな復讐シーン(マッチを捨てちゃったり、鏡の破片で父親の背中に光を当てて熱くさせたり)も印象的というかありうるというか静かに笑えて面白かった。

スゴいな、今時のインド映画がカット割りだらけ、付け足した爆音のような効果音だらけなのと対極を行っている。でもこれも、「ザ・タミル」を感じるというか。

とっても乱暴者な父親役の方だけが本物の役者(ただし舞台経験はあるけど映画は初めて)で、あとは演技経験なしの人たちの出演。なるほど。父親役の人(Karuththadaiyaan)、存在感めちゃくちゃあったもんな。今後普通のタミル映画でも活躍されるかもしれないのでチェックだ。

食生活的なことで言えば、野ネズミを一家で狩りして、足を折って焚き火で炙って食べるところもびっくりだったな。
しかもこれも長回しだ。
これは編集してカット割りしてたりしちゃ、この人たちがネズミを食す背景に思いを馳せることはできないな。

面白かった。11月前半にスクリーンで観たインド映画で、一番余韻が残ったな。

↑Q&Aが最後の質問だけ動画に上がってた。
当日会場にいたお客さんたち、ほとんどの人が思ってたと思うんですが。
司会の人がなんか仕切りがはっきりしないので、タミル人が2人映し出されているのに、どちらが監督でもう1人の方が誰なのかがイマイチ分からず。
そして一方の人ばかりがしゃべっていて、もう一人はひたすら黙っていて所在なげで、これは一体なぜしゃべらない人がいるんだろう?とよく分からずポカーンとして見ていた。

途中で、もしかすると、このしゃべっていない人の方が監督で、監督は英語が得意じゃないという体でもう1人の人が通訳がわりに一緒に出ていて、英語でペラペラ喋っとるのか? 
ならば、タミル語に訳して監督に喋らせたらいいのに。なぜ???

そしたらようやく最後の質問で司会が「できれば監督にも発言して欲しいんですが」

…やっぱり。
それより前の質問でも、監督にちゃんと振って欲しかった。

途端にそれまで寂しそうにしていた彼が、表情が明るくなってほとばしるように色々話していた。
よかったね、監督本人が出てるのに一言も発言しないでQ&Aが終わってしまうのは切ないよね。

動画には肩書が入ってたけど、Q&A中はさっぱり分からなかったぞ。ちゃんと仕切ってくれ。
(英語でペラペラずっとしゃべっていたのは、アムダヴァン・カルッパィヤーさんだと判明。クリエイティブ・プロデューサーとのこと。プロデューサー的なことをしている旨をご本人はしゃべっていたのだけど、クレジットではプロデューサーがナヤンターラー&ヴィグニーシュ・シヴァンだったので、Q&A中は関係性が分からなかった〜)

ちなみに最後の質問のうちの一つ「小石はおまじないですか」は、私の質問でした。
でも、送信した質問には「小石を家で積み重ねてますが、それはおまじないですか」という趣旨で書いたんだけど、積み重ねた部分については伝わってなかった(そこが聞きたかったのだ)
でも、小石が、監督が子どもの時に口に入れて歩いていたこと、その時に見えた風景で山や岩石が、口に含んでいる小石を大きくしたものに感じていた、というのを聞けたのはよかった。


最後に。東京フィルメックスがパワハラ労働問題で話題になっている「シマフィルムズ」を歯切れの悪い弁解でスポンサーにしたまま、開催したのは残念。
この【小石】を観に行けたこと自体はよかったけど、モヤモヤしてたので映画祭のチケットをすぐに買う気になれなかったのも本音。
今年の映画祭は終わっちゃったけど、その件はなんとかしてください。映画祭関係者の方がもしこれをご覧になるようでしたら、どうかお願いします。

2021年11月2日(火)、東京フィルメックス@有楽町朝日ホールで鑑賞

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