ヴィジャイの【Master】、1回目を観た感想

Indian Movies / インド映画の話
スペースボックスの上映会入口にて

昨年4月のタミルニューイヤーの公開予定から延期になったものの、続々と配信限定に切り替えられる映画も多い中、9カ月遅れながら劇場公開にこぎつけた、ヴィジャイの新作。
パブリシティのお話によれば、ヴィジャイの強い希望で劇場公開に頑としてこだわった、らしいけど、よく耐え忍んでここまできたね。
個人的には、こちらもこれだけ待ってたから、コロナ騒ぎがもっと収まるまで待つこともできるので、もっと遅めの公開でもいいのにな、とその辺は複雑なんだけども。

日本においての自主上映会、初日初回も一度は予約したものの、緊急事態宣言下でいろいろ考えた末、わたしのシチュエーション的には今回は見送ろうと決断し、初日から4日遅れて、日曜日の日中の回に家族で観に行きました。

スペースボックスの上映会入口にて

twitter、master関連ツイートは一切ミュートして、事前に読まなかったです。こんなにミュート設定しまくったのは初めてだな。(笑)
というか、今までミュートしなくてもそんなに自分が観る前に感想だとか見かけることってなかったのだけど、今回は日本語でヴィジャイのことをつぶやくファンも圧倒的に増えて来てるし、コロナ下で時期的にナーバスになっちゃったというのもあるのよね。
インドでファンが騒がずにソーシャルディスタンスを守って観ていられるのか、もそうだし、その現地画像などを見て「ほら、やっぱり」みたいなことを言うツイートを目にするのさえイヤだったわ。

先入観なしに、純粋に新作を観るを楽しむの、なかなかハードなご時世になりましたなあ;;;

Starring Thalapathy Vijay, Vijay Sethupathi, Malavika Mohanan, Andrea Jeremiah, Shanthanu Bhagyaraj, Arjun Das
Written & Directed by Lokesh Kanagaraj
Produced by Xavier Britto
Music – Anirudh Ravichander
Art Director – Sathees Kumar
Lyrics – Arunraja Kamaraj, Vigneshshivn, Vishnu Edavan, Arivu
Stunts – Stunt Silva
Choreography – Dinesh, Sathish

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ヴィジャイ、ステキでした!
ヴィジャイ・セードゥパティもステキでした!
スクリーンで拝めて大満足でした!

よかったところ

★ヴィジャイのお尻ふりふりダンスが観られた!

【Thalaivaa】の1曲目でのお尻のニュアンスのある振り方が大好きだったわたしとしては、またお尻を振ってくれて嬉しいのでした。

★銃じゃなく、バケツで闘うヴィジャイ!

鎌だ鉈だ、がタミル映画を観るなら血が騒ぐのだけど、斜め上をいく「バケツ」。なんて身近な生活用品を凶器にするんだ。たぶんアルミバケツなんですかね。だんだんベコベコになっていって。
ヴィジャイ・セードゥパティも素手でぶらさがった食肉に穴をあけちゃうなんて、なんという怪力だ。

ゴールドではなくシルバーの腕輪を凶器にするのも、新しい気がした。
インド人といえば、身に着けるのはゴールド、ってイメージ強いから。

【Thirumalai】でも、ダチだちがティルマライを助けようとゴールドの腕輪や腕時計を差し出すシーンがあった。「こんなふうにいざというときのために、俺達はゴールドを身に着けているんだから」と。

★ヴィジャイ・セードゥパティのシャンプー時のツノ

何なんだろ、あの怪しげで、でもシャレが効きすぎているというか、あの場面であんなキュートってえのは。
(ヴィジャイにも、やらせたい)

好きなシーンは数あれど、1回目で理解が足りないからそう感じたのかもしれないけれど、あと期待が高すぎたからかもしれないけど、ちょっと肩透かしというか。

(※以下、少し、ネタバレの要素がありますから、気になる人は飛ばしてください ↓ )

私、ヴィジャイ・セードゥパティが本当の悪役だと思ってなかったのよ。
ヴィジャイと敵同士だったんだけど、実はお互いの本当の敵は別にいて、二人でタッグを組んで本当の敵を倒しに行くバディなムービーなのではないかと勝手に想像していたのだ。

それが、本当に最後まで悪役だったのだ。

私、ラジニカーントとラグヴァランの【Siva】みたいなのをめっちゃ期待してたみたい。 
それとか、ヴィジャイとモーハンラールの【Jilla】とかみたいな。

彼がなぜ悪人になっちゃったのか、前段がとても長かったから、この彼の不遇を、ヴィジャイが一緒に解決するのではないか?と後半をわくわくして待ってしまったの。
それが、期待とは全然違って、ひねりなくストレートにヴィジャイ・セードゥパティがずっと最後まで悪役だったので、あれれれれ、だったのだ。

それから、ローケーシュ監督が前作【Kaithi】で、ヒロインなし、お色気シーン一切なしでつらぬいていたので、今回の【Master】もそれが控えめなのはよかった。 でもどうせならヒロインはいなくてもよかったよ。
ローケーシュ監督は本当はヒロインを設定したくなかったんじゃないのかな?
でも、ヴィジャイ主演の大作だからヒロインもつけろ、という圧力でもあったのかしら…
と、うがった見方をしそうな位、別に必要な役じゃなかった感が。
ヒロインが野郎どもに執拗に追い掛け回され殺されそうになるシーンとか、見ててキツかった。
(レイプされないだけ、よかったけど。)

キツイといえば、
ヴィジャイが「人生は短い」と歌う「Kutty Story」の後すぐに、幼い子ども二人がそのとおりになってしまうのもキツかった。

ヴィジャイの「アルコール依存症」の設定。
わたしは、「酔拳」みたいな感じでふわふわヴィジャイが酔っぱらいながら闘うのかと想像していた。

参考;
【ドラゴン・キングダム】での、ジャッキー・チェン「酔拳」

しかし、
ヴィジャイ!それは酔ってないだろ!としか思えないんですけど、、、ストレートに強すぎじゃない(笑)
酔っぱらって寝てばかりいるのに、いつ筋トレしてるんだよ、みたいな。
(ついでに、家でアナログレコードが散らばってるけど、酔っぱらっていてちゃんと針をレコードに落とせるのかいな、とか。)

インドは、この10年位、映画での飲酒の表現などにとてもナーバスじゃないですか。いちいち「飲酒は健康に悪い」とテロップを流して。
なのにヴィジャイはあんなに飲んだくれていて、それでいて、ある事件(自分の責任ではない)をきっかけにあっという間に断酒して。

本人の辞める意思があっても、なかなか酒を断ち切ることができないのが、アルコール依存症というものだろう。
【Master】でのヴィジャイは、飲んだくれても後は寝ているだけで、周りに危害を及ぼす酒癖の悪さがなく、酔っぱらってるけどキュート、という描かれ方をしているのも少々気になった。

ヴィジャイ演じるJDが依存症を克服するのに、もう少しエピソードがあるとよかったかな…。

私がJDだったら、あんなふうに事件のことを責められたら、トラウマに耐え切れず、余計に酒を無意識にあおっちゃって重症化すると思うな。
(ま、それを乗り越えられるからこその、映画ヒーロー!と言われればそれまでですけど)

この数か月ほど、たまたまtwitterで、ドラッグ依存症だった高知東生のツイートを読むようになって、ドラッグやアルコールやギャンブル依存症の人たちが、「脳の病気」であって、克服するのは並大抵のことじゃないことを少しばかり学んだものだから。
もし、【Master】が何か啓蒙だとか社会的メッセージを発しているのだとしたら、アルコール依存症のことも、もう少し掘り下げて描いてほしかったなと。

その一方で、このごろメッセージありきな映画ばかり続いているから、そろそろ以前のように社会を背負いまくっていない映画に出てもいいよとも思っていたわけで。今回は前のヴィジャイが戻って来たよ、大活劇だよ!と思って見ていれば、それもありなのかな。
(わたしは、かるくてヘ~ラヘラなヴィジャイが大好きだから、社会派をずっと気取る必要はないと個人的には思っている。)
うーん、でもヴィジャイがアルコール依存を克服するまでの苦悶の演技も見てみたかった…(ループ。)

英語字幕での、1回目の感想は、こんな感じ。
2回目観たら、もっと、傑作!と思うのかな。
(ラジニの【Kaala】も1回目観た時は、傑作だとはそれほど思わなかったしな。)

最後に。これを書いている時点で、わたしがよくヴィジャイを観に通ったマレーシアでは映画館閉鎖中で、【Master】も未上映。
日本で先に観られてしまうなんて、なんというコロナ情勢なんだろう。
(日本で上映を実施した、スペースボックス社に感謝いたします。)

世界中で、正しく楽しく、早くこの【Master】やその他の映画が楽しめる情勢になりますように。

【参照】

お尻の動かし方がもうとってもヴィジャイ!なタミル・パサンガー

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