चलो दिल्ली Challo Dilli (デリーに行こう!) (2011, Hindi, 118min.)
Director : Shashant Shah (シャシャーント・シャー)
Starring:Lara Dutta (ラーラー・ダッタ), Vinay Pathak (ヴィナイ・パータク/パタック),
潔癖性で、ムンバイのバリバリのキャリアウーマンな女CEOがデリーへの道中を、ひょんなことから「大丈夫!くよくよするな!大したことはない!」が口癖の無頓着・無責任なデリーのサリー商人とともにする、ドタバタなロードムービー。
ところがドタバタで終わらず、無責任男の口癖が実は人生で大きな意味を持っていてヒロインも観客もハッとさせられる意外なラスト。
ヒンディー映画としては、踊りも少なくちょっと地味目なタイプの映画ながら、とてもインド的で、ステキな映画!
2012年のインディアンフィルムフェスティバルジャパン(IFFJ)で上映され、観客の反響が一番だったことを受け、2014年2月15日より、日本全国ロードショー!
日本公開
2014年2月15日より、オーディトリウム渋谷他
スタッフ/キャスト
Director : Shashant Shah (シャシャーント・シャー)
Music : Gourov Dasgupta, Anand Raj Anand, Sachin Gupta (Hi5), Rohit Kulkarni, Roshan Balu
Lara Dutta (ミヒカー), Vinay Pathak (マヌ・グプタ),
Akshay Kumar (ヴィクラム:ゲスト出演), Pankaj Jha (Inspector Mishra), Brijendra Kala (Train ticket collector), Rahul Singh (Bhairon Singh Gurjar), Raghavendra Tiwari (Naresh), Lokesh Verma (Billu), Ajit Mathur (Pappu), Gaurav Gera (Gopi),Yana Gupta (踊り子”Laila O Laila”)
あらすじ
(公式サイトから)
インド最大の商業都市ムンバイ。投資銀行の敏腕社長ミヒカ(ラーラ・ダッタ)は、首都のデリーへ向かったが機体トラブルにより手前のジャイプールに着陸。予想外のトラブルにタクシーを使おうとするも、運転手が頼りない。そこへ機内で見かけた布屋の男マヌ(ヴィナイ・パタック)が「大丈夫!俺も一緒に行くから!」と突如乗り込んできた。マヌに嫌悪感を抱いていたミヒカだが、仕方なく相乗りでデリーを目指すことになる。旅の道中1人困ったときに心強いはずの同行者だが、ミヒカにとってその同行者こそが悪夢の始まりとなるのであった。。。
むんむん’s コメント
2012年から始まった、IFFJ。たくさんのインド映画を1週間で一挙上映する画期的な映画祭ですが、子育て中であんまり観に行けないなか、どうしても観たかったベンガル映画の他にもう一本、自分がなんとか行ける時間にやっていたので観に行ったのが、この【デリーに行こう!】でした。
自分が行ける時間にやっていたから観に行った、という程度で全く前知識なしで鑑賞しましたが、観て「いやー、いい映画に大当たりだった!」
ロードムービーって、旅が終わる頃には主人公が成長して、観ている自分も何か一緒に気づきがあって成長した気分になって清々しく映画館を後にできるタイプのものが多い気がします。
この映画も主人公二人のビジュアルの凸凹具合を目にしてロードムービーだと聞いた時点で結構期待が持てるのですが、いやいや、期待以上でした。
私は、ヒンディー映画のコメディシーンがやや苦手だったりするのですが、この【デリーに行こう!】は、笑いの連続だったけど、まったくイヤミがなくよかったです。
インドのいかにもありそうなアクシデント(?)が、これでもかというくらい、後から後から目白押しで、ヒロインのミヒカのイライラ具合は心情的にとっても理解できます。
この映画を観てインドに行きたくなる人っているんだろうか?と思うくらい、アクシデントが続きます。
キレまくるヒロインに、無責任に「大丈夫!大したことはない!くよくよするな!」と言い続けるマヌが、よくヒロインにキレないで優しいまなざしでアシストを(無責任でちゃらんぽらんだけれども)続けるなあと思って見ていたら、まさかのクライマックス。
【デリーに行こう】映画自体もおもしろかったー。特に食事シーンが、食べ物の温度が伝わってくるような描写で、秀逸だった。食べ物シーンが丁寧なインド映画は大抵おもしろいような気がする!
— Noriko Inagaki(むんむん) (@munmun_t) 2012, 10月 9
アクシャイ・クマールがあまりに地味な登場なのも、とても貴重なものを見た気がして楽しかった☆(この映画に出てくる俳優は私はアッキーしか知らんかったので、ホッとしたのもある)
— Noriko Inagaki(むんむん) (@munmun_t) 2012, 10月 9
アッキーが【チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ】でまさにチャンドニー・チョークの住人を演じていたのに、この映画ではチャンドニー・チョークを車に乗って外から眺めるような立場の役、っていうのもなんだか味わいぶかいものがありました☆
@chitrini ロードムービーなんで、楽しいですよ♪ 料理はデリーへの道中なので北インド料理系なんですが、一瞬自分もヒロインと一緒に食べてるような気さえしました。料理でその地方の暮らしぶりだとかを端的に表現しているので、食べ物を知れば知るほど、映画が面白くなりますね☆
— Noriko Inagaki(むんむん) (@munmun_t) 2012, 10月 9
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さてさて、1年半後、ちゃんとした日本語字幕(笑)がついて日本公開が実現。
その間には、ラーラー・ダッタの他の出演作品も日本公開されて。
(【DON 2】でのシャールクの恋人役、特別出演的とはいえ、すごくキレイでしたねえ。【デリーに行こう!】のように眉間に皺をよせまくる女性ではなく、かなりイメージが違っていて、しばらくデリーに行こうのあの人だ、と分からなかったですw)
久しぶりに観た【デリーに行こう!】は、一度目の感動を損なうことなく、むしろ何回観ても発見がありそうな、いぶし銀の輝きを放ってました。
上に貼ったツイートと同様、やっぱり真夜中のレストランでの油ギットギトの「ロティ」(日本語字幕では「ナン」)の質感がよかったねえ。あれはおいしそうだけど健康志向だったら触りたくない(笑)
変わって翌朝の日の出を拝みながらの朝食のプーリが、またおいしそーっ。
日本じゃ朝からああいう揚げ物は食べないだろうけど、あんな雄大なロケーションで食べたら格別だろうなあ。
きっと自分の体調管理のために、まったく普段手をつけないような食べものを食べたミヒカ、自分の国のローカルフードのよさを再確認したんじゃないのかな。
冒頭のシーンで髪の毛を青筋立ててゴミ箱に捨てるシーンがこんな潔癖性なインド人が実際にいるのかね?って感じでしたけど、どんどんイライラしながらもヒロインの顔が柔和になっていくのがよかったです。最初はピシッと着こなしていた仕事着がどんどんヨレヨレになっていくんだけれども、ミヒカの表情がぐんぐんよくなってキュートに見える。
この映画に出てくることは、全て旅人の身に起こりうることのような気がするし、ましてや外国人がインドを旅行するには、こんなアクシデントの数々は危険極まりない!
自分がひとりでインドをあのように旅行するのは、とても、無理っ!ですけど。
そういう意味で、このロードムービーを観たらそこを旅したくなる、みたいな映画ではない、という点では少々残念な映画なのですけど(笑)、登場するみんながイキイキしてて生命力が溢れてて、自分も少々のことでは動じない人間になろう、と前向きな気分で劇場を後にしました。
(数年前、東京国際映画祭で上映された、【ロード、ムービー】もロードショーか再上映してほしいもんだなあ。)
派手さはないけど、とてもいい映画。また観たいです。
<<追伸>>
公開初日&2日目は、この映画を配給した在日インド人のスレーシュさんが舞台挨拶をインタビュー形式でされていました。
彼自身は最初この映画を「インドではこれ(映画に出てくるアクシデントもろもろ)はみんな普通のこと(!)だから、最初、特別おもしろい映画だとは思わなかった。でも後日、IFFJで日本の観客と一緒に観てみて、日本人の反応がすごくいいのを感じたとともに、そのときはおもしろいと思った。このときのIFFJで一番お客さんが入って反響もよかったこの映画をどこかの会社が配給してくれればよかったんだけど、残念ながらオファーがなかったので、自主配給をしてみることにした」という趣旨の発言。
この映画、公開当時のインドでのレビューも実はそんなに評価が高くないんですね。日本人的にはものすごく新鮮に感じる映画だったですが!
自分としては、【ムトゥ踊るマハラジャ】の江戸木純さんのように、「この映画」を愛していて、「この映画」を配給したいんだ!みたいなコメントの方が盛り上がるんですけど(笑)、上映を重ねるうちに、スレーシュさんの中で【デリーに行こう!】の面白さが変化していくんじゃないでしょうかね。
インド人が日本人の中で観ていて、このインド映画のよさを再確認、というのもアリのような気がします。
なんだか、それもロードムービーの中のひとつのような!
映画、大ヒットするといいですね!
(2012年10月8日、インディアンフィルムフェスティバル東京(IFFJ)で初鑑賞。2014年2月16日鑑賞。)
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