Vijay (ヴィジャイ)のバイオグラフィ

MERSAL Celebrity / インド映画界の人々の話
このメルサルなウィンクが、また観られるかな?(笑)

現在の冠は「Thalapathy」(タラパティ/ダラパティ:大将、頭目、リーダー、司令官)

バイオグラフィー

映画デビューまで

1974年6月22日タミルナードゥ州チェンナイ生まれのチェンナイ育ち。
父はタミル映画界を中心に活躍する映画監督 S.A.チャンドラシェーカル。母は、カルナーティク歌手兼映画のプレイバックシンガーで、時には映画の原作やプロデュースも務める ショーバー・チャンドラシェーカル。

母親の記憶によれば、幼少期のヴィジャイは活発でおしゃべりでいたずらっ子だったが、10歳の頃から口数が少なくシャイになった。
(8歳年下の妹ディヴィヤーが白血病でたった2歳で天に召されてしまった時期。学校では妹の名を聞くたびに、彼は泣いていたと当時の教師も回想。)
10歳の頃から数本、父親の監督するヴィジャイヤカーントやラジニカーント主演の映画などで、クレジットもない子役で出演した。
しかし、あまりに息子がシャイだったこともあり、父親は息子が将来映画界に入るとは思っていなかった。それよりは亡くなった妹のために、医者になったり薬の開発者になることを望んでいた。

しばしの子役時代後は映画界からは遠ざかり、学業に専念していた。
10年生の頃、突然映画界への関心がわき上がり、それからは自分の意思で父親の撮影現場にとにかくついていくようになり、映画を観まくるように。
そして両親に俳優になりたいと直訴。
両親はシャイな息子には俳優は務まらないと思っていたし、はじめに俳優を経験して将来的には監督や映画製作の裏方方面に進むのもよしと考え、そうなった場合に役に立つからと、大学は「ビジュアル・コミュニケーション」を専攻させた。
(しかしヴィジャイは演じる以外に興味がほとんどなく、俳優活動を優先して大学は卒業することなく終わる。)

ヴィジャイはラジニカーントの【Annamalai】(アンナーマライ、1992年)でのサラットバーブと対決するシーンを両親の前で演じ、俳優志望を訴えた。長台詞を含めての映画の再現度に父親たちはついに本気を認めた。
それからは、タミル映画で主役を張っていきたいのならばアクションをしっかりできなくてはいけないと、毎朝4時半からマリーナビーチで父子で乗馬やアクションの特訓を重ねた。(父親談。)
1992年12月、父親が監督・母親が原作とプロデュースを担当した【Naalaiya Theeruppu】で主演デビュー。18歳。

1990年代

デビュー作は残念ながら興行的には成功せず。 正義を追求し人としてのあり方を訴える大学生役で、社会的メッセージも強いものだったが、デビュー作でそれは時期尚早だったと父は考えた。次作ではヴィジャイヤカーントの弟役として出演させた。その後は若年層のファンをつけるべきだと3作目の1994年【Rasigan】以降、メッセージ性は控えめに、ラブ・ストーリー系を模索していく。

当時あるファンからの手紙の中で、ラジニのヒット作【ダラパティ】をもじって「イライヤ(若い)・ダラパティ」とヴィジャイを呼びかけたのが、ラジニファンのヴィジャイは気に入り、それが冠名になった。

1996年、ヴィクラーマン監督の【Poove Unakkaga】(9作目)でヴィジャイ自身の初の大ヒット作に。
1997年【Kadhalukku Mariyadai】では駆け落ちをしたものの家族の気持ちを思いやり家に戻る若者、1999年【Thulladhamanamum Thullum】では自己犠牲をいとわずヒロインに尽くす若者を演じ、隣のケーララ州にもファンが増えた。
2000年、S.J.スーリヤ監督作【Kushi】で2000年のタミル映画年間ナンバーワンとなり、若者の恋愛物系映画の出演としてはひとつの頂点を迎えた。
1999年、ヴィジャイのファンだったサンギーターとロンドンで出会い、結婚。2000年に長男・サンジャイ誕生。

2000年代

2000年代前半は、若者の恋愛もの(=アイドル映画路線)はいつまでもしていられないという心境になり路線変更を試みはじめる。
2002年には庶民に法律の理解を説いてまわる正義の弁護士を演じた【Thamizhan】など、少しずつ社会的メッセージ性のある作品や難解な役にも取り組むが興行的には伸び悩み、試行錯誤が続いた。(ヴィジャイの2007年時インタビューでも、2003年頃は行き詰まって苦しかったと語っている)
2003年秋、【Kushi】のヒロイン・ジョーティカーと再共演で【Thirumalai】公開。起死回生の大ヒットとなり、アクションスターとしての印象を決定付け、その後は「マス・ヒーロー」路線を突き進むように。
2004年テルグ映画リメイクの【Ghilli】は上映250日を突破、年間1位はもちろん、それまでタミル映画歴代興行第1位だったラジニカーントの【パダヤッパ】の成績を超えた。(劇中歌「Appadi Podu」が全インドでもヒット、後年シャー・ルク・カーン【ラ・ワン】でも引用される)
2005年はリメイクではないオリジナルで【Thirupaachi】【Sachin】【Sivakasi】の3作を公開し、どれも大ヒット。中でもラジニカーントの【チャンドラムキ】と同日公開となり話題としては陰に隠れがちだったラブストーリー【Sachin】が実はロングランヒットで、映画館200日連続上映を達成していた。
その後も、2007年1月公開のテルグ映画リメイク【Pokkiri】も特大ヒットとなり、オープニングの「ポッキリ・ポンガル」が大流行。
(本作で監督の手腕を買われたプラブデーヴァーが、サルマーン・カーンのヒンディーリメイク【Wanted】でも抜擢され、その後ヒンディー映画でも活躍。北インド映画界で南インド映画風作品が流行。)
2007年秋【Azhagiya Thamizh Mahan】で、初の一人二役に挑戦。

しかしマス・ヒーロー路線で、テルグ映画ヒット作のリメイクばかり、ヴィジャイ映画はいつも同じでマンネリになってきたと【Pokkiri】あたりから批評家たちから言われ始め、興行的にも伸び悩んだ作品が続き、何かとバッシングされる。

2010年代

2010年【Sura】で、本人談では初めての「みんなのリーダー(Thalaivan/Thalapathy)」な役。
2011年【Kaavalan】では、マラヤーラム映画界の監督シッディク云く「今まで見たことがないヴィジャイが見られるよ」。ヒーローヒーローしていない、しっとりと落ち着いた演技も見せ、ファンの間でも批評家の間でも好評。
同年秋【Velayudham】は、スーパー・ヒーローものながら、「ヒーローに依存するな。人は自分自身それぞれがヒーローになれる」というメッセージをもったアクション映画となり、久々のスーパー・ヒットになった。
2012年1月シャンカル監督による、【きっと、うまくいく】(3 idiots)のタミルリメイク【Nanban】では、一度は降板したり出演に迷いがあったが、カマルハーサンの勧めもあって復帰。 得意のアクションを封印する挑戦だったが、熱狂的にタミルの観客に迎え入れられた。
本作で評価が上がったものの、リメイクに対し思うところがあったらしく、今後はリメイクではなくオリジナルの作品にだけ出たい意向を本作後に表明。
11月には【Ghajini】でヒンディー映画界にも進出して成功を収めたばかりだったA.R.ムルガダース監督と初タッグ【Thuppaki】公開。

2013年8月、【神さまがくれた娘】(Deiva Thirumagal)のA.L.ヴィジャイ監督で【Thalaivaa】公開。ラジニの愛称をタイトルに。「time to lead」という副題が、今後ヒーローからリーダーへの移行を暗示か。
10月末には強行日程で来日ロケ、【Jilla】劇中歌1曲分を撮影した。

2014年、ヴィジャイの演技的なキャリアで大きなターニングポイント。1月にチンピラから正義の警官へ覚醒していく【Jilla】、地方の農村の窮状や水問題を訴えた【Kaththi】の2作が大ヒット。特に【Kaththi】の出演後には、地方から水を奪っているのは大手清涼飲料水メーカーが一つの大きな原因であるという映画の趣旨に賛同し、それまで出演していたコカ・コーラのCM等には一切出ないとコメントする。

2015年、ヴィジャイ自身は当初躊躇したが、息子・サンジャイが気に入って後押ししファンタジー映画に初挑戦。タミル出身でヒンディー映画界に進出していたシュリデヴィが久々のタミル映画の復帰作として共演、話題に。
2016年は、【Nanban】の際に助監督だったアトリが監督となって2作目の【Theri】出演。社会的メッセージ盛り盛りにしながら、ダンス・アクションも減らさない徹底したマサラ・ムービーとなった。

2017年〜 Thalapathy 時代へ

2017年1月、【Bairavaa】公開。ほどなく「ジャリカットゥ」問題で映画界でもストになり、映画館が閉鎖、上映も終了に。しかし、映画界の中ではかなり早期にヴィジャイは「ジャリカットゥ支持」の声明をtweetし、ファンの喝采を受ける。
10月公開の【Mersal】では、「イライヤダラパティ(若大将)」から「若い」を取り払って「タラパティ」という冠名に。ジャリカットゥ支持にとどまらずタミルへの強烈な誇りをメッセージに込める。(2016年末のジャヤラリター首相逝去後に、タミル内での映画館料金上限が緩和された状況も伴い)興行成績ははねあがり、それまでローカルなタミル映画が全インドの年間ベスト10にも登場することは滅多になかったが、メルサルが堂々ランクイン。二つの英国の国際映画賞でもメルサルやヴィジャイが受賞するという快挙。
一気にタミル以外での知名度も上がった。

2018年10月、A.R.ムルガダース監督と再タッグで【Sarkar】公開。
2019年10月、アトリ監督と再タッグで【Bigil】公開。
2021年1月、【Master】公開。
[Thalapathy]の冠に変更してからの4作は、今のところマサラムービーの体裁をキープしつつ、社会的メッセージ性の強いテーマの作品が続いている。

(2019年なんどりにて配布「ヴィジャイ45歳の誕生日を祝う会」資料を再編。)

ヴィジャイ(Vijay)映画リスト

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